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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
死霊王の憂鬱編

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第三百七話 情報を仕入れよう

 東の竜の里を出た白き一団の一行の空の旅は順調に進み、リザレクトの街までは約二日ほどで到着した。

 途中、巡回中の竜騎士に警戒されたり、ジンライが操縦して竜船が落ちそうになったりもしたが、全員無事であるので取り敢えずは良しとしよう。またジンライの土下座力が消費されたこともひとまず置いておこう。さらに弓花が「師匠は大人なのになんでこんなに……」となぜだかとても悲しくなってシクシク泣き出したことでさすがのジンライもシュンッとなって反省したことも置いておこう。すべては歴史の闇に葬られるのだ。



◎ハイヴァーン公国 リザレクトの街 サンダーチャリオット内


「おお、久方ぶりのリザレクトだ」

 風音たちがこの街に戻ってきたのも実に約三ヶ月ぶりのことである。小型竜船を街から少し離れたところで降ろし、現在はいつも通りにヒポ丸くんでサンダーチャリオットを牽いて街に入ってきた。

 女子組は馬車の中、ジンライは御者席、ライルと直樹はヒッポーくんに乗ってとこれまたいつもの布陣である。また相変わらず目立つことは目立つが、大闘技会のラストで風音がこれに乗り込んで観客を湧かせ、悪魔相手に奮戦したヒポ丸くんとサンダーチャリオットのことは大衆の記憶に鮮明に焼き付いている。故にこの街ではただ怯えるよりも、憧憬の念で見てくる者の方が多いようだった。まあヒポ丸くんとサンダーチャリオットが以前よりもさらにゴツくでかくなっているのでそのことに目を丸くしている者も多いようだったが。

 そして現在、リザレクトの街で普段通りに小規模の闘技会が開かれていて、大闘技会ほどではないがにぎわってはいるようである。それなりに賑わいのある街並みをエミリィが感慨深く眺めていた。


「リザレクトの街かぁ。私と兄さんは一年ぶりかなぁ。大武闘会、私たちも今年は出ようと思ってたんだよね」

 直樹のミンシアナ行きもあったが、何より開催延期が続き、結局参加のタイミングを逃したのである。当時のライルとエミリィは中止になるかもしれない大闘技会のためにリザレクトに駐留し続けられるような余裕のある生活でもなかったということもある。

「来年は例年通りに行うって言ってたし予定通りなら半年後に開催になるのかな」

 風音がそう言いながら闘技場を見る。かつてあそこで暴れたことがもう遠い昔のように感じられる。

「まあ、そのときには時間に余裕があれば、エミリィたちが参加してみるのも良いかもね」

 ルイーズの言葉にエミリィも「そうですねえ」と頷いた。正直、エミリィにはこのパーティでの一年後など想像出来なかった。そもそも自分が騎士になっているなど数ヶ月前のエミリィには想像もつかなかった。それも従騎士どころか今や正騎士である。建て前としては神竜皇后である風音の護衛役としての必要な身分ではあるとのことだが、なんとも奇妙な状況に放り込まれたことには違いない。

 そんなことを考えながらエミリィは落ちつきなく手元の白翼の竜鋼弓の手入れをしている。これは浮遊島で鳥人族に補強された竜翼弓である。魔力や竜気を弾く鳥人族の羽根を幾重にも貼り付け、散漫であった竜気の流れの方向性を固定し矢に通るように変えたものだ。

「あー、そういえばミナカさん、どうしてるかな」

 風音は町並みを眺めながら、ウォンバードで知り合い、ここで別れたミナカ・ライドウのことを思い出す。その風音には弓花が反応した。

「ミナカなら、あのままミンシアナに行くって言ってたし、あっちについたら、もしかして会えるんじゃないかなぁ」

「そうだね。ま、ミナカさんも根無し草だから連絡も付けられないし分かんないけど」

 拠点を持たない冒険者への連絡手段といえば、冒険者ギルドでの伝言案内ぐらいしかない。これもとりあえず在籍していたギルドの事務所なら言伝を預かってくれるだけのもので、本人がそこに戻ってこなかった場合には届くはずもない仕組みである。

「だったら、ウォンバードの街に着いたら冒険者ギルドにでも行ってみようよ。案外まだそこらにいるかもしれないしさ」

 冒険者が一つの街を拠点にした場合、大概はそこに居着く。数ヶ月から数年、普通にその街に骨を埋めることになるのも珍しくはないのである。もっともミナカは武者修行の途中らしいので一カ所に留まってはいないかもしれないが、数ヶ月単位ならばまだ可能性はあるだろう。

「うん。そだね。あーミンシアナで再会って言えばオーリングのみんなも多分ミンシアナに行ってる筈なんだよね」

「エミリィたちの知り合いのパーティだったっけ?」

 弓花の問いに風音とエミリィが頷いた。

「リーダーのオーリさんがカッコいいって聞いたけど」

 その弓花の言葉にルイーズの目が怪しく光ったが、抱えられたメフィルスが察して「やれやれ」と思ったぐらいで、風音たちは気付かなかった。

「そうだね。爽やか系イケメンのお兄さんだったよ」

 風音はオーリの姿を思い出しながらそう答えた。

「ハイヴァーンの女性冒険者の中じゃあナオキと人気を二分するくらいにはかっこ良い人よオーリさんは」

 フフンとエミリィが何故か自慢げな顔で口にするが、直樹と人気を二分……と聞いた途端に弓花の表情は微妙なものになった。

「う、うーん。そっか。会えるの楽しみね」

 と弓花が気を取り直して答えるのをエミリィと風音が首を傾げて見ている。

 エミリィは直樹がカッコいいことを疑っていないので弓花の疑問は理解出来ないし、風音はオーリと直樹を比べるなどエミリィのタチの悪いジョークとしか受け取れなかったので、疑問にすら感じる余地もなかったのである。


