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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
守護の霧編

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第二百二十九話 魔獣と出会おう

 私の名はドリア・アーモルドというドラゴニュートシティに住む竜人だ。

 先週の黒い魔物の侵攻から続く騒動はまだ収まっておらず、今も結界がなくなったのを良いことに周辺の魔物が集まってコンロン山に侵攻してきているため、毎日のように我々も山狩りに出向いている。周辺の冒険者ギルドのメンバーや竜様も山狩りに協力してくれてはいるのだが、なにぶん魔物は次から次へと押し寄せてくるのだから始末に負えない状態だ。

 そしてドラゴニュートシティの警護兵でもある私は昨日の山狩りの疲れも取れぬまま、本日も早朝の街の巡回をしている。しかし、その途中で実に奇妙なものを私は目撃した。その何かとは突然宿屋の二階を破壊して突き出てきた黒い巨大な腕である。

 本当にいきなりのことだったのだ。私はあまりの唐突な状況に呆気にとられてそれを見ていたが、今はまだ朝早く住民も寝入ってる時間帯だ。こんな時間にまた黒の魔物の襲撃があったとすれば、あまりにも危うい。

 その黒い手が急速に萎み、部屋の中に戻ったのを見て、正気を取り戻した私はただちに宿屋の中へと入り、該当の部屋の前まで駆けていった。

 そこで私が見たのは、部屋の前で宿屋の主人にひざを突いて頭を下げている30から40ぐらいの中年の戦士だった。おそらくあれはドゲザだろうと私には分かった。私は以前にジャパネスからやってきたリキシからドゲザという、ジャパネスにおいて最上級の『ごめんなさい』の表現を教えられていた。目の前の男のドゲザは実に堂に入ったもので、まるで長年ドゲザにすべてをかけてきたような完成された美しさがあった。

 そして、さきほどの腕がなんなのかはよく分からないが、あれはどうやらこのドゲザさんの仕業であるらしい。ドゲザさんは結構な身分の方のようで、むしろ頭を下げられた主人の方が恐縮しているようだった。

 とくにすることがないことを悟った私は、とりあえず宿屋の主人に何かあったら警護所へ来るようにとだけ伝えて、その場を去っていった。

 そういえば巡回中に途中で小さな子供が宿屋の方に向かっていくのを見かけたが、あれはなんだったのか。どこかで見た顔のような気もするが。まあそれはいいだろう。その後は特に問題もなく定期巡回も終え、私は警護所へと戻った。


 警護所へと戻った私は、その場にいた同僚のニックに黒い腕のことを告げることにした。なにかしらあった場合には情報を共有しておくのが鉄則だ。それがいざというときに命を救うこともある。またニックは私の話を聞くと、その宿屋にいるのはどうやら、あの神竜皇后様の護衛の方々らしいぞと教えてくれた。

 であれば、あの腕は恐らくは竜様の人化が解けてしまったのだな……と私は考えた。神竜皇后様は遠き地より神竜帝ナーガ様の后となるために来たらしい。つまりそれはナーガ様の御子が生まれるかもしれないということであり、我々竜人族にとっても大変に喜ばしいことである。とはいえ、前に街にやってきた神竜皇后様はまだ幼かった。成竜にも届いておらず、あの肉体年齢では子を成すことはまだ当面先になるだろう。

 話がそれてしまったが、その護衛のお方となれば恐らくは成竜かその上の神竜の格の方やもしれぬ。恐らくは朝方なので寝ぼけて人化が解けてしまったのだろう。そう考えてみるとあの方をドゲザさんと呼ぶのはさすがに失礼だろうから、ドゲザ様と呼ぶことにしようと私はここで呼び名を改めた。


 そして警護所で仮眠をとり、早い昼食も終えた正午前。私の所属している第四警護団は山狩りに向かうこととなった。霧の結界が解けて魔物が山に進出してきている。それを討伐せねばならぬ。

 ここ毎日のように行われる山狩りに私を含め、団員たちも疲れが溜まっているが、しかしそれを怠れば、どんな悲劇が待っているか分からないのだ。見知らぬ土地を入る魔物は、ともすれば街の近くまでやってくる可能性もある。女子供が喰われてしまう可能性を放ってはおけない。


