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まのわ ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~  作者: 紫炎
水晶竜編

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第百三十四話 贈り物をしよう

 前回のティアラと直樹ですが弓花がティアラに聞いた話では、宿の外に出た後にすぐに直樹と出会えたので、そのまま散歩しながら色々と話して「これからも一緒にがんばろっ」って感じで落ち着いて帰ってきたらしいですよ。 エッチいこととかキスとかはなかったとのこと。まあ、その後直樹は姉の顔をガン見してましたが。


 ともあれ昨日の話し合いにより首都ディアサウスまでの道のりは確定した。

 まずは明日の朝に出立し、昼にはモロゴ山の麓で温泉探し。翌日と翌々日はドンゴルの街に泊まり、その後はシロディエ湖のルイーズの別荘で三泊。そしてドラゴンステーキのメッカとして有名なドルムーの街で黒岩竜の肉を調理してもらって食し、最後に首都にという感じである。例によって面白そうなことがあったらそっち優先であることも風音は言い含めていた。

 と、そこまで決めた翌日の今日は予定通り旅の準備である。



◎リザレクトの街 商業地区 バゲイン武具店


「ミナカさんだったっけ。いいのかい? こいつは結構な業物だが?」

 バゲイン店長が手に持つ刀を眺めながらそう尋ねる。

「はい。家を出るときの支度金で買ったものですが、今はこれがありますから」

 そう言って腰に下げた白い刀を見せる。鞘に収まって尚輝きを感じさせる刀だった。

「なるほどな。ま、売っていただけるなら買わせていただきましょう」

 店長は後ろにいる店員におおよその金額を口にして、細かい部分の洗い出しと確認を任せた。

「これで旅の費用も出せます」

 そしてミナカはほっと一息吐いた。どうもウォンバードの街で雷の魔剣を買ったことでカツカツだったらしい。大闘技会の賞金もミナカの順位ではそれほどではなかったようだ。

「ミナカさんはこの街でお別れだもんねえ」

 後ろにいた風音の言葉にミナカが頷く。ミナカはパーティメンバーではないし、武者修行という目的もある。このまま、また竜船でミンシアナに戻り旅を続けるそうだ。


 そんな会話をしている風音たちだが、今はリザレクトの街の武具店で買い物中である。メンバーは風音、弓花、ティアラ、ミナカに、珍しく風音が誘って直樹もいっしょだった。

「そんで、鬼殺し姫様も来たってことはあれを引き取りに来たっつーことだよな」

 店長がそんなことを言って風音を見た。一同が何か注文してたのかと注目する中、風音は「いただけますー?」と尋ね、店長も「待ってな」と言って店の奥へと入っていった。

「あんた、また何か買ったの?」

「またとはなにさ。またとは!」

 弓花の言葉に憤慨する風音だが、普通に暮らしていくには十分すぎる金銭を得ておきながらさっさと浪費する親友に対しては正しい忠告である。

「おし、こいつだ」

 そんな風音と弓花のやりとりを聞いていない店長は黒い防具一式を持ってきた。

「防具ですわね」

 ティアラがそれを見て、そう口にした。

「黒い竜の鱗の装備?」

 弓花がその装備を風音のお胸当てと篭手を見比べながら、そう口にした。その弓花の言葉通り、出されたものは胴から手足までの竜鱗の軽装甲装備だった。

「そんじゃ直樹、受け取りなよ」

「え、俺?」

 突然のご指名に直樹が自分を指さして驚きの声を上げた。

「いい姉ちゃん持って幸せだな坊主。お前、それだけで一財産になるぜ」

 店長が直樹にそう言いながら手渡す。この言葉はお世辞でもなんでもない。名ありの竜で作成した装備はとにかく稀少で材料自体がほとんど出回っていないため、普通に買えるものではないのだ。

 ここ最近では名ありは北の地のダンジョンで『黒竜ハガス』が復活し沸き立っていたが最終的には人化した状態で討伐されたため、素材は出回らなかった。なので業界内では黒岩竜ジーヴェとヌマのダンジョンで討伐された黄牙竜ゼロモスの素材が現在高額で取り引きされている。オルドロックの洞窟内でも風音たちが回収し損ねていた竜鱗を拾い集めることを多くの冒険者たちが行なっていたようだった。

「竜鱗を薄くスライスして重ね合わせてるから衝撃吸収は若干落ちるが軽いし防御力は高いしほとんどの魔物の爪も牙も貫通しない。あんたみたいなスピード重視のファイターには打ってつけのシロモノだな」

 それを信じられないような目で直樹は見ている。その防具の価値は風音たちよりも三年冒険者として過ごした直樹の方が分かっている。今の自分のランクで手に入れられるようなものではないということは十分すぎるほどに理解していた。

「こんな高価なもの、いいのかよ姉貴?」

 恐れ多いとすら思えたが、風音はドヤ顔で「凄くね、弟にこんないいもの上げる私凄くね」という笑顔を店長とかに振りまくのに忙しくて直樹の質問を聞いていなかった。店長、ちょっと苦笑いである。そんな直樹に弓花がポンと肩を叩く。

