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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
眠りの女王編

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第二百十六話 コテージを出そう

◎モンシア王国 ヌバーサの森 夜


「スキル・ゴーレムメーカー・ドダイさま!」

 そう風音がスキルを唱えると森の一角にある木々の隙間のような、土だけの場所の地面が盛り上がる。風音が今なにをしているかと言えばコテージの土台を作成しているのである。

 通常ゴーレムコテージというものは、その場の土塊を引き上げて作成され、その場の地面との接合力が高く安定した角度と頑丈さが保証されている。だが空間拡張の『大型格納スペース』で収納したコテージは、ただしまい込んだものを出すだけなので、むき出しのまま地面に下ろされることになるのだ。なので、そのまま剥き出しで置いたのではコテージが安定しない。

 なので土台だけは毎回ゴーレムメーカーでしっかりと作っておくようにした方が良いというのがマーベリットからのアドバイスだった。

 風音はそれを忠実に守り、そしてコテージを『大型格納スペース』から下ろして出来上がった土台にはめ込んだ。


「なんですか、これは?」

 その設置されたコテージを見てアオが戦慄おののいていた。

(800年は生きているのに落ち着きないなあ)

 横にいる風音はそう思ったが、目の前のものを落ちついて見るというのは非常に困難なことだろう。風音の肩に止まっているタツオも興奮のあまり翼をバサバサ広げて見ている。


 目の前にあるそれは、完全な四角だった。幅15メートル、高さも15メートルと言ったところか。しかも四方全面が鏡張りである。

 これはゴーレム魔術のコーティングの鏡面加工によるものである。元々色を付けるということは光の波長を反射、吸収させるということであり、コーティングにより鏡のような反射を設定することも可能な魔術だ。もっとも完全反射などはウィンドウによる制御でもないと中々出来るものではないのだが。

 さらに、鏡面部の上を厚さ2センチほどのクリスタルガラスを覆せることで二重構造による強化も図っている。

 このただの立方体という単純構造により、外からの衝撃に対してはかなりの強度を誇っていると同時に、鏡張りであるが故に周辺の風景を反射しカモフラージュとしての効果もある。近くで見れば違和感は丸わかりだが、遠目から見るとまったく溶け込んでしまうのだ。なお天辺は柵付きの屋上階となっており、鏡張りではないし、よくよく見れば二階以降には窓が付いていた。

 そして当然のことながら驚くべきところは外見だけではない。

 アオが続けて驚いたのはまず入口が自動ドアだったことだ。開閉時以外は周囲の壁と同化しているのでどこに入り口があるかはまるで分からない状態ではあるが一応地面に申し訳程度の突起があり、それで判断するようにはされている。また開閉はゴーレムによる識別判断であるとのことだ。

 そしてアオが中に入るとそこには風音の竜体化を元にした竜の水晶像が口から水を流している人工の滝があった。風音曰く、都内のレストランでこんな感じのを見たからつけたとのこと。続く廊下はクリスタルガラスを若干青色にして雰囲気を出している。

 そして一階はリビングとキッチンと大浴場と動力室があるようだった。大浴場は一階の面積の半分を使っており、湯船の上は二階、三階と吹き抜けて、空が見渡せるように出来ていた。

 そしてリビングの床には高級そうな絨毯が敷き詰められ、何とも豪華なテーブルにテーブルクロス、その上にやはりどう見ても高価そうな食器類が置かれている。

 それをしげしげと見ているアオに風音が尋ねる。

「アオさんは二周目をクリアしてないんだっけ」

「ええ、残念ながら。おかげで風音さんのように英霊もアーティファクトも手に入れられていません」

 それが使えれば随分と色々なものが救えた気がするとアオは思うが、まだレベル56の貧乳ロリビキニ戦士だったのだから仕方がない。どうにもならないものはならないのだ。もっとも風音の質問の意図はそこにはなかった。

「どっちも強力ではあるけど、日常生活にはいらないからね。その点、これはすごいよ。実はここにあるのはみんなそのコーラル神殿の中にあったヤツなんだよ」

「これが?」

 アオは「泥棒ですか?」とアタマの中でツッコミを入れたが、そもそもコーラル神殿が主不在であることを思い出して口をつぐんだ。

「うん。不滅属性持ちで壊れない、傷付かない、汚れないのがウリなんだよね。あとこの照明も不滅の水晶灯って言って神殿の照明だったんだよ」

「自然光のように見えますね」

 この部屋を太陽に近い光が灯っているのが分かる。生活用ではあるが恐らくはとてつもなく高度な技術の魔法具だろうとアオは判断する。

「身体に優しそうだよね。設置してる数はそれほどでもないんだけど、鏡の反射ですべての部屋に行き渡るようにしてるんだ」

 なるほどとアオは頷いた。天井に見えるスモークガラスのようなものから照らされている光を見て感心する。

「風の流れがあるのは空調ですか?」

「うん。ゴーレム動力で動かしてるよ」

「動力はチャイルドストーンですね。よく造ってますねえ」

 アオがため息混じりにつぶやく。実のところチャイルドストーンを建造物の動力に使うこと自体は珍しくない。というよりもそれが主な使用方法であり、チャイルドストーンは高価な上に戦闘用にはあまり向かないというのが一般的な認識である。

