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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
マネーの黒豚編

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第三百六十四話 状況を把握しよう

お知らせ:

感想返しがおっつかない状態が続いているため、申し訳ないのですが、まのわについては2013/12/15以降の感想と誤字脱字修正連絡は活動報告にて一括で返す方向でやらせていただきます。基本質問返しとか中心になると思いますがよろしくです。


それでは、今後ともまのわをよろしくお願いします。

 職業・盗賊シーフ


 ゼクシアハーツにおいては一般的なゲームにおける盗賊シーフに該当する役割として斥候が存在しており、デフォルトの職業では盗賊シーフを選択することは出来ない。

 しかし、盗賊シーフという職業が存在していないというわけではないのだ。ゼクシアハーツの盗賊シーフは斥候が盗みなどの犯罪履歴を得た場合に選択肢として登場する職業であり、暗殺者アサシンなどへの職業にも通じるアンダーグラウンド方面に通じる職種


であった。


 そして目の前の少年の形をした悪魔は、自分がその盗賊シーフだと、風音から『盗んだ』英霊の指輪を見せながら告げたのだ。


「まあ、盗賊シーフと言っても、僕の場合はすでにレベル40とレベル100で二度スペリオル化してるからね。現在の職業は盗賊王シーフキングとかいうワケの分からないものになってるけどさ」


 黒い雷を浴びたことで全身を痙攣させながらその場に崩れ落ちた風音に対して、エイジは膝を曲げて腰を下ろし、言い聞かせるようにそう口にする。だが風音はただビクビクと動いているだけで反応がない。


「あーあ、呆気なかったね」


『エイジ、こちらも終わったぞ』


 切り裂かれて消失しつつある狂い鬼を見ながらジルベールがそう答えた。

「ご苦労様。こっちも片は付いたけど。ハハハ、プレイヤーのアイテム枠だからね。自分の所有物には出来ないし、それにレアだから『盗む』をかけ続けないとすぐに戻されそうになるんだよね」

 ゼクシアハーツの仕様問題で『盗む』系統のスキルは、プレイヤーに対しては制限がかけられている。それは一定時間で相手のアイテム欄に戻されるというものだった。なお、その分『盗む』の確率は通常よりも高いのだが、盗んだアイテムにはロックがかかるので、盗んだ盗賊自身は使用することも所有することも出来ない。ようするにPvPにおいてのアイテム潰し的な能力になってしまうわけである。

『どうせ使えもしないのだ。そっちの娘はお前の『影縫いの黒雷シャドーライトニング』に捕らわれたのであろう。最上級の『精神系』封印術だ。もう返しておいても問題はないのではないか?』

「うーん、そうかもしれないけど、風音も存外にしぶとそうだし念のためにまだ持っとくよ。とりあえず外はアレに任せているしね」

 エイジの言葉にジルベールが「ヤツか」と口にする。

『あのオウギという老人とはそれがしがやり合っておきたかったのだがな』

「ま、狙ってる相手を倒したら満足して譲ってくれるかもしれないよ」

『ではそうなることを願うとするか。それと、あの竜の子供と老人は逃げたようだが』

 ジルベールがそう言って、さきほどまでマグナとタツオのいた場所をみる。どうやらマグナの召喚獣によってひとりと一匹はかなりの速度でその場から去ったようである。だが、それをエイジは特に気にした様子もなかった。

「どうせこの漆黒結界の中は逃げられないし別にいいんじゃないの。後で殺せばいいよ。それよりもこっちだね」

 そういいながらエイジは光る繭に向かって歩いていく。

『どうするつもりだ?』

 その様子を見ながらジルベールが問いかける。

「僕たち悪魔がプレイヤーを殺すのは危険だし、特に風音はかなりイレギュラーっぽいじゃない。だから、これに始末をしてもらおうと思うんだ」

 そう言ってエイジは悪魔の笑みを浮かべながらユッコネエの繭に手を付けた。そして、その手を付けた箇所から光る繭が黒く浸食していく。


「ま、飼い猫に殺されるんなら風音も本望でしょう?」



◎交易都市ウーミン 中央通り


 叫び声があちらこちらから響きわたる。

 その街の中を冒険者パーティであるザックスたち『ザックスレイブン』の面々が走っていた。


「まただよザックス。もう、どうなってるんだよ」

 仲間のひとりが悲鳴を上げるが、ザックスはそれを罵倒する気持ちを抑えて黙って走り続けている。


 現在の交易都市ウーミンの状況は 一言に言って最悪に尽きた。


 この2万人の人間を抱える都市が今や、阿鼻叫喚の渦の中である。

 ようやく鳴り響き始めた『襲撃』を知らせる鐘の音によって街中が現在の危うい状況を理解し始めていたが、しかし、だからといって状況が良くなるわけではない。むしろ悪化して行っていると言って良い。


(クソッ、なんなんだよ、これは!?)


