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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
オダノブナガ編

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第二百六十六話 魔王パワーを出そう

「やらせてくれ。頼む、一回で良いのだ。やらせてくれ」


 レーゲンの大樹から帰ってきた弓花が見たものは親友に師匠が土下座してやらせてくれと頼みこんでいる姿であった。これはヒドい……と後ろでルイーズが口にしていた。さすがのルイーズもジンライのその姿は許容出来なかったのである。そしてジンライの土下座にうーんと唸っていた風音が弓花たちの反応の意味を理解して訂正するまでドン引きの空気は流れ続けていた。



 五分後……



「ジークと勝負?」

 風音の必死の説明により、ようやくショックから立ち直った弓花がそう尋ねた。なんでもジンライは風音の英霊ジークとサシで勝負をしたくてさきほどから土下座してまで頼みこんでいたのだという。だがジンライもここ数ヶ月でかなりの土下座力を消費しており、既にその効力も薄れつつある。真のドゲザーとはここぞという時に土下座り一撃で決めるものだが、乱用しているジンライはドゲザーとしては三流も良いところである。

「うーん、英霊は一回出すと十日は呼び出せないからね。その間に何かあったら面倒だし、あまり出したくはないんだけど」

 最悪、セカンドキャラを呼ぶことも出来るが、諸々の事情により風音はあまり出したくはない。黒歴史は未来永劫封印したい。

「頼む。一回だけでもいい。やらせて欲しい」

 ジンライが土下座モードを再起動し風音に頼み込む。風音も再び考え込むが、最後には「問題がなさそうなときにね」と条件を付けて了承することにした。

 ジンライには普段から助けられているし『第六天魔王の血珠』を譲ってもらった件もある。最終的には風音が折れる形で話がついたのだった。


 さて、弓花たちの帰還によってようやくの一通りの処理は完了することとなる。

 弓花の報告によればレーゲンの大樹の下ではオダノブナガ種の食べたグリフォンたちの骨と、グリフォンたちが捕まえて食べた獲物の残骸だけが残っていたとのことだった。幸いなことにその残骸の中には人の姿はなかったようである。

 そして当初とはずいぶんと難易度が変わってしまったがグリフォン討伐も事実上完了したことで風音達は一度ソラエの村に戻ることとなった。


 風音達はソラエの村に戻るとその日は宿屋に再び一泊し、その翌日には再度浮遊島へと向かうためにレーゲンの森方面へと戻ることとなる。

 なお、ジンライの姉のクロエは今回の件を冒険者ギルドに連絡するため、風音たちよりも早い時間に村を発っていたようだった。



◎ハイヴァーン公国 天空街道 馬車内


「いやー今朝は参ったねえ」

 馬車の中での風音の言葉にエミリィが「参ったじゃないわよ!」とツッコミを入れる。

「いや、マジで場所選んで使おうね。あのスキル……」

 弓花も顔が硬い。タツオですら『母上が怖かったです』と怯えていた。ジンライも「殺られる前に殺る」と本能的に判断し、危うく風音に突撃しそうになっていたということだった。


 それは今朝方の特訓の時のことだった。

 風音が直樹相手に魔王カザネリアンモードで二刀流の練習をしている際に、風音がキング・オダノブナガから手に入れた『魔王の威圧』を使用してしまったのだ。

 元々この『魔王の威圧』スキルはキングではなく、ダイロクテンマオウ・オダノブナガのスキルである。心根の弱いものならば即死効果すらある正真正銘の魔王の恐ろしさを体現したもので、広範囲に渡って凄まじいプレッシャーをかけるスキルである。それを風音は『偽りの威圧』スキルの設定のままに全開で発動してしまった。

 その結果、正面で向かい合っていた直樹は腰を抜かし、戦闘力の高いジンライと弓花は構えて臨戦戦態を取り、他のメンバーは恐怖にかられて後ずさった。あと何人かチョビッと漏らした。

 そして、周囲の木々に止まっていた鳥達がバサバサと一斉に飛び立ち大移動を始め、村に戻れば闇の森の魔物が攻めてきたのではないかと村人が騒ぎたてていて、牛がモーモーと鳴き、猫がにゃーにゃーと鳴き、ミルラが弓花を睨みつけて弓花が涙目となり騒然となっていた。

 何故か遠方より黒雲が来て雷が鳴り響いてきたので、天候操作の力もあるようだった。ただの偶然かもしれないが。

 そんなこんなと色々と五月蠅くなった中で風音達は逃げるように村から出たのである。いや、予定通りに出ただけなのだが、しかし気分的には逃亡者だった。


「まあ、スキルが発動したときに人が少なくて良かったよ。ディアサウスとかで使ってたらいろいろとやばそうだったし。スキルの設定も偽りの威圧レベルに今は落としておいたから、次からは大丈夫だよ」

 確かに人の多いところでアレが発動したらと思うと、弓花達はゾッとした。まさしく惨状と呼ばれる状況が発生することになるのは間違いないだろう。


 ちなみに今回手に入れたスキルは『魔王の威圧』以外には『ブースト』『ハイダッシュ』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』とひとつを抜かして有用なモノばかりである。

