表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
天空の島編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

292/1136

第二百八十二話 時間稼ぎをしよう

◎浮遊島 ヴォード遺跡入り口前


 直樹たちが飛竜ワイバーンたちの素材も回収し終えた後、風音たちと再会できたのはその日の夜に差し掛かった頃だった。


『母上ーー!』

「ん、今日はお疲れだったね。直樹もご苦労様」

 帰って早々に抱きついてきたタツオを風音は抱きしめ、そして頭を撫でながら直樹にも労いの言葉をかける。そして直樹も満足そうに鼻をかいた。

「俺も頑張ったんだけどな」

 その横ではライルがややすねたような顔でいたが、風音はニンマリと笑う。

「あーライルもご苦労様。はい、おみやげ」

 そう言って風音はライルに、手のひらに納まるくらいの盾章を投げ渡した。

「おっと、こ、これは?」

 突然渡されたそれを戸惑いながら見つつもライルが尋ねる。それに風音は素直に答える。

「ん、遺跡内の宝箱で見つけた反響の盾章って魔法具」

「魔法具?」

 ライルの確認に風音が頷いた。

「それは私のマテリアルシールドみたいに敵の攻撃とか矢とか防いでくれるものでね。魔術も防げるし便利だよ。防ぐときにゴーンって結構な音がするけどさ」

 それは魔力を乗せた音波を用いた防御フィールドを展開する魔法具である。風音の言葉通り、その能力はマテリアルシールドに近い。全方位には撃てないが、使用者の意志に従い指定方向に一定範囲のバリアを張る効力を持っている。

「マジかよ。つか、いいのか。これ、もらっても?」

 ライルが目をぱちくりさせて聞いてくる。かなり上位の魔法具である。それがどれだけ貴重なシロモノかはライルにもよく分かる。もっとも風音もその魔法具については熟知しているし、当然分かった上でライルへと渡しているのである。

「モチロン。うまく使ってよね、期待してるから」

「お、おうよ!」

 風音の言葉にライルも目を輝かせて頷いた。後ろで直樹が凄い顔で見ていたが、今のライルは気づかなかった。

 なお、バットラー13号と会って以降に、ヴォード遺跡の宝箱から手に入れたアイテムは、被った人間の気配を王者のものに変えるという『覇王の仮面』と、英霊ジークも装備しているという魔力総量が+150となる『蒼天の棺』のふたつである。そして『覇王の仮面』は風音が、『蒼天の棺』はルイーズがそれぞれ手に入れていた。

「そんで、首尾はどうだったんだよ姉貴? ティアラからは予定のグリモアフィールドには入れたってのは聞いてるけど」

 ライルの話題を一刻も早く終わりにいたいと考えている直樹の問いに風音は「そうだねぇ」と返す。

「親切な人に道を教えてもらったんで探索自体は一日だけで済んじゃったし、ルイーズさんも『ライトニングスフィア』っていうグリモア最終章のスペルを覚えることには成功したよ。結構ギリギリだったぽいけど」

「姉貴は覚えなかったのか?」

 直樹の再度の問いには風音は首を横に降る。

「私には無理だよ。知力もそうだけど雷系統の適性の問題もあるしね。このパーティじゃあルイーズさん以外は覚えらんないスペルだよ」

 風音が笑いながら一言加える。

「ただね。その分強いよ、あの召喚術は」

 ルイーズが覚えたのは消費型召喚体『ライトニングスフィア』の召喚術。ティアラのフレイムナイトのように自身で操作する召喚術だが、風音がわざわざこの浮遊島で手に入れるモノの第一目標にしていたほどにその能力は高い。

 直樹自身はゼクシアハーツ内では『ライトニングスフィア』を手に入れていない。即死率の高いヴォード遺跡内は無理に探索せずにさっさと抜けてしまったし、そもそも直樹のキャラは回復系であったので覚える適性もなかった。しかし風音の自信ありげな顔からはかなりの強スペルであることが伺えた。

「多分、これから戦うヤツを相手にはかなり効くと思う」

「これから戦う? ドラゴンイーターのことか?」

 これからの予定はドラゴンイーターのいるイスカニルの森、そしてその先にあるドラゴニル造船所である。そして戦うと予定しているのはドラゴンイーターのみであるはずだったが、風音は首を横に振った。

「いや、ちょっと厄介な依頼を受けちゃってねえ。断れない感じだし」

 後ろにいたジンライが「すまん」と言うが、風音は「いやジンライさんが謝ることじゃないし」と返した。それには直樹が首を傾げたが、詳しい話は全員そろってからと風音はいい、そのままコテージを出して3階の大部屋でパーティ会議となった。



◎浮遊島 ヴォード遺跡前 風音コテージ 3階


「そんなわけでこの島は落ちます」

 