 その使い道は様々で原始的なエレベーターを設置したり、氷を作ったり、炎を起こして暖房にする方法もあるが、これらはすべて人の手でも可能なことだ。換えもきくので金があるならチャイルドストーンをそんなことに使うよりも労働力となる人間を雇った方が良いとも考えられている。

 もっとも風音のゴーレムを用いたチャイルドストーン使用法は、そもそもゴーレムが一国独占であることからまるで知られてもいない。

(ヒドいオーバーテクノロジーですね、これは)

 ファンタジーに似合わなさ過ぎる。若干底冷えするこの地方でも暖かいのが何故かと尋ねれば、どうも直樹から壊れた魔剣をもらって、その魔剣を使って貯めた水を温水にして建物内を循環させているとのこと。逆に冷やす場合には氷の魔剣(破損)を使うそうだ。

 水がそもそもどこから来ているのかという点については、水珠という魔法具によるものだと聞かされていた。これもかなりのレアアイテムである。

 そして二階は寝室だ。男女部屋で別れているのと客室が二つ。三階と屋上はそれぞれフリースペースで風音曰く訓練場?と疑問系で返していた。まだ考えてはいないらしい。ちなみに三階とも水洗トイレ付きである。

 かつて達良のMOD冷蔵庫などを見ているアオではあるが、達良はそこまで住環境に拘ってはいなかった。達良は元々そうした方面にモノグサであったし、やることはほかにも多くあったのだ。しかし風音は違う。彼女はこのコテージ作成に日々努力に努力を重ねていた。例えサンダーチャリオットで街と街を移動しまくってホテル生活オンリーになってからも研鑽し続けてきたのである。そこまで努力し続けた理由は特になく、単に凝り性というだけではあるが、そうして出来たのがこのコテージだった。

 そして大型保存庫から風音が水晶にして保存しておいたローストチキンとシチュー、サラダ、パンなどの水晶化を解いて、テーブルに置いた時には、アオはもうそのまま突っ伏していた。ホカホカの食事がそこにあったのだ。

「水晶化ってそういう使い方もあるんですね」

 辛うじてそう口にするので精一杯だった。なお水晶化を解く際に、タツオが「それ食べたい」と目を輝かせてキューキュー鳴きながら見ていたが、風音は「ダーメ」と言って水晶化を解いていた。

 水晶化した肉などはクリスタルドラゴンにとっての主食である。というよりも水晶化しないと食べられない。タツオはハイブリッドなので普通の肉も食べられるだろうが、しかしまだ生まれたばかりである。この時期は親の竜気を吸わせるだけに留めておく必要があると聞いているので風音も涙ながらに拒絶したのだ。

「ごめんね、タツオ。ちゃんと食べられように成ったら黒岩竜とかベアードとか地核竜のとかたんまり食べさしてあげるからね。あ、クリスタルドラゴンの竜晶石もいけるのかなあ。旦那様に聞いてみよう」

 その僅かな風音のつぶやきを聞いたアオが(それ全部食べさせたらタツオくんとんでもないことになるんじゃあ)と戦慄した。

 とりあえず風音には後で少しずつ食べさせるべきと忠告しておこうとアオは思った。

名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー・リア王

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・粘着剣『ガム』・魔法短剣フェザー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜喰らいし鬼王の脚甲・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器・虹のネックレス・虹竜の指輪

レベル:32

体力:124

魔力:235+420

筋力:55+20

俊敏力:50+14

持久力:32

知力:62

器用さ:39

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』『黄金の黄昏[竜専用]』『ミラーシールド』

スキル:『キックの悪魔』『戦士の記憶』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚:Lv2』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド:Lv2』『情報連携』『光学迷彩』『吸血剣』『ダッシュ』『竜体化:Lv2[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット:Lv2』『より頑丈な歯:Lv2[竜系統]』『水晶化:Lv2[竜系統]』『偽りの威圧』『ストーンミノタウロス』『メガビーム:Lv2』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』『炎球[竜系統]』『キューティクル[竜系統]』


弓花「あーこのバージョンはまだ泊まってないや」

風音「今度一緒に泊まろうね。マーベリットさんにも相談して隙のないコテージが出来たんだよ」

弓花「というかさ。もう、これに住めばいいよね。普通に」

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