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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
ブラックフォレスト編

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第三百三十四話 キノコを食べよう

 その作戦は単純であった。

 まず最初にジンライの雷神砲レールガンと量産型タツヨシくんA・Bの投石による投擲攻撃により、集中している敵に打撃を与えつつ注意を引きつけつつ、阿修羅王モードのロクテンくんに乗り込んだ風音が空から奇襲をかけ、ボスであるアラクネワイヤードを周辺と分断して仕留める。そして、その間に直樹組は冒険者たちを救出し逃がしたところで、ボスを失った蜘蛛たちを全員で殲滅といった具合である。


 そして、現時点までの流れは完璧であった。


「あーもう、ビビったなあ」

 阿修羅王モードのロクテンくんの中で風音がそうつぶやく。

 メガビームで敵を一掃して降りた途端に蜘蛛の糸の集中攻撃を喰らったのだ。だがマッドスパイダーなどの蜘蛛の糸の系統は炎に弱い。そしてレインボーカーテンの魔法防御は魔力体である蜘蛛の糸を弱体化させる。その上に紅蓮のマントによる炎の自動防御が発動すれば、容易に打ち破ることが出来るのだ。

 だが、あまりにもネバッとしたそれを気味悪がった風音は衝動のままに叫んでしまったのだ。『フィアボイス』と『魔王の威圧』をかけながら。


 さらには狂い鬼と、さきほどしもべとなり、黒岩竜の因子を受けて進化したダークオーガの集団を共に呼び出した。ついでに大型格納スペースに入れていたホーリースカルレギオンとマッスルクレイ製のストーンミノタウロスも外に出して起動させたのである。

 ストーンミノタウロスも形状固定のまま仕舞っていたので再起動時の魔力コストは100程度で、黒炎装備をすべて付けても魔力量は200。もっとも最初に放ったメガビームの使用魔力とあわせて考えれば、ロクテンくん阿修羅王モードの全力使用はもう5分と保たないだろう。


「ま、そんだけあれば十分だけどね」


 そう口にして風音はアラクネワイヤードを睨みつける。『魔王の威圧』を視線モード最大で放つが、多少動じる程度である。伊達にボスではないということだろうが、しかし、だからといって不利になるほどでもない。


「ギュアァアアアアア!!」


 アラクネワイヤードは叫び声を上げながら、蜘蛛の糸を細く硬質にしたワイヤーのブレードを吐き出した。その威力はオーガ相手でも真っ二つに切り裂くほどだが……


「効かないねえ」


 風音の言葉通りに、その糸はロクテンくんにまで届いたが切り裂くことは出来なかった。


「無駄だよ。ただでさえその程度の攻撃力じゃあロクテンくんには通らない上に、旦那様からもらった虹のネックレスから出てるレインボーカーテンは魔力攻撃を防ぐんだから」


 魔力体の糸がレインボーカーテンを通れば弱体化する。そんな攻撃ではロクテンくんにはかすり傷ひとつ付けることは出来ない。糸が魔力体であり、他の攻撃手段がない以上はアラクネワイヤードにとってロクテンくん阿修羅王モードは相性という意味でも最悪の相手であった。


「そんじゃあ、まあ、やりますか」


 そして風音は黒翼をはためかせながらアラクネワイヤードに突撃する。『天翼八斬』と名付けた六刀流に蹴りを加えた連続攻撃、さらには『キックの悪魔』のコンボによる攻撃力増加。攻撃も効かず、強固な防御手段もないアラクネワイヤードが命尽きるまで、もう時間の問題だった。



  **********



「圧倒的すぎる……」

 その光景を見ていた冒険者バーンの声が掠れる。

 黄金の魔王がアラクネワイヤードを切り刻み、周囲の蜘蛛たちも魔王のしもべたちによって蹴散らされていく。

 そして最初に放たれた光による炎の壁ももう消えつつあるが、炎の壁の先では、巨大な猫に乗った男や、銀色の狼男と三頭首の巨大な銀の狼、さらには骸骨騎士や、炎で出来た騎士団に雷の球だかスライムのようなものといった人外たちまでもが暴れ回っている。

 対するマッドスパイダーたちの動きも鈍い。恐らくはさきほどの魔王の咆哮の影響だろう。離れた自分たちでも恐怖に駆られ錯乱気味になっているのだ。直接咆哮を受けた魔物たちはもはやパニックであるに違いない。


「はは、例え蜘蛛が全滅しても、魔王の軍団か……もう、お終いだな」

 バーンは泣きながら笑う。すべての終わりが目の前にあった。もうどうしようもない。あらがいようのない死が目の前に迫っていた。そう感じていた。

「何が、お終いなんだ?」

 だが、突然聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「何って……お前?」

 バーンは信じられないものをそこに見た。


「ナオキ、なんでお前がここにいるんだよ!?」


 気がつけば、バーンたちが捕らえられてる蜘蛛の巣の前に直樹と、バーンの知らぬ男女、そして黒竜の子供が存在していた。

「はっ、元気はあるみたいだな」

 直樹がバーンの驚きぶりを見てニヤリとした。そして横で飛んでいるタツオに声をかける。

「タツオ。インビジブル、サンキューな」

『なーに。叔父上のお友達を救うためです。お任せください』

 タツオはドンと自分の胸を叩いた。

「お話中悪いんだけど、見つかったわよ」

 エミリィの声にライルが「マジかよっ」と声をあげたが、突如現れた直樹たちにマッドスパイダーが反応するのは当然のことだろう。

『これだけならば、やれますッ!』

 そしてタツオはクワーと鳴いて集束メガビームを横に薙ぎながら放ち、目の前のマッドスパイダーたちを切り裂いた。併せてエミリィがしとめきれなかったマッドスパイダーたちを射っていく。