 『ブースト』は風の力で一気に跳躍し、『ハイダッシュ』はダッシュよりも早く走り、小回りも利く。『猿の豪腕』は文字通りの怪力スキルで握力が特に強化されるようだった。そして『二刀流』はランクBクラスの二刀流の剣技を扱えるスキルである。また『オッパイプラス』はどうでもいいので省略。風音はそれを一刻も早く上書きするなりして消したかった。複乳を見られて引かれるならまだしも『あれ、蚊にでも刺されたの?』とか言われたら、その相手を生かしておく自信が風音にはなかったのだ。例えそれが善意の言葉であっても、例えそれが親友の言葉であっても、具体的に言えば弓花の言葉であってもだ。


「そうなったら、私は弓花を殺しかねない」

「なんで殺されるの私!?」


 いきなりの親友の殺害予告に弓花は戦慄した。思ったことを時々口にしてしまうのは風音の悪い癖である。

「ああ、ごめん。弓花じゃなくても殺しかねないんだよ」

 無差別であるらしい……と、弓花以外のメンバーも戦慄した。まあ、風音の戯言は今日に限ったことではないのですぐさま流された。それでよいのかと疑問に感じざるを得ないが、ともあれ馬車は進んでいくのだった。


 そして浮遊島の一歩手前、つまりは闇の森のすぐ近くまでたどり着いたところで、馬車は止まる。この風音達の進んでいた天空街道はこのまま南下せず、闇の森の外周を回るように進むように出来ている。なので、この辺りが街道上では一番浮遊島に近い場所となる。


「いよいよか」

 ジンライが感慨深そうに、目の前の景色を見ている。浮遊島『エルスタの浮遊王国』はもう目の前。そこはジンライが子供の頃から憧れていた地だった。いや、それはジンライだけではない。ルイーズもメフィルスもライルもエミリィも、ティアラでさえもそうなのだ。そこにこの『白き一団』が足を踏み入れる。感慨深くないはずがなかった。


「よーし、収納完了」


 そんな一行の後ろで風音がアイテムボックスの大型収納スペースのひとつにヒポ丸くん、ヒッポーくんハイ・クリア、タツヨシくんドラグーン・ノーマルをグループ化して収納し終えていた。

 この大型収納スペースは家具などを含めたコテージが収納できているようにいくつかのものを纏めて収納することが可能だ。だが、出し入れはすべて一括で、収納しているうちのどれかを任意に出すと言うことは出来ないという面倒な仕様でもある。

 風音は他のものは小出しに使うならアイテムボックス、素材などは不思議な倉庫に入れておくことで分けて対応している。ちなみにアイテムボックス内はどういう理屈か普通に腐食する。オニギリとか入れっぱなしで数ヶ月経つとヤバいことになるようだった。


 余談ではあるが、昔とある少女が夏休み前にオニギリをバッグの中に入れていたの忘れたまま放置し、二学期始業式の朝に大量のヤ■トノリのような状態でそれがブチマケられてバッグが使用不能になったのを発見したことがあった。それはその少女の心に深い傷を負わせ、以降その少女は机の中にみかんを放置することもなくなったのだという。

 それは遥か昔、神代の時代に起きた忌まわしき過去の記憶である。悲劇は繰り返すべきではない。風音は過去の過ちを糧に、惨劇を回避できる力を持っているのだ。

 ともあれ、よけいなモノは片付けて、今は仲間たちとサンダーチャリオットだけがそこには残っている。


「ええと、これに乗って風音が運ぶんだっけ?」


 弓花が不安そうな顔でサンダーチャリオットを見ながら尋ねる。サンダーチャリオットはドラゴンベア討伐の際に進化して6人乗りから8人乗りへと変化しているため以前よりも大型化している。その弓花の言葉に風音は気軽に返事を返す

「まあ私が運ぶって言ってもどっちかっていうと腕力じゃなくて魔法なんだけどねえ」

 実はドラゴンが空を飛ぶのは決して背中の翼の力によってだけではない。風の加護の魔法が働くことでその巨体を飛ばしているのだ。

 そしてそれは竜体化した風音も同様で、サンダーチャリオットを竜体化した風音が抱えることで共に加護を受けて飛べるようになるとのことだった。


 そして全員が馬車に乗り、風音が竜体化のスキルを使用するとそこは虹色に輝く青いドラゴンが現れる。

 スキルがLv2になったことで全長が7メートルを越えた竜となった風音はその姿で馬車を掴み、翼を広げて一気に飛び上がった。

名前:由比浜 風音

職業:召喚闘士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・ドラグホーントンファー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:36

体力:145

魔力:304+420

筋力:67+20

俊敏力:71+14

持久力:38

知力:72

器用さ:47

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶:Lv2』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携:Lv2』『光学迷彩』『吸血剣』『ハイ・ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『魔王の威圧』『ストーンミノタウロス:Lv2』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』『ドラゴンフェロモン[竜系統]』『ブースト』『猿の剛腕』『二刀流』『オッパイプラス』


風音「あいきゃんふらーい」

弓花「ゆーきゃんふらーい」

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