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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
魔王新生編

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第二百九十五話 お土産を出そう

 浮遊島における今後については、基本的にはハイヴァーン公国主導で動き、悪魔による被害を受けたミンシアナやツヴァーラとも悪魔方面や天帝の塔の情報の協力などは要請する方針となったようである。

 そして、そのための書簡を白き一団が預かることになったので「またお使いかー」と風音はボヤいたが、どのみちミンシアナにもツヴァーラにも寄る予定はある。なのでこれは素直に受け取ることにした。これも基本的には冒険者ギルドの依頼として処理されるようである。

 また調査については地理的には間にいくつか国がある旧レイヴェル王国領もそうだが、現在七つの大罪の容疑者である悪魔狩りのキャンサー家の家長ゼクウがいると思われる悪魔狩りの本拠も問題であった。キャンサー家は悪魔狩りの本拠のある魔道大国アモリアとも懇意の関係の家柄だ。その上、悪魔は権力者に取り憑くことが多く、国の上層部の汚点であることも多いという点でキャンサー家は各国の恩も弱みも握ってもいた。

 となるとハイヴァーンとしても国として大っぴらに動くわけにもいかず、隣国であるミンシアナに任せる方向でアオはゆっこ姉に頼むつもりのようである。


 そしてこの会合での話も纏まったところで解散となり、暴れる直樹をジンライたちが拘束して風音とナーガ、タツオの親子水入らずの場となったのである。


「旦那様ーー」

『久方ぶりであるな』

『父上ー』


 神竜帝の間に残ったのは親子三人。顔を寄せるナーガに風音がピトッと抱きつき抱擁している。そしてタツオも一緒にナーガの顔に抱きついている。


「ふふふーー」

 風音はこのナーガにピトッとしていてヒヤッとしている感じが好きなようである。タツオも同じようである。親子である。それをくすぐったいと感じながらもナーガが口を開く。

『それにしてもメールとやらでは毎日のように連絡を取っているというのに、こうして出会えるとまた違った感慨があるな。やはり実際に顔を合わせて会うというのは良いものだ』

「私も旦那様と一緒って好きだよ。うん」

 風音の言葉に続いてタツオもくわーと肯定の声をあげる。

『であるか。しかし、旅の方は随分と波乱に満ちておったようだな。闇の森の魔物と遭遇したと聞いたときには肝が冷えたぞ。ましてや討伐したとはな』

 ナーガの言葉に風音は「いやー」と頭をボリボリとかく。実際風音たちも当初はオダノブナガ種からは逃げる予定だったのだ。英霊ジークがいなければ、キングとクィーンで詰みであったのは間違いない。

「でも、実際に倒せたわけだし結果オーライだよ」

『それは本当に結果的にだな。まあ、あまり心配させてくれるな』

 そう口にするナーガに風音も「うん。気をつけるよ」と返した。

「ああ、そうだ。オダノブナガ種と浮遊島で手に入れた素材をスザさんに加工してもらいたいんだけど、大丈夫かな?」

『ふむ。問題はなかろう。後で呼んでおくから、そのときにでも依頼をかけるがよい』

「らじゃー」

 風音は嬉しそうに返事をする。ここに来るまでに書き上げた図面をスザに見せて予定しているものを造ってもらう。今回は自分専用のものだから前回の義手よりも心が踊る。

「そういえば浮遊島だけどドラゴンイーターの繁殖具合がちょっとヤバめだったかな。今は浮遊島っていう隔離した場所にいるからいいけど、落下した場合、どう広がるか分かんないね」

 それは浮遊島落下に伴う、竜族にとっての大事な問題だった。浮遊島が落ち、ドラゴンイーターの繁殖が広がれば竜族にとってハイヴァーンの地は住み辛い土地へと変わってしまう可能性もある。

『メールでも聞いていたが、相当に酷いようだな』

「歩いただけでバンバン遭遇したからねえ。ま、こっちはドラゴンフェロモンとジンライさんのコンボで無傷で倒せたけど、数が多すぎて全滅とかはちょっと厳しいね。周辺に飛竜ワイバーンがいるし、繁殖するには事欠かない環境になってるのも厄介なんだよね」

 風音の言葉にナーガも唸る。

『ふむ。それは確かに厄介ではあるか』

 そして少し考えてからナーガが口を開いた。

『ドラゴンイーターに寄生されたヴァラオンという竜のことはカザネにも以前に話したであろう』

「うん。メールで話したパイモンさんもヴァラオンさんに会いに来たんだったよね」

『そうだ。パイモンも無事ここにはたどり着いたのだが、ヴァラオンは今修行中でな。そのパイモンによればヴァラオンが木竜となったことは間違いないらしい。ドラゴンイーターにも耐性があるようだし、とりあえずは奴を浮遊島に送って調査をさせようと思うのだ』