「よし、よくやったぞ」

 ライルに褒められてタツオがくわーと鳴いた。もっともここまでインビジブルで直樹、ライル、エミリィを隠してつれてきた後のメガビームであるため、さすがにもう打ち止めである。タツオを下がらせて、ライルが残りのマッドスパイダーの仕留めにかかる。


「ナオキ、一体どういうことだよ。これは……」


 そして目の前でも戦闘が行われはじめた中、バーンは視線をあの黄金の巨人に向けながら直樹に尋ねる。ロクテンくん阿修羅王モードの攻めにもはやアラクネワイヤードは死にかかっているのを見ながら、バーンの問いに直樹は答える。

「ああ、あね……いや、魔王様が手を貸してくださるそうでな。俺たちゃ、お前等を助けに来たってわけだ」

「なんだって?」

 バーンは驚くが、後ろにいた冒険者の一人の女の子が「私たち、助かるの?」と尋ねると直樹が大きく頷いた。

「だが、俺たちはこんな状態で」

 捕らえられている冒険者の一人、ボードがそう口にする。蜘蛛の巣に封じられている以上、身動きはできない。だが直樹は「大丈夫だ」と言いながら白い剣を取り出した。

「姉貴から借りたこの剣があれば、魔力体ぐらいどうにか出来るってさ」

 そして直樹は魔法殺しの剣に力を込める。『魔剣の操者』のスキルを用いて、その力を十全に発揮させる。すると、魔法殺しの剣の波動によって蜘蛛の糸が次々と分解されていった。それは魔法の構成を分解する力を持つ剣だ。その影響範囲を広げれば、魔力体で出来たものなど当然崩れることとなるのである。


「後はこれを……本当は衰弱してるところに口に含むのはあまりよくないんだけどな。でも今は必要だから」

 直樹はアイテムボックスから細かく切った何かを取り出し、バーンたちの口に含ませる。

「お、なんだこれ……身体が暖かくなる?」

「バンブーキノコを切り刻んだもんだ。まあ、衰弱しててもこれを食べればしばらくは動けるらしいからな」

 それはルイーズに売ったものではなく、風音が前日にまた発見して収穫したものだった。口に含めば一時的に活力を取り戻せるシロモノだというルイーズの言葉に従い、今回使用することにしたのだ。

「あれか。うわ、確かに身体から力が出てくるな」

 身体の一部というか、一部分も元気になって仕方がなかったが、それはこの際、無視である。細かいことにこだわっている場合ではないのだ。


「つーか、ナオキ。いい加減、手伝えッ!」


 エミリィのサポートの元でひとり奮闘しているライルが叫ぶ。

「ああ、悪い。そんじゃあバーン、武器はとりあえずこいつを使ってくれ」

 そういって直樹がアイテムボックスから取り出したものはアダマンチウムの武器であった。

「なんだよ、これ。すげえ代物だぞ」

 バーンが渡されたアダマンチウムソードを見て感嘆の声を上げる。特に特別な加工がされてないとはいえ、アダマンチウム製の武器などこの付近では出回らない強力なシロモノである。驚愕するのも無理はない話だ。

「後で返せよ」

(まあいっぱいあるんだけどな)

 そう思いながら直樹はアダマンチウム製の武器をいくつか出して他の冒険者にも手渡した。アダマンチウム武器はいくつかは溶かして使ってしまったが、まだ四百本を超える数が存在している。実際のところ、なくなっても痛くも痒くもない話ではあった。もっともただで配ってやる必要もないのだが。

「む、身体が動く。それにこの武器があれば」

 髭面の中年がアダマンチウムの斧を持って、立ち上がる。他の冒険者たちも身動きがとれるようになり、活力も取り戻し、さらには武器を得たことでやる気になっているようだった。

「やる気になっているところ悪いが、バンブーキノコの効果は一時的だし、とりあえずは逃げが優先だ。マッドスパイダーを迎撃しつつ、後ろに回って俺たちの仲間と合流する。もう動けるならさっさと行くぜ」

 直樹の言葉に全員が声を上げ、その場からの撤退が始まった。


 そして直樹が姉の、魔王アスラ・カザネリアンの方を見るとちょうどアラクネワイヤードが倒された瞬間であった。

 ロクテンくん阿修羅王モードで滅多切りの後のトドメの第六天魔王の大太刀による一刀両断。まるで危なげもない勝利のようだった。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜喰らいし鬼軍の鎧・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:37

体力:149+20

魔力:321+440

筋力:70+40

俊敏力:77+34

持久力:41+20

知力:73-5

器用さ:50

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv4』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感:Lv2』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き:Lv2』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』『スパイダーウェブ』『ワイヤーカッター』


風音「よーし、『ワイヤーカッター』が手に入ったよー」

弓花「狼男……?」

風音「ま、まあ、完全狼化してたら遠目には男か女かわかんないしね」

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