「ま、あれはあれなりにあんたのこと心配してるんだし、もらっときな」

「弓花……」

 直樹は弓花の言葉を聞き、竜鱗装備を見ながら頷いた。

「ああ、そうだな」

 嬉しくないはずはないのだ。直樹は弓花の言葉で踏ん切りが付くと「ちょっと着替えてくる」と言いながら店の着替え部屋に入っていった。


「それで、成竜の角を扱える人って見つかったの?」

 直樹の反応に満足した風音は、そのまま店長と話をしていた。ちなみに他にも何か受け取っていたが「秘密」とのことだった。

「うーん。成竜ってだけでも難しいんだが、あれは特に硬いからねえ。あの坊主の鎧の鱗の加工だってかなり大変だったんだからさ」

「親方もそんなこと言ってたね」

 店長との会話の内容は成竜の角の加工について。以前に親方が匙を投げた黒岩竜ジーヴェの角の加工もこの竜と馴染みの深いハイヴァーンでならと思い、直樹の鎧作成次いでに調べてもらっていたのだ。

「ちょっとウチではわからないね。ドラゴンハンターの集まるドンゴルの街とかならもしかすると加工する方法も知ってるのもいるかもしれないけどね」

「うーん、そっかあ」

 元々そちら方面の話を聞くためにドンゴルには行く予定を立てている。最終的に竜の里に行くのだからそちらで尋ねるという手もあるのだ。風音がそんなことを考えていると直樹が着替えを終えて出てきた。

「姉貴、どう似合ってるか?」

 着替え室から出てくるなり顔を紅潮させながら直樹が尋ねる。

「うん。そりゃ私の見立てだからねえ」

「いいですわよ」

「悪くないんじゃない」

「黒岩竜の装備ですか。あのジンライ様の槍と同様に強力な気を感じますね」

 順に風音、ティアラ、弓花、ミナカの言葉である。それに直樹が非常に嬉しそうな顔で感動しながら屈伸などをして動かしてみた。と、しばらく体を動かしていた直樹がふと気になったことを風音に尋ねた。

「そういえば姉貴。これだけのもの、よくもすぐに造れたもんだよな」

 直樹の質問に風音は首を横に振る。

「すぐなわけないでしょ。この街に来た日に親方のコネで頼んでおいたんだから」

 コネと言っても早く造ってもらうだけでお金はかかる。素材分はさっ引かれるが当然加工代は安くない金額が支払われていた。

「ま、うちとしてもバトロア工房の親方に頼まれて、あんな珍しいもん扱わせてもらったんだ。良い商売させてもらったと思うよ」

 店長も満足げな顔で頷いている。その言葉に直樹も「そんな前から俺のために」と感動していた。まあ風音もその反応には満足げだ。ドヤ顔だった。


 その後は弓花、直樹、ミナカは定例の訓練に出掛けていった。ティアラもルイーズと召喚の勉強のために図書館で待ち合わせらしい。

 別れ際に、ジンライが用があるらしく参加できないみたいと弓花が嘆いていたので、風音は「そうなんだー」と白々しく返事をしておいた。何故こないのか真相は闇の中である。



◎リザレクトの街 外周


「スキル・ゴーレムメーカー・アミド」

 仲間と別れた風音はユッコネエを召喚し護衛に付けて、街の外れでゴーレムメーカーの実験を行なっていた。

「うん。思ったよりも出来がいいかも」

 今風音が行なっているのはゴーレムメーカーのLv3の確認である。昨日ゴーレムメーカーをいじっていたらスキルのレベルが上がったのだ。

 そして『ゴーレムメーカー:Lv3』の能力は消費魔力の軽減とコーティング化。コーティングとは硬化の上位の固定化というもので一定ダメージを与えられなければ一切形が崩れないというもの。そしてコーティング化した部分には色を設定する事が可能だ。リアルスケールで某アニメのロボットとか再現可能になるためゼクシアハーツでは専用機体用とか呼ばれていた。動かすのは魔力が足りなくて無理だが、そこらへんはMODの領域である。

 また実用性でいえば、金具などの小さく細かいパーツもコーティングすればカッチリしたものが造れるので開け閉めできるドアなども作成可能となる。今風音が作っている網戸や鎧戸などもできるのだ。さすがにガラスまでは造れないが色を付けるだけでも印象はガラリと変わる。

「こいつはコテージ造りが捗るねえ」

 人知れず風音はそう呟いた。ワクワク感が止まらないような、そんな顔をしていた。

名前:由比浜 風音

職業:魔法剣士

称号:オーガキラー・ドラゴンスレイヤー・ハイビーストサモナー

装備:杖『白炎』・両手剣『黒牙』・粘着剣『ガム』・魔法短剣・竜鱗の胸当て・ドラグガントレット・銀羊の服・シルフィンスカート・プラズマパンツ・竜鬼の甲冑靴・不滅のマント・不思議なポーチ・紅の聖柩・英霊召喚の指輪・叡智のサークレット・アイムの腕輪・蓄魔器・白蓄魔器

レベル:29

体力:101

魔力:170+420

筋力:49+10

俊敏力:40+4

持久力:29

知力:55

器用さ:33

スペル:『フライ』『トーチ』『ファイア』『ヒール』『ファイアストーム』『ヒーラーレイ』『ハイヒール』

スキル:『戦士の記憶』『夜目』『噛み殺す一撃』『犬の嗅覚』『ゴーレムメーカー:Lv3』『突進』『炎の理:三章』『癒しの理:四章』『空中跳び:Lv2』『キリングレッグ:Lv2』『フィアボイス』『インビジブル』『タイガーアイ』『壁歩き』『直感』『致命の救済』『身軽』『チャージ』『マテリアルシールド』『情報連携』『光学迷彩』『吸血剣』『ダッシュ』『竜体化』『リジェネレイト』『魂を砕く刃』『そっと乗せる手』『サンダーチャリオット』


弓花「そういえば前回の時点でレベルが3だったわね」

風音「私のコテージ作りも新たなる段階に進むときがきたんだよ」

弓花「あんた、マジで普通に建築業につきなさいよ」

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