「あと数日中には封印が行われるとのことなので、それまでの辛抱だ」


 そう団長のグリハラが団員を元気づける。結界が張られても入ってきた魔物の討伐にはまだ手を割く必要があるだろうが、しかし区切りはつく。


 私は竜人ではあるが、一番近い竜様の先祖でも7代前である血の薄い男だ。竜気もほとんど出ない。もっとも力はあったのでこの仕事に就いたのだが、それにしてもこの一週間は激務であった。

 だから私は疲れていたのだろう。そして山狩りの最中に、私は仲間たちとはぐれてしまった。それは致命的なミスだった。魔物が大群で押し寄せているところにたった一人で歩いているなど自殺行為に等しく、私は焦りに焦って仲間たちを探すのだがまったく見つからない。この森の中というのは一度自分の場所を見失うと、中々どこにいるのか分からぬものだ。焦り疲れている私ではなおさらそうだった。普段は見慣れているハズの山の地形も分からぬほどに狼狽していた。


 そして、ここで死ぬのだろうな……私は考えた。仲間たちの姿は見えず、いつ魔物と出会うかもしれぬ。さきほどからざわめく空気を感じている。私の薄い竜の血が危機を察知している。

 私はならばせめて一太刀は……と剣をぎゅっと握りしめて鬼気迫る気持ちを持って先へと進もうとして、森の奥から化け猫が走ってくるのが見えた。


 その姿には私には覚えがあった。エルダーキャット、図鑑の中だけでしか知らぬがすばしっこく攻撃力も高いかなり上位の魔物だ。複数人の冒険者で相手をしてやっと倒せるかどうかという相手だ。しかも聞いていたよりもかなり大きい。

 その威容から抵抗すら起きないくらいに己との格の違いが分かり、私は情けないことに腰が引けて動けなくなってしまったが、だがそれが近付くにつれて、その化け猫の背に人が乗っていることに私は気付いた。

 その姿は化け猫が近づくにつれハッキリとしてきて、よくよく見れば乗っていたのはドゲザ様であった。悠然と化け猫を乗りこなしてドゲザ様が私の前までやって来たのだ。どうやら化け猫はドゲザ様の飼い猫であるらしい。さすがドゲザ様である。

 そして私は自分が仲間とはぐれたことを告げると、ドゲザ様は私を化け猫の背に乗せてくれて、一気に走り出した。その凄まじい速度に私は声も出なかったが、だがたどり着いた先は仲間の元ではなく山の中の、ある一角だった。そしてそこにいたのは神竜皇后様とそのお仲間だ。


「えっと、大丈夫?」


 皇后様のそのお言葉に私は声をうわずりながらたどたどしく返した。緊張していたのでちゃんと答えられたかの自信はない。それに自分の娘ほどの少女の姿をしているが、彼女は竜様であり、ナーガ様のお后様だ。成竜に届かぬとはいえ、そのお年は7~80は超えているだろう。

 私は身分違いの方々に出会ったことで恐縮しまくったが、話を聞けばドゲザ様は神竜皇后様と一緒に魔物を追い込んでいたらしく、あのままだったら私は追い込まれた魔物の大群と鉢合わせするところだったらしい。

 その話に私はゾッとなったが、神竜皇后様たちは特に気にもとめず魔物をしとめるために動き出した。時間が経てば追い込んだ魔物もまた分散してしまう。だが纏まった魔物をどう退治するのだろうか。この皇后様のお仲間たちが一斉に人化を解いてブレスを吐くのだろうか。

 そう思っていた私の想像をよそにドゲザ様が前に立ってその黒い甲冑を纏った右手を突きだした。

 神竜皇后様がドゲザ様に魔物のいるらしい場所を指示をしているようだが、手振りもなしに頷き合うドゲザ様と皇后様のお姿はまるで頭の中を繋げて話しているように見えた。


「よし、みんな離れてーー!!」


 そして皇后様の言葉に従って、お仲間たちがドゲザ様のそばから離れていく。若干ひきつった顔をみなさまは浮かべている。どういうことだろうと私が思っていると、ドゲザ様の身体から伸びた5本の虫の足のようなものが周囲の大地や木々に突き刺さってその身体を固定していくようだった。同時に突き出した黒い右腕が膨れてゆく。

