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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
守護の霧編

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第二百二十六話 親子の再会をしよう

 義手の最終調整を終えた風音たちが東の竜の里に着いたのは、翌日の昼過ぎであった。

 そして、帰りの道中は特に問題もなく進行し、また大竜御殿に戻った後も、そのまま迎え入れられ、すんなりと奥へと通されることとなった。


◎神竜帝の間


「旦那様ー!!」

『父上ーー!!』

 アオが部屋にはいるとそこには20メートルの水晶の竜の鼻っつらにへばりついてスリスリする風音と小さなドラゴンの姿があった。

『うむ。元気であったか、カザネ。そしてタツオよ』

 ナーガはナーガで嬉しそうではある。

 自分の夢を叶えてくれた上に、命まで救ってくれて、さらにお爺ちゃん属性なので風音への好感度にブーストがかかっているナーガである。この最古の竜がチンチクリンにハートをぶち抜かれてメロメロなのも仕方のないことなのかもしれないとアオは思った。

 そしてチョロインである風音は自分を好きな人は基本大体好きだ。弟的なものとオジン的なものはNGだが。ちなみに弟的なものがNGなのは当然直樹が原因である。ジーク王子の不幸は直樹という弟が存在していたことであった。

 そうして短くない時間、続いた抱擁が落ち着いたのを見計らってアオは話に入ろうとしたのだが、その後も旅の途中のタツオのことで盛り上がって、アオも何度も相づちを打って、二時間ほど経過してアオもお疲れモードに入りかかったところで、ようやく本題に入ることが出来た。


「山狩りですか」


 弓花のメールによって話は既に聞いていたが、その話を改めてナーガの口から伝えられたアオが唸った。それは今現在、この場に風音の仲間たちがいない理由でもある。

『うむ。霧の結界が消えた後、周辺の魔物どもが山に寄り付くようになってな。まあ野生動物などは素通りできるようになっていたからな。穴場なのだろうな。ここは』

 結界によって野生動物の宝庫となっていたコンロン山周辺の結界が破壊され、餌を狙って魔物が集結しつつあるという話だった。野生動物は竜達の食料でもあるため、このまま魔物が侵攻すると食糧不足の問題にも発展する。

「弓花は今は東地区の方を狩ってるから、あと二時間後くらいに戻ってくるってメールで来てたよ。それにしてもこのコンロン山でも冒険者ギルドってあるんだねえ。依頼がちゃんと出てるって聞いて驚いたよ」

 ナーガに寄り添う形で座っている風音がそう口にする。

「冒険者ギルドはどこの街にでもありますからねえ。私がこの世界に来たときには今と変わらない感じでしたよ」

 そう言うアオの言葉に風音も「へーそうなんだー」と返す。ゼクシアハーツにも冒険者ギルドはあったのだから少なくとも1000年前から継続しているはずで、寧ろこの時代までその制度が廃れてないことが驚きなのかもしれない。そんなことを考えている風音に、横からタツオが声を掛ける。

『母上ー。母上は冒険者ギルドというものに所属しているのですよね』

「うん、そうだねえ。色々あったけどランクはまだCランクだけど」

 風音の言葉にアオが付け加える。

「カザネさんの実力だけならランクAには届いていますが、ランクは能力よりも実績重視ですからね。基本的にクエストの難易度とこなした数によって上のランクの試験を受けることが出来るわけですしね」

『母上が所属しているそこに私も入ることができるのでしょうか』

 クワッと首を傾げながら尋ねるタツオに風音も「どうだろね?」とアオをみた。そして解答をふられたアオは苦笑しながら「可能ですよ」と返した。

「種族的な違いは問題ありませんし、おそらくは意志疎通ができれば登録は可能でしょう。ギルド自体はそれほど身分証明は必要もないですし」

 そこでアオはいったん区切り「ただし」と付け加える。

「依頼者と直接やりとりできるようでなければ登録はしない方がよいかとは思います。今のタツオくんがひとりで依頼を受けて達成することは困難でしょう」

 そう言われてタツオはくぇえっと肩を落とした。そのタツオの頭を風音は撫でながら「大きくなってから受けようねえ」と言う。

「人化の術が覚えられれば問題ないんですけどね」

 しかし人化の術は本来成竜となってから覚えられるような術である。その前の段階でも覚えることが出来た個体はいるにはいるが、そもそも人化の術は変化の術とは違い、現状の自分の肉体年齢がそのまま変化後にも反映される。なので今のタツオが人化の術を使えても赤ん坊に変わってしまうのだ。