「あーそれはいいかも。結局浮遊島にいくにはドラゴンぐらいしか移動手段ないのに、そのドラゴンが近付くのが一番危険なんだもんね」

『そういうことだ』

「鳥人族の人たちやバットラー13号との連絡も必要だしね。ああ、なんかモーフィアさんはハイヴァーンとの連絡手段に鳥の召喚獣を使ってるみたいだけど」

『連絡用ならばどうとでもなるのだがな。人サイズを運ぶ飛行用の召喚獣というのは希少だからな』

 飛べたとしても飛竜ワイバーンとグリフォンのお出迎えをくらえばゲームオーバーである。浮遊島へと行く道筋は本来険しいものである。

「じゃあ、そっちはお願いするね。ヴァラオンさんには後でバットラー13号のこととかも話しとくよ」

 そう返す風音の声に併せてタツオもくわーと鳴いて『私もお話しします』と声をあげた。そんなタツオをナーガは見て、頬を綻ばせる。

『ふむ。タツオも産まれてもう一ヶ月と半くらいか。順調に育っておるようだな』

『はい、父上。母上と共に日々努力しております。目からビームをいっぱい撃てるようになりました』

 白き一団の射撃手としての地位を確立しつつあるタツオである。これでまだ生後一ヶ月半の赤さんであるのだから恐ろしい。

『そうか。やはりカザネのスキルを受け継ぐことでタツオは随分と他の竜種よりも強いドラゴンとなっておるようだな』

「うん。見事に戦力になっちゃってる。タツオは頭もいいし、みんなとも仲良くできてるし、本当に良い子だよねえ」

 タツオがくわーと鳴いている。恥ずかしがっているようだった。

『あと一ヶ月と少し経てば、タツオもカザネの竜気だけではなく自ら食事を取ることも出来るようになろう。さすれば、その肉体を成長させてゆくことも出来るようになるのだ。汝の成長が楽しみで仕方がないぞタツオよ』

『はい。父上のような立派なドラゴンになるべく頑張ります』

 ビシッと手を挙げてタツオは応える。しかし手を挙げたため、抱きついていた身体がスルーとナーガの顔から滑り降りて、床にコロコロと転がっていった。

 それを見て風音とナーガが笑い、タツオは恥ずかしそうにくわーと鳴いた。

『まあ、今の我はそれほどの力はない。タツオならばすぐに我に届いてしまうのであろうな』

 ナーガはそう言って寂しそうに笑う。

 実際に今のナーガの力は並の成竜に届くか否かと言うところだ。それはナーガが実力を発揮するには出力が足りていない動力球(小)がコアとなっているためである。もちろんナーガを維持できるほどの安定出力を出せていると言うだけでもイシュタリアの古代文明の技術の高さが窺われるものでもあるが、如何せん最大出力が高くないため、闘いとなればあまりパワーが出せないのである。

『いずれ我がタツオの父と名乗るのもおこがましくなるくらいに汝は強く、大きくなるであろう。それが父である我にとってはとても楽しみなことだ』

 そう目を細めて口にするナーガの顔には、己の力を無くしたことへの諦観の念が感じられた。タツオが父のそんな顔を見てくわーと鳴く。

 だが風音はその話を聞いても、どこかイタズラを仕掛けた子供のような笑みを浮かべてナーガに声をかける。


「あ、旦那様。そのことなんだけど」

『うむ?』


 風音の予想外な反応にナーガが首を傾げる。風音はナーガに「えへへ」と笑いながら、アイテムボックスのウィンドウを開いた。

「実は旦那様にお土産があるんだよ」

 そのままアイテムボックスのリストから『あるもの』を風音は取り出した。その『あるもの』が出てくるとナーガが目を見開いた。風音の取り出したその赤い宝玉が膨大な魔力を発していたのだ。

 そしてその宝玉の放つ赤い光によって、風音の笑みはあたかも悪魔の笑いのような妙な迫力があった。もちろん旦那様のことを想った愛情100パーセントの笑顔ではあるのだが。 


『それは……?』


 そしてナーガにはそれが何かが分からなかった。ナーガは1000年以上を生きる最古のドラゴンの一体ではあるが、だからといって何でも知っているというわけではないのだ。しかし、その赤い光を発する丸い宝玉からかなり強力かつ荒々しい魔力が流れ出ているのは理解できた。

 それは風音がナーガを驚かせようと考えてメールには書いていなかったアイテムだ。仲間たちに頭を下げ、ナーガに喜んでもらおうと想い、手に入れたもの。その名を……


「名は『第六天魔王の血珠』。魔王の力を秘めた宝石だよ」


 それは今のナーガのコアとなっている動力球(小)よりも遙かに高い魔力を出力する宝玉だ。魔物であるキング・オダノブナガが戦闘時以外はつがいであるクィーン・オダノブナガの体内に封印しておかなければならないほどの力を秘めた魔王級のコア。そしてナーガという器を満たすほどの力を出せると風音が見込んだ宝玉だった。


「旦那様の新しいコアにと思って、持ってきたんだよ」


 風音はそう言って「褒めて褒めてー」という感情が直に伝わるほどの満面の笑顔をナーガに浮かべる。その笑みにナーガのハートが見事に打ち抜かれたのは言うまでもなかった。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪・天使の腕輪

レベル:36

体力:145

魔力:304+420

筋力:67+20

俊敏力:71+14

持久力:38

知力:72

器用さ:47

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『イージスシールド』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』『六刀流』


風音「ひゃっほー、旦那様〜」

弓花「はいはい。お熱いことで」

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