「「は?」」

 全員集合の後のパーティ会議の最初の風音の切り出しに直樹とライルが同時に首を傾げた。タツオは『そうなんですかあ』と頷いていた。素直なよい子だ。ティアラに召喚されたメフィルスは何も口にしないが、やや唸っていた。

 その他のメンバーは全員はすでに話を聞いているので驚きはしなかったが、複雑そうな顔である。なにせ、どう考えても1パーティの対処能力を超えた話なのだ。聞かされてからある程度の時間が経ってはいるが、それでも個々の中ではまだ処理し切れていないようだった。

「いや、姉貴。それなんの冗談よ?」

 その直樹の問いに風音はジト目になる。

「直樹、お姉ちゃんは悲しいです。いつから直樹はお姉ちゃんの言葉を疑うようになったんでしょうか。怒ったのでのでもう兄弟の縁を切ります」

「え、ちょっと待ってくれよ姉貴。て、あれ? でもそうすると俺は姉貴と結婚出来るってことか?」

「出来ません。出来ないので死んでください」

 そんないつもの兄弟のやりとりが発生したので、それを放っておいてライルはジンライに尋ねる。

「ジイさん、どういうことだよ?」

「言葉通りだな。今すぐというわけではないが後10年以内にはこの浮遊島は落ちるらしい」

 ライルの言葉に、あまりにもあっさりとジンライはそう返す。だがそれだけの説明ではライルも理解は出来ない。

「いや、そんなこと言われても分かんねえし」

「ふむ。モーフィアから聞いておったろう。700年前の悪魔の襲撃と島の一部が切り裂かれた話を」

「おう」

 ライルは頷く。

「その後もこの浮遊島は動いていたが、島の一部が失われたことで全体の魔力バランスが崩れてな。この浮遊島を動かす制御用の動力石の一部に無理がかかっておるらしい。その無理が限界に達するのがだいたい10年先という話だ」

「マジかよ」

 ライルが絶句した。

「それで具体的には落ちるとどうなるんです?」

 姉との絡みも止めての直樹の質問にはルイーズが答えた。

「緩やかに落下とはいかないみたいね。中の機械種の……そういう種族の方々がいるのだけれど、彼らは島の現状維持が精一杯らしいの。魔素の流れがここで固定されて浮遊島自体の制御が出来なくなっているし、動けないから移動も軟着陸も無理なんですって。最終的に島の制御が壊れて部分的に引き離されて崩れながら落下すると言われたわ」

 崩壊しそのまま落下。酷い状況だった。

「でも落ちても下には人が住んじゃいないよな? 鳥人族の人たちさえ避難できたら平気じゃね?」

 名案とばかりに口にしたライルの言葉には直樹が首を傾げる。

「いや、こんだけの質量の物体が落ちるんだ。いろいろと問題も起こるんじゃないのか?」

 その直樹の言葉にはルイーズも同意する。

「まあね。けど問題はこの下にある闇の森なのよ。あのオダノブナガみたいなのが居場所を失ってハイヴァーン中に逃げていくことになるわけね。そりゃあ島の落下でつぶされるのも結構いるでしょうけど、高位の魔物は危機感知能力も優れてるからね」

「マジかよ」

 ライルがうめいた。あんなものがハイヴァーン中を……と考えるとライルはゾッとする。

「まあ、そんなわけでそれをどうにかしようって話なんだよね。今回のは」

 風音がそう纏めた。

『つまり何とか出来るってことなのだな?』

 ようやく話がまとまったところでメフィルスが確認の声を上げた。

「まあね。要は動力石が壊れそうなのが悪いわけだからさ。新しい動力石を手に入れればいいわけなんだよ」

『まあ、理屈の上ではな。しかし島のバランスが崩れたままの状況はかわらないであろう?』

 メフィルスの言葉は的確ではあった。そしてそれは当然、風音たちもバットラー13号と話して分かっていることでもある。

「うん。天帝の塔を戻さない限りは問題は問題として残り続ける。けど、10年を100年にズラすことは出来るんだよ」

 そう言って風音は全員を見る。

「そうすれば対処する時間が稼げる。後は誰かにお願いするにしても、その時間稼ぎを私たちでやろうと思う」

「それで動力石の当てはあるんだよな?」

 ライルの緊張した顔に風音は頷く。祖国の未来が掛かった話である。緊張するなという方が無理であろう。そして風音はライルにも頷いた。

「ドラゴニル造船所は竜船を造っていたところだからね。そこで動力石を見つけてヴォード遺跡にいるバットラー13号に渡すのが、今回の依頼ってわけだよ」

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:36

体力:145

魔力:304+420

筋力:67+20

俊敏力:71+14

持久力:38

知力:72

器用さ:47

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』『リビングアーマー』『アラーム』


風音「100年後かあ。まあそこらへんは寿命が延びた弓花に任せたよ!「やってみる価値はありますぜ」とか言って緑色に光りながら押し返しといてね」

弓花「いやだよ。それモブの台詞だし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