(まあ、人化の術が必要な頃に冒険者ギルドに登録したいと思うかと言えば、また別なんでしょうけど)

 タツオが人化の術を覚えられるようになる頃にはタツオの立場もずいぶんと確定しているだろうとアオは思うが、何にせよ早くても数十年後のことだ。

『そうだカザネよ。街に頼んでいたモノがあったであろう。出来上がって持ってきておったので汝の部屋に置いておいたぞ』

 そうナーガに言われて風音が首を傾げる。頼んでいたものではなく、風音の部屋があるということに対する疑問である。

「私の部屋?」

『うむ。我が后である以上、ここは汝の家でもあろう。部屋を一つ用意させたのだが』

 そこまで言ってナーガが不安そうな顔をして風音を見る。風音の戸惑う姿に、余計なことをしたのではないか、無理に引き留めるような意図を見せたのではないかという不安がよぎったのだろう。もっとも風音がその後に微笑んで、見てくるねーと言って、外の警護の竜に案内されて行ったのを見てホッとした顔になった。それをタツオが『父上ー?』と言いながら首を傾げて見て、アオもその様子に苦笑する。

(おやおや。ナーガ様、本格的に風音さんに参ってるんですねえ)

 まるで恋人になったばかりの年上のお姉さんのご機嫌を伺うようなナーガの反応に、アオが憧憬の目で見ている。

(あんな子供丸出しの性格のロリ奥さんに尻に敷かれて、顔色をうかがって、なんという羨ましい話でしょうか。二次元ロリ一筋だった私が、すでに竜に転生して800年を生きている私が、こんな気持ちになるだなんて……神竜帝ナーガ、あなたはやはり私よりも遙かに大きな器をお持ちのようだ)

 自分は長の器にはなれないな……と改めて感じたアオであった。竜の長の器を得ると言うことは非常に難しいものであるらしい。アオの基準によればだが。



◎神竜皇后の間


「でけぇっ!?」

 風音が案内された自分の部屋に入ってみると、明らかに竜サイズの自分に会わせた作りで驚愕していた。とはいえ、もちろん人間としてのスペースも用意はされている。

『あちらが人化した時の部屋になっております』

 案内してくれたトールズという護衛竜がそう指し示す先には、チョコンと普通のベッドやらタンスやらが置かれた一角があった。面積からすると普通の部屋のサイズである。

「ちっちぇえ!……いや、普通か。普通なのか!?」

 風音が妙な感動を覚えながら、そちらの一角にトテトテと進んでいくと、ベッドの横にあるテーブルの上には肩までのガントレットらしきものが置かれてあった。

『ドラゴニュートシティから届けられたものですが、ご依頼したもので間違いないですか』

 護衛竜の言葉に風音が「間違いないっす」と頷くと、早速そのガントレットの確認をして分解し始める。依頼通りの設計ではあろうが、実際のものではやはり想定していたものとは勝手が違うかもしれないという懸念もある。

 この里を出る前に街の武具屋へと製作を頼んでいたそのガントレットは黒岩竜の鱗とベアードドラゴンの毛を編んだものをあわせたものだ。そのガントレットを、旅の途中で完成させたマッスルクレイの義手に、動作を確認しながら装着させていく。

 ベアードドラゴンの毛は頑丈で魔術を弾く。それをこのガントレットは伸縮性の高い編み方をして黒岩竜の鱗と組み合わせ、マッスルクレイの膨張にも耐えられるように作られている。可変時にもちゃんとガントレットが対応できるようにならなければ意味はないのだが、どうやら依頼通りのものに仕上がっているようだった。

 一時間ほどでガントレットは完成し、風音はそれを持って、護衛竜のトールズに連れ添ってもらって中庭に移動。そこでしばらく試運転をしていると、弓花たちの帰還の連絡を別の竜が伝えに来た。その後、風音はゴーレムメーカーで目の前の惨状を整地してなかったことにして、神竜帝の間へと戻っていったが、しかし護衛竜のトールズはその場で、今起きたことを見ながら呆然としていた。


『こんなもん人間が作り始めたら俺らも危ないよなあ』……と、そう思いながら自らの役目に従い、トールズは護衛の任務に戻っていたのだった。


名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・魔法短剣フェザー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:32

体力:124

魔力:235+420

筋力:55+20

俊敏力:50+14

持久力:32

知力:62

器用さ:39

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携』『光学迷彩』『吸血剣』『ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『偽りの威圧』『ストーンミノタウロス』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』『武具創造:黒炎』


風音「ようやくの完成だねえ」

弓花「アンタ、何を作ったのよ?」

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