第四十一話「アルティメットコード」
「豊楽なるウィンド…超然たる風の申し子よ!今こそその力をこの大空に示せ!出よ《アウマフ》!」
ビルの屋上の更に上空――
エメラルドグリーンの召喚紋が描かれ、その中から鳥型の電神《アウマフ・レプリカ・ウィンドフォーム》、通称 《アウマフ・リウィンド》が大きな両翼を広げ姿を現す。
サラがヴォルシオンの首を上空に向けそれを視る。
「…アウマフ!?……先の、風の子か……」
サラは呟き、ヴォルシオンに戦闘体勢を取らせる。そして《アウマフ・リウィンド》はその両翼を羽ばたかせ、ヴォルシオンの前方にあるビルの頂上へ降り立った。
「我は《電脳守護騎士》が一人、火の精霊、サラ。一人残り仲間を先に行かせるとは中々に健気な少女よ。名を聴こう!」
サラがウィンドに向かって声を上げる。
「風のウィンド……ううん、私は相川風子!」
ウィンドの凛とした声が大空に響き渡る。それを聞いたサラは口角を上げ、更に言葉を続けた。
「風子、我の使命はアウマフと貴様を倒し、異界の扉である《ヘラクレスの柱》を開くこと!」
それを受けウィンドは
「私は、その異界の扉を閉ざす為、この地の楔でもある君を倒す!」
アウマフが両翼を羽ばたかせ、ヴォルシオンへ突進する。それを見たヴォルシオンは両足のスラスターを全開で噴射し、後方へ移動してその攻撃を躱した。
「…やはり、相容れぬか!」
サラはそう言うと再び脚部のスラスターで加速してビルの上を駆けアウマフに突進した。
『超次元電神ダイタニア』
第四十一話「アルティメットコード」
「ッ!」
それを見たアウマフも両翼を広げ機体を上空に急上昇させる。だが、サラの動きの方が一歩早く、ヴォルシオンは直下からアウマフを襲うが――
ガインッ!!
「ッ!?」
ヴォルシオンは背後からの一撃を受け、体勢を崩し近くのビルの上に着地した。
「………」
サラはその違和感を察知し無言で思考を巡らす。そして尚も上空を飛び続けているアウマフに視線を移す。
すると今度はアウマフからヴォルシオンに向け風の初級遠距離攻撃スキルである《風の刃》が複数発射された。
サラはそれを目視した瞬間に回避行動を取る。ヴォルシオンは再び隣のビルへと跳び移り難なく《風の刃》を躱した。
ガインッ!!
ビルに着地した瞬間にまたヴォルシオンに鋭い一撃が着弾した。その一撃でヴォルシオンは外装の一層目を貫かれ、開いた穴から火花を散らす。
「………」
サラはそれを確認し、視線をアウマフに移す。そして再びアウマフの動きを確認した。
「……どこから…」
サラは再び五感を研ぎ澄まし思考を巡らす。しかしヴォルシオンのセンサーにはアウマフ以外の反応は出ていない。
「…面妖な。幼い顔をして中々にやるな、貴様!」
サラが吐き捨てたその言葉にウィンドが
「私たち精霊に見た目の年齢は関係ないのは知ってるでしょ?余り私を子供扱いしない方がいいよ」
と真剣な声色で返す。
「確かになッ!」
ヴォルシオンは巨大な口を開け、そこにエネルギーを充填させる。そして上空を悠然と飛んでいるアウマフに向け火球を四発発射した。
「《追尾火球》!幾ら貴様が避けようと当たるまでその火球は止まらん!」
サラはヴォルシオンの口元から放たれた火球を見てそう叫ぶ。
アウマフが多彩な立体機動を空中で見せるも、四つの火球は振り切れずサラの言う通り完璧に追尾してくる。
「これでどうかッ!」
サラのその声に反応して一直線にアウマフを追っていた火球の軌道がそれぞれ分散され、各々違った軌道でアウマフを捉えようと前後上下と更に立体的に襲い掛かってくる。
サラは命中を確信し、アウマフが火球に貫かれる姿を想い描いた。
しかし――
ガガガガンッ!!
サラの耳に聞こえるはずのない衝突音が響き渡った。その瞬間、サラの目には信じられない光景が映し出されていた。
「なッ!!?」
アウマフに向かって放たれた火球はぶつかる瞬間、全て同時に爆散した。そして自身の駆るヴォルシオンにまで先程の鋭い攻撃が二発三発と浴びせられた。
それを目の当たりにしたサラは驚きを隠せず声を上げた。
「………」
アウマフを無言で見上げるサラはスラスターを全開にし、遥か上空へ跳躍した。
「ッ!」
それと同時にアウマフが両翼を羽ばたかせ、サラのヴォルシオンから離れる様に回避行動を取る。アウマフを捉えられなかったヴォルシオンが近くのビルへと着地する。
「………」
(一定の距離を保ちながら付かず離れず…向こうから積極的に攻撃をしてくるでもない。だが、どういう訳か彼奴の攻撃が読めない……)
サラが脚を止めている間にも、アウマフは旋回し規則的に《風の刃》で攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を避けようとするとまた強烈な一撃を浴びせられた。
(ヴォルシオンの装甲を貫くこの攻撃!《風の刃》の威力では決してない!しかも着弾点と発射角が違い過ぎている!)
サラはアウマフの攻撃を躱しながら自身の思考を巡らせる。
ヴォルシオンのセンサーには今も他