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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
ドラゴンイーター編

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第百八十六話 ミノくんと遊ぼう

 ライルとエミリィが風音たちやゆっこ姉、それにティアラたちの素性などを知った夜の翌朝、風音はお手洗いにいく途中でライルとエミリィのふたりが目に隈を造ってボーッと窓の外を眺めているのを見た。

 その様子に風音は「大丈夫かなあ?」と心配になったが、その後ふたりとティアラとの間にぎこちないものはなく、いつも通りに接することができているようだったので一安心した。直樹がジンライの話の後にライルとエミリィ、そしてティアラと4人でしっかりと話をしているのは風音も見ていたが、それが上手く行ったのだろう。

 なお、ティアラを特別扱いしないようにと話す直樹の姿にティアラの好感度がバカ上がりし、仲間に親身になる直樹にいつも通りエミリィがキュンとなっていたのだが、直樹がモテているところを書く意義が見いだせないのでそこらへんは省くことにする。


「しばらくはディアサウスとドルムーの間の通りが厳重警戒地域に指定されます」

 朝食終了時に、風音たちはギルドマスターのベンゼルからそう告げられた。

 やはりチャイルドストーンと地核竜の肉を奪われた件はかなりよろしくない案件だったらしく、近々ハイヴァーン軍で討伐の編成が組まれるとのことだった。

「ジライドもムチャをしなければ良いがな」

 ジンライも心配顔だ。コボルト・ブルーの毒は熟練者殺しとも呼ばれているほどに危険なものなのだそうだ。ジライド自身がコボルト・ブルーに後れをとるはずもないとはジンライも考えているが、部下の竜騎士と騎竜は別だ。力押しで挑めば毒を食らって多くの犠牲者が出る可能性はある。

 もっとも、だからといって今の風音たちで何かできることはないので、早々にその話は打ち切られる。自分たちが次にディアサウスに戻るのは一週間か二週間後くらいになるだろうし、その間に状況が終わっている可能性は高かった。

「それで風音、私たちは今日は一日特訓三昧だけど、あんたはどうするの?」

 余計なことを考えるよりも汗を流せば良いだろうと言うジンライの案により、ライルとエミリィの強化を中心に本日は修行を行うようだった。

「そうだねえ。今日は魔力を使うこともあんまないだろうし、夕方にはそっち寄るつもりだよ。ジンライさんがミノくんをご所望のようだしね」

「うむ。前回の時はワシはナイトーさんなしだったからな。今日は一緒に戦わせてもらうぞ」

 爺さん、超やる気である。

「ミンシアナから人が来るみたいだし、夕方まではその人とアイキスさんと打ち合わせかな。直樹も同行してもらうし特訓には午後から合流させるよ。いいよね直樹?」

「ん、分かった」

 風音の言葉に直樹が頷く。

「実はわたくしも午後から特訓ですのよ」

 風音たちの言葉に続いて、ティアラが文字通り胸を弾ませて、そう口にした。

「午前中はみっちりお勉強だけどね」

 ルイーズがティアラにそう言ってたしなめる。

 ティアラは前回の特訓から思うところがあるらしく、槍の稽古を希望していた。召喚体であるフレイムナイトの操作が頭の中のイメージだけでは限界を来ているということもあり、実際に体感することで強化を図ろうと考えているようだった。


 そしてシュライン魔法武具工房に行った風音と直樹であったが、ミンシアナから来たのは風音を一度は暗殺しようとしたガルアの部下の研究員だった。彼が持ってきたのは真白銀を多く取り入れて魔力吸収量を高めた蓄魔器で、コレを柄として水晶竜角の剣を造ることを提案してきた。

 もっとも柄の中心には水晶竜角の芯を差して固定する必要がある。なので柄自体を伸ばしてマッスルクレイを積める量を増やす形となった。そして風音は昨日から柄の先の部分に『あるもの』を設置できるようにだけは強く要望しており、それも取り入れられることとなる。

 また叡智のサークレットの遠隔視などにも利用されている水晶眼は核部分を取り出して直樹用のイヤリングにすることになった。これは風音の遠隔視に近い機能を持っており、直樹の『操者の魔剣』の補助装置となるのだ。

 こうして製作するアイテムの内容が概ね決まったところで直樹は修行に行き、風音は日程の調整に入る。完成までに二週間近くはかかるとのことで、竜の里から戻ってきたときに受け取れるように話をして、風音もジンライたちの下へと向かった。

 そして続いては予定通りにジンライとミノくんの勝負である。



◎ドルムーの街 近隣の草原


「ぬぉぉおっ」

「ああ、また壊されたぁっ」


 最後の騎士型ゴーレムナイトーさんがジンライの竜牙槍によって破壊された。

「ええい、ミノくん、ヒポ丸アールやっちゃえ!!」

 風音がぐぬぬ顔でゴーレムたちに指示を出す。

 ジンライは、ストーンミノタウロスの3メートル魔剣による微塵切り攻撃をバックステップで避ける。そして左右から迫った、胸から衝角が突き出ている水晶馬の攻撃も跳んでかわし、そのまま一体の首を刎ねた。

