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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
天空の島編

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第二百六十八話 島に降りよう

 『エルスタの浮遊王国』という名称は、約300年前の創作童話で初めて出てきたものなのだという。

 元々浮遊島は竜の墓所や天空の島などと呼ばれていたのだが、その童話が国内外に浸透したことで、実際にはエルスタの浮遊王国などというものが存在していた記録などないにも関わらずその名が定着してしまったそうだ。

 もっとも浮遊島に古代の遺跡が存在しているのは事実ではあるし、故に何かしらのコミュニティが存在していたのも確かである。それは何度かこの島に足を踏み入れた者もいるのだからある程度は知れ渡っていたし、或いは童話の作者も実際に浮遊島に来たことがあったのかもしれないぐらいには、その童話の内容は実際の浮遊島との共通項があったらしい。

 そうしたことから、それがただの『創作童話』と否定しきれなかったため『エルスタの浮遊王国』の名は広まり、ついには名称として定着してしまったのである。


 無論『エルスタの浮遊王国』などというものは創作であってもとより存在していない。実はこの浮遊島はゼクシアハーツ内ではメインシナリオで必ず訪れる終盤イベントの舞台である。

 その正体はこのフィロン大陸の隣にあるイシュタリア大陸を中心として繁栄していた古代機械文明『イシュター』が保有していた移動大陸のひとつ。竜船などとルーツを同じくするオーバーテクノロジーオブジェクト『オルソレイ』というもの。『イシュター』はゲーム中では設定だけの古代機械文明であったが、この島がある以上はこの世界では実際に存在していたのだろう。

 プレイヤーは『オルソレイ』の南部の岩山に囲まれた場所にある天帝の搭へと赴きメインシナリオのボスとなる魔王との決戦のための最後の準備を行うことになる。それは『天使化』。魔素を弾き、魔王の闇の領域に支配された王城へと踏み込むための必須能力である。


 そして鳥人族とは、天使化の元となった種族であり、魔素を防ぐ羽の乱獲によって全滅しかかった種族でもある。彼らは実験につきあう代わりにこの島に保護されたという話だったと風音は記憶していた。


 そうした背景を持つ浮遊島に風音は今、足を踏みしめている。

 もっとも、降り立ってしまえば普通の大地にしか見えない。視線の先に雲が平行してあるというのは不思議な感じではあるが、かなりの高度でも地上とさほどの違いがあるようには思えなかった。高山病とかどうなってるんだろうなぁ……と思わなくもなかったが、何事もないならそれで何よりである。



◎エルスタの浮遊王国 北端


「南下してるからか、生えてる植物がゲームとは違うっぽい?」

「んー覚えてないなぁ。それに大きさもゲームに比べてずいぶんと大きいみたいだし」

 風音の言葉に弓花が首をひねって答える。直樹はさきほどのジンライの一撃でまだ眠っている。そしてジンライたちは物珍しそうにこの島の周囲を見渡していた。


『ふむ。お嬢ちゃんは人化ではなく、元が人間であったか』

「うん。旦那様に今連絡してるからちょっと待っててね」

 すでに浮遊島についたことで、風音は竜体化を解除していた。そして蒼穹竜パイモンは風音たちの横にその巨体を寝かせている。その全長は30メートルを超えている。成竜の三倍はあるその巨体は圧巻であった。

『竜変化の術とは違うようだな。魔力体ではあるが事実上、竜族そのものとなる能力か。珍しい力を持っておるな、お嬢ちゃん』

「でしょー、えへへへ」

 その巨竜と風音は平然と話す。他のメンツは気後れというか、微妙に無視されているので会話には参加していない。パイモンの方も人間に対して悪感情を持っているわけではないようだが、特になれ合う必要もないと考えているようだった。

 またパイモンがタツオはともかく、風音と普通に話してるのは友人の嫁と言うこともあるが、やはりさきほどの竜体化した姿が同族であると認識したからであろう。それはアカやナーガたちもそうであったが、竜族の視点から見れば風音は事実上、竜族として認識されるモノであるらしいということなのだろう。