 ザックスは心の中で悪態を吐きながら走り続ける。

 ザックスたちの泊まっている宿に、冒険者ギルドからの連絡がきたのはつい先ほどのことだ。訪ねてきた理由は強制参加クエストの連絡である。

 なんでも現在街の外ではオドイートリーチの群れが迫っているらしい。オドイートリーチとはリーチ、つまりは蛭の一種で、体内魔力オドを吸い取る魔物のことである。ソレが、まるで地上を移動する海のように街に向かって迫っているということだった。だがザックスたちに課せられたクエストはそれの討伐依頼ではない。それはこの街の王国軍に任せることになっていた。

 街に在住するリンドー王国軍の数は約1000名。今迫ってきているオドイートリーチに抗せるかと言えば疑問を投げかけざるを得ない数だが、だが彼らも街を護るために鍛え上げてきたのだ。震える心を振るい上がらせて、兵たちは今街の外で魔物の襲来に備えて待機している。

 そして、ザックスたちはその戦いには参加しない。なぜならば彼らは街の中の問題を解決しなければならないのだから。


「ヒルコだ! また出やがった!!」


「畜生。なんで、家内が化け物に!?」


「スラムはもう駄目だ。連中、全員『やって』やがったんだ」


 耳を覆いたくなる状況だが、ザックスは突き進む。


「ザックス、正面だ!」

「クソがぁぁああ!」


 ザックスが正面にいた黒いタールのような人型を叩き斬る。それはブラックポーションによるアストラル化、精神の崩壊した暴走状態の悪魔ヒルコと呼ばれるモノだ。


(これが俺の末路になるはずだったものか)


 ザックスはその姿を見て『イフ』の自分を想像し、恐怖で背筋が凍り付く気持ちだった。

 現在、街の中を襲っているモノの正体、それはブラックポーション使用者による暴走悪魔化である。症状の軽い者は倒れ、一定以上の常用者はヒルコ化しているようだが、倒れた者のアストラル化も進めばいずれはヒルコと化すだろう。

 さらに問題だったのはそのブラックポーション常用者の数がアウターの支配する歓楽街で深刻なレベルで増えていたことと、また金のないはずのスラム区画の多くの人間が『何故か』常用者であったことだ。


 そして、ひとり程度のヒルコ化ならば、今ザックスが切り捨てたようにその形を崩す程度で崩壊する。だが、それが集合した状態では……


「出たぞ。畜生。デケエ」


 街角から4メートルはある巨大な黒い化け物が顔を覗かせている。

「冗談じゃねえぞ。あんなの斬れっかよ!?」

 ザックスがそう叫んだ。


「じゃあ、退いてなさい!」

「は? 姉さん!?」


 ザックスの後ろから、雷の球体がビュンッとその巨大なヒルコに向かって飛んでいく。そしてその雷は剣のような形になって一気に巨大ヒルコを切り裂き、


「雷よ。浄化しなさいッ!」


 そのまま剣の形の雷が拡散して、切り裂かれたヒルコを覆って一気に蒸発させた。


「まったく、なんて状況よ」

「ルイーズ姉さん、来てくれたんですか!?」


 ザックスは心の底から安堵して、後ろからやってくる一行を見た。

 それは白き一団の面々、ジンライに弓花、ルイーズにティアラ、さらには炎の有翼騎士フレイムパワー率いる10体からなるフレイムナイツに、魔狼クロマルと骸骨竜騎士ジン・バハル、そしてヒポ丸くんと量産型タツヨシくんABがいた。

 それが、今この状況ではザックスには異様に頼もしく見えていたのだがルイーズは少しばつの悪そうにザックスに口にする。


「あー期待させて悪いけど、あたしたちこれから行くところがあるのよ」

「行くってもしかして外のオドイートリーチ退治ですかい?」


 やんわりと一緒には戦えないと言ったルイーズに、ザックスがそう返す。


「何よそれ?」

 それはルイーズたちには初耳の話である。 

「それはどういうことだ?」

 そしてジンライが一歩前に出て、ザックスに詰め寄る。


「い、今、外ではオドイートリーチが凄い数でこっちに向かってるらしいんですよ。王国軍はそれを討つために外に出てるし、街中は俺ら冒険者でって話になってやがるんだ。強制参加クエストの依頼が出てるんですが、そちらには来てないんで?」