「そこだ、ミノくんッ!」

 しかし、上空にいるジンライは無防備。ストーンミノタウロスは再度3メートル魔剣を振るい、ジンライはそれをとっさに手に持つ二本の槍を交差して受け止め、そのまま弾き飛ばされる。

「ぬっ」

 その威力にジンライの口からうめき声が漏れるが、だが2回転ほどして地面に着地。槍の柄を突き立てて、その場で踏ん張った。

「ヒポ丸アール、アタック!!」

 風音が再度ヒポ丸アールを仕掛ける。

 この水晶馬は黒岩竜の角で武装したヒポ丸くんを参考に造ったもので、胸から鋭い角が突き出ている水晶化で硬化したゴーレム馬だ。アールはレファレンスのR。つまり量産機である。そしてさきほどジンライが頭を刎ねたヒポ丸アールも駆けてくる。

「頭なんて飾りです!えらい人には」

 風音が何かを言い掛けたが、だがジンライはタンッと走り出すと水晶馬二体を、二本の槍で衝角ごと一気に貫いた。

「あちゃあっ!?」

 これは完全な風音の落ち度だ。ストーンミノタウロスに10メートルは弾かれたジンライは、その時点でストーンミノタウロスの間合いの外にいた。そして風音はその間合いの外にいるジンライにヒポ丸アールをけしかけてしまった。

 ストーンミノタウロスの追加攻撃がない以上、ジンライはヒポ丸アールに対して全力で迎撃できる。これで風音の手持ちはストーンミノタウロスのみとなった。いや……


「時間切れだぁ」


 風音が肩を落とすと同時にストーンミノタウロスが崩れだした。活動制限時間の10分を超えたためだ。つまり風音の負けであった。


「うーん、負けちゃったかぁ」

「うぬぅ。あのミノくんとやらを結局破壊できなかったではないか」


 勝負に負けた風音と、自力で倒しきれなかったジンライがどちらも悔しそうな顔をしている。

「カザネってゴーレム大軍団でも造るつもりなのか」

「お爺さまもお爺さまよ。なんでひとりであれを堪えられるわけよ?」

「ふたりとも、感心してないで次は俺たちの番だってこと思い出せよ」

 カザネとジンライの双方に戦慄しているライルとエミリィは、直樹からの容赦のない、現実に引き戻される言葉を浴びせられる。

「お前の姉さん、手加減してくれるかなあ?」

「前回のことを思い出せ。姉貴はジンライ師匠に負けた腹いせに、より強力なゴーレム部隊を出したんだぞ」

 直樹は姉の悔しそうな顔を見て理解している。あの状態の姉が手加減などしてくれるものかと。恐らく対ジンライ用を見据えて、さらに別の編成で自分たちを攻めてくるだろうと。

「ああ、そうだったな」

 ライルが力なく頷く。朝から修行と休みの繰り返し。そしてこれが本日の締めとなるはずだが、その締めは重い。

 とりあえず気を取り直して三人は風音の前に進むことにした。

 ちなみにだが、弓花は戦いの場より少し離れたところでティアラに稽古を付けながら、その光景を見ていた。


「ユミカはいいんですの?」

 慣れぬ運動に息を切らしているティアラがそう口にする。弓花がティアラの稽古を付けているせいで、ジンライたちの模擬戦に参加してないのだろう、と気にかけているためだ。

「うん。戦いはここからでも見れてるしね」

「でも……」

「まあ、あの編成のままなら師匠は次にはストーンミノタウロスを倒せるし、私も勝てると思うよ」

 そう断言する弓花にティアラは一瞬ゾクッとした。あれに勝つ……というティアラには絵空事のようにしか思えないことを、弓花があまりにも自然に口に出したからだ。そしてそれは紛れもなく事実なのだろうと、少なくとも弓花自身は自分の言葉を疑っていないだろうと感じられた。

 どうやらスキルとして与えられた天賦の才は、ただの女子高生を無自覚なままに恐るべき戦士へと引き上げ、そして未だ留まることを知らないようであった。


 そして修行も終わり、日は落ち、また登った翌日。ついに風音たちがドラゴンステーキ・エンジェルラダーを食するときがやってきた。

名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・粘着剣『ガム』・魔法短剣フェザー×2・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜鬼の甲冑靴・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器

レベル:31

体力:114

魔力:205+420

筋力:55+10

俊敏力:48+4

持久力:31

知力:62

器用さ:39

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』

スキル:『戦士の記憶』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv3』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド』『情報連携』『光学迷彩』『吸血剣』『ダッシュ』『竜体化[竜系統]』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット』『より頑丈な歯[竜系統]』『水晶化[竜系統]』『偽りの威圧』『ストーンミノタウロス』『メガビーム』『空間拡張』『偽銀生成』『毒爪』


風音「苦心作ヒポ丸アールが初登場早々にボロボロにやられてる件」

弓花「バラバラじゃなくてナイトーさん乗せてみたら?」

風音「よし、じゃあ次はソレ試してみよう」

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