 そして私の目には掌に穴が開いたのが見えたのだが、神竜皇后様が私に近付くと危ないよと言ってきたので、かなり離れた位置まで下がった。皇后様が必死な顔をしていたのが正直怖かった。だが、本当の恐怖を感じたのはここからだった。


 ドゲザ様の背後にはいくつもの岩が詰み上がっていた。それを6本目の足が器用にドゲザ様の肩部から出ている筒に詰めていくのが見えた。

 それと同時に獣の声が響いてくる。その声はドゲザ様の黒い右腕から轟いていた。私はそれを見て、その腕の中に恐るべき魔獣がいることを直感した。


 そして魔獣の咆哮が、叫びが、その場を貫いた。そのまま轟音と共にドゲザ様の腕から何か炎の塊のようなものが飛び出し、その先にあるものを、木々を、そして迫っていた魔物たちを貫いた。


 私は叫び声をあげたのだと思う。だが魔獣の咆哮は私の声すらも飲み込んで、ただただ目の前の魔物を喰らい尽くしていった。


 そこにあったのは破壊だ。純粋なる破壊そのもの。その場にいた数十の魔物が肉片を飛び散らせながら、見るも無惨な姿へと変貌していく。そして舞い上がる土煙がすべてを覆っていく。その魔獣を従えるドゲザ様は猛り狂うように笑っておられた。叫んでおられた。

 背後を見れば神竜皇后様も叫んでおられた。ドゲザ様のお力を賞賛なされていた。お付きの方々は、恐れおののいているようにも見えたが、しかしどこか慣れた顔をしておられるのだから、やはり私のような小さな人間とは違う方々なのだろう。また、何か小さな竜様の姿も見えた気がしたが気のせいだろうか。


 そして、これは横で小耳に挟んだだけの話なのだが、皇后様のお言葉によれば、目の前で見たものは『れいるがん』というものらしい。雷を従え、凄まじい速度で岩を打ち出しているのだとか。

 黒い魔物との戦いでは猛然とした活躍を見せたユミカ様が二本の棒という言葉を口にしたのだが、皇后様は首を振ってぷらずまを利用するので筒状で良いのだとか話していたが、魔術には詳しくない私にはさっぱりだった。


 そして魔獣の叫びも消え、皇后様のお言葉と共に残りの魔物たちの狩りが始まった。逃げ出す魔物たちについては手を出さぬように指示されていたが、それはこの惨状を逃げた魔物たちが他の群れにも伝えることを狙ってのものだろう。そういう点で魔物というのは頭の良い生き物だ。

 魔物たちも魔獣のお力にほとんど戦意を喪失していたようなので、その戦いはすぐさま終わることとなった。そして私は皇后様達に連れられて、無事にドラゴニュートシティへと戻ることとなったのだ。

 街に着き、皇后様たちと別れて警護所に戻ってみると、仲間たちはすでに私が無事であることは知っていたようだが、しかし心配そうな様子ではあった。はぐれた後のことを尋ねられたが、だが私の疲労も既に限界だったので、何があったのかについては翌日に話すことだけ告げてその場から離れた。そして私は家に帰り、妻と子供に簡単な声だけかけるとそのまま布団の中に入って眠りにつくことにした。しかし少々気がかりなこともある。


 果たして私が今日見たものを仲間たちは信じてくれるだろうか……そんなことを考えながら私は夢の世界へと旅立っていったのだった。

名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・魔法短剣フェザー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:32

体力:124

魔力:235+420

筋力:55+20

俊敏力:50+14

持久力:32

知力:62

器用さ:39

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携』『光学迷彩』『吸血剣』『ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『偽りの威圧』『ストーンミノタウロス』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』『食材の目利き』


風音「ああ、ジンライさんがトリガーハッピー状態になってる」

弓花「レールガンってあれだよね。二本の棒の間通って弾丸が飛んでくヤツだっけ?」

風音「うん、そうだけど、これは筒状にしてプラズマの膨張圧力を利用する感じになってるらしいよ。よく分かんないけどそう説明に書いてある」

弓花「というかレールガンって石ころ使って飛ばせるの?」

風音「普通の石は絶縁体だったと思うから無理だと思う。まあ、そこは魔法的な処理がしてあるみたいだね」

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