 そうこうと話しているうちに、風音のウィンドウに新着メールの案内が表示される。無論パイモンには見えていないが。

「あ、アオさんからメール来た。早かったねえ。ちょっと待ってて」

 風音はメールウィンドウを開くと、その中身を見始めた。

『アオ殿か。それも懐かしい名だな。300年ぶりくらいかのぉ』

 長命種ならではの言葉である。ちなみにこのパイモン、1000年前の大戦よりも前から生きている最古竜の一体とのことである。そして、アオから来たメールの内容は、パイモンがこなかったので心配しているという内容と、今後の指示であった。

「うーん、ここはドラゴンイーターが出て危ないから待ち合わせには使えないし、直接竜の里へ行くのは難しそうだから一旦この国の首都のディアサウスに行って待っててもらってほしいって書いてあるよ」

『ドラゴンイーター? ああ、だから森から甘いイヤな臭いがしておったんかい』

 そう言ってパイモンは森を見る。その様子を見て風音は「気付いてなかったのか」と冷や汗をかいた。

「近付かなくて正解だったと思うよ」

 竜種の天敵であるドラゴンイーターは大量の寄生種子を無差別にばらまいてくる。成竜以上の神竜であっても物量に攻められては護りきるのは難しい。さすがに高位の竜だけあって耐性はあるようで匂いにつられて森には入らなかったようだが、ここに留まっているのが危険なことには変わらない。パイモンへの心配もあるが、パイモンが寄生された場合の危険性もまた高いのだ。


 そして蒼穹竜パイモンは、風音からディアサウスの方角を聞くと、そのまま北へと飛んでいった。しばらくは東の竜の里に滞在するとのことなので、また会えるかもしれない。そう想いながら風音は巨竜を見送った。



  **********



「そんじゃあ、少し時間もあるし今後どうするか決めよっか」

 パイモンが行ってしまったのを見てから風音は仲間を呼び集める。

「確か、天帝の搭とやらがあるのであったな?」

 ジンライがまずは口を開いた。憧れの地にこれたことでテンションが上がってるらしい。

「うん。そのお膝元にはヴォード遺跡ってのと東に竜船用のドラゴニル造船所があるんだよね。後はエンジェリートの街ってのがあるはずなんだけど、基本的にはそこらへんを探索する方向でいいと思うんだけど」

 風音は周囲を見渡すが、反対意見のある者はいないようだった。そもそも誰も浮遊島のことを知らないのだから反対意見が出るはずもない。

 今風音が口にしたヴォード遺跡にはメインシナリオ終盤で扱うような魔術を覚えられるグリモアフィールドがあるし、まだ何かしらのアイテムも残っている可能性がある。ドラゴニル造船所にもフレームや動力石やマッスルクレイが残っているかもしれない。そしてエンジェリートの街はすでに現存しているかが怪しいが廃墟となっていても見に行く価値はあるだろうと風音は考えている。

 しかし問題もあった。風音は南を見て首を傾げている。

「でも塔がないんだよねえ」

 そう、ゲーム中では浮遊島のどこからでも見えた天帝の塔とそれを覆う岩山が、この浮遊島北端から見る限り存在していないのである。

「塔があるという話なんて俺たち聞いたことないぜ」

 ライルの言葉に、風音以外の一同がうなずく。

「となるとまったく別の浮遊島かもしれないんだよねえ。まあ進んでみれば分かることだろうけど、でも違うとなると」

 風音はルイーズに申し訳なさそうに視線を送る。

「もしかすると、グリモアフィールドないかもしれない」

「そんな顔しないで良いわよ。あればって話だったんだし、カザネに責任があるワケじゃあないでしょうに」

 そういってルイーズが苦笑する。ここにある予定のグリモアフィールドで獲得できる魔術は現状ではサポートに徹しているルイーズのパワーアップを計れるモノだったのだ。

「うん、そうだね。後はまあ鳥人族なんだけどさ」

 そう言いながら風音は南の森の方を見る。それに全員が併せて視線を向けた。

「それは本人に聞いてみようか。ちょうど捕まえたみたいだし」


 風音たちの視線の先、森の手前には、既に『弓花に捕らえられた』5人の翼の生えた人間たちが転がっていた。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:36

体力:145

魔力:304+420

筋力:67+20

俊敏力:71+14

持久力:38

知力:72

器用さ:47

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』


弓花「今日の獲物は天使だよ」

風音「普通にむさいオッサンとかいるね。羽は生えてるけど」

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