 ともあれ、風音たちを乗せた馬車はそのまま以前に世話になった宿屋サンバンに辿り着き、無事チェックインして今晩の寝ぐらも確保できたところで一旦解散、各自自由行動となった。



 さて、ここ最近の浮遊島だったり竜の里だったりと、隠れスポット的な場所で過ごしていた風音としては情報に飢えていた。なのでギルドの酒場に行きたいのだが、少し立て込んだ話が入るとさすがにティアラは付いてこれないし、弓花も武道を極めようとする人とは打ち解けるが、チンピラーさんたちと話すには若干潔癖な面がある。直樹は風音が男と話してるとうるさいので論外である。

 こういう場合は基本、ジンライが一緒が一番良いのだが、ジンライは弟子に泣かれたショックからまだ立ち直れず、ルイーズに慰められながら飲みに行ったようである。なお風音が「夜の稽古は禁止!」とふたりが出掛ける前にキツく言っておいたので多分大丈夫。

 なので風音が選抜したのはライルであった。次点でエミリィだったのだが、ティアラと弓花と直樹と一緒にどこか出掛けたようだ。

 まあ用があるのでと言って残ったのがふたりプラス一匹だけだったということである。

 ちなみにライルが直樹たちといかなかったのは「あの四角関係に入るのは無理だから」というヘタレな理由だった。弓花が直樹とどうこうというのはライルも考えていなかったが、エミリィが意識しまくりなので弓花も四角関係に強制参加にならざるを得ないのである。不憫である。

 そして風音に付き合うことでライルはライルで爆弾を抱えることとなるのだが、ライルはあまり気にしない方向で行く予定である。そんなわけで二人と風音の背に張り付いたタツオ(黒炎装備)の一匹の集団は冒険者ギルドの酒場に向かうこととなった。



◎リザレクトの街 冒険者ギルド隣接酒場


「聞いたぜベアードドラゴン退治。さっすが、鬼殺し姫だねえ」

 周囲がワッと沸いたのをライルがおおっという感じで見ている。風音が酒場に入った途端に、その場で「チャンピオンが来たぞー」と声が上がったのだ。

 ネームバリューと大闘技会内でのパフォーマンスの派手さから、この街では風音のファンは多い。他の街、例えばディアサウスでは入った途端に全員が顔を見せないように俯いてやり過ごそうとされることもある風音だが、ここでは好意的に受け入れられているようである。もっともアウターに関連のある人間は「冗談じゃねえぞ」等といいながら店の奥の方に引っ込んでいたが。彼らもアウターファミリーのまとめ役である『オルボス』と白き一団の繋がりを噂で聞いて、触らぬ神に祟りなしという感じであったのだろう。

 ちなみに背についているタツオは風音に人が集まると同時にライルの方に張り付いていた。黒竜に偽装していても当然目立つはずだが、『インビジブル』スキル発動により人の意識下から意図的に自分を外している。気配りの出来る息子であった。


『母上、すごい人気ですねえ』

 くわーと鳴きながらタツオは口にし、ライルも「そうだなぁ」と返した。改めて風音が名の売れた冒険者であることを実感する。何しろ、召喚部門とはいえ、大武闘会でのチャンピオンである。いや、そもそも今自分に張り付いてるお子さまドラゴンこそ神竜帝の息子様。身分違いも甚だしい相手であるのだが。

 実のところ、現在の風音とタツオにタメ口利いただけで場合によっては処刑されかねない地域もハイヴァーンには存在している。ハイヴァーンの、特に辺境の方面の竜族信仰はところによってはかなり過激なのだ。

『どうかしましたか?』

 くわーっと鳴きながら首を傾げるタツオにライルは「いんや、なんでもねえよ」と言ってタツオの頭を撫でた。


「おや、ライルの坊ちゃんじゃないですか」

 そしてライルとタツオが遠目で風音を見ていると、後ろから声をかけてくる人物がいた。

「なんだよ?……ってお前」

「どーも、久しぶりです坊ちゃん」

「確かに久方ぶりだなブリック」

 声をかけてきた相手を見て、ライルは嫌そうな顔をする。

 それはハイヴァーンでも名うての情報屋として通っている男だった。そして、かつてこの街で風音に情報を提供したことのある人物でもある。


「どうも鬼殺し姫さんが人気過ぎて近付けないんだよね。昔のよしみでちょっと話を通してもらってくれるかい?」


 情報屋ブリックがそこに立っていた。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:36

体力:145

魔力:304+420

筋力:67+20

俊敏力:71+14

持久力:38

知力:72

器用さ:47

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』『精神攻撃完全防御』


風音「べ、別に弓花たちに誘われなかったんじゃないんだからね」

弓花「うん。普通に誘って断ってるからね、アンタ。というかボッチぶるの止めなさい」

風音「てへっ、バレちった」

弓花「殴りたいわね、その笑顔」


※日曜日から月曜日にかけて所用で電波の届かないとこにいそうなので、一日お休みします。次回更新は11/19(火)0:00となります。

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