 そのザックスの言葉にジンライたちに衝撃が走る。


「くっ。一体、何が起きておるのだ?」

「師匠、早く行きましょう」

 状況の悪さに軽く目眩のしているジンライに、弓花が後ろから声をかける。

「風音からの返事がないんだから、急がないと」

「分かっておるが……なんなのだ、この状況は? ワシ等がこの街について半日程度でこの有様だぞ。一体何が……」


「それは、おまえたちは運がなかったのだ」


 ジンライの問いに、どこからか声が響いた。


「この街ごとアングレー・メッシを殺害する計画に、お前たちはまんまと飛び込んできた。イレギュラーだ、完全にな」


 その声は通りの先、ヒルコたちが集まっている場所からだった。


「おい、アンタ、そこ危ねえ……ぞ?」


 ザックスがあわてて声をかけるが、だが様子がおかしい。

 ヒルコたちがズラズラとその声の人物を避けていく。そして、その男の顔を見たとき、ジンライ以外の白き一団全員が驚きの声を上げた。


「ちょっと、え? なにそれ?」

『こりゃ、どういうことなのだ?』


 ルイーズの叫びに、メフィルスの動揺、それにジンライは首を傾げる。


「どうしましたお二方。お知り合いですか?」

 そのジンライの問いに、ルイーズとメフィルスはどういっていいのか、すぐに言葉が出なかった。ただジンライと、こちらに向かってきている人物を見比べて口をパクパクとさせている。そしてジンライの問いへの答えは、弟子である弓花から告げられる。


「師匠です……私が最初に出会った頃の……でも、肌が黒い?」


 弟子の言葉にジンライは首を傾げながら相手を凝視する。


 厳つい黒い槍をふたつ持ち、まるで風音の最初の『竜喰らいし鬼軍の鎧』のような体にピッチリとくっついた黒い鎧を纏った老人がそこにいるだけだ。そしてその顔にはよくよく、見れば、確かに覚えはある。しかしダークエルフのようにその肌は黒かった。


「ふむ。あの歳のワシの血縁は姉しかおらんハズだが」

「ふむ。察しの悪い男だ。これが、もうひとりのワシかと思うと情けなくなるな」


 ゆっくりと老人であった頃の姿のジンライが、ジンライたちの前にやってくる。

「とりあえず聞いておこう。何者だ?」

 敵ではあるのだろうとだけはハッキリと認識しているジンライが、老人のオールドジンライに尋ねた。オールドジンライはそれには笑って返した。


「ワシはお前だよ。お前が無くした、本来のお前。ただ、闘争のみを糧に生きる者。そして、」


 オールドジンライの口元がゆがみ、そして唐突に身に纏う鎧と槍から黒い気配が噴き出していく。


「これは魔力が構築されて!?」

 ルイーズはそれを見て悲鳴のような声を出した。

 それは風音やルイーズたちのいつも行っている召喚のように、魔力体を構築している動きだった。しかし、その大きさが普通ではない。


「でっか!?」


 弓花が見上げる中、15メートルは超える黒い影がオールドジンライの背後に顕現していく。それが次第に形となっていくにつれて、弓花たちの顔は強ばり、ザックスたちはその表情には、絶望という感情がにじみ出てくる。


 それは巨大な生物だった。それはこの世界における最強種のひとつだった。


 そして、その姿をティアラやメフィルスは知っている。自分たちの先祖がそれを倒した時を描いた絵画が自分たちの住んでいた城には飾られていたのだ。聞いているよりは小さいが、だが漆黒の身体に赤黒い三本角の特徴はよく覚えていた。


 それは竜帝ガイエルの駆る騎竜。破壊の魔竜と呼ばれ、このフィロン大陸史上最悪の害竜と恐れられたドラゴン。その名を黒竜ハガスと言った。


「お前はここで死ぬ。ワシの手によって……な」


 そして、巨大な黒いドラゴンの咆哮が街の中心に木霊した。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王・解放者リベレイター

装備:杖『白炎』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧(真)・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・叡智のサークレット・アイムの腕輪・白蓄魔器(改)×2・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:38

体力:152+20

魔力:340+520

筋力:72+45

俊敏力:78+39

持久力:43+20

知力:75

器用さ:51

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』『ラビットスピード』『フレアミラージュ』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv2』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv2』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』『柔軟』


風音「シビシビ……」

弓花「なんなのよ、この状況」

風音「シビシビ……シビビビーン!!」

弓花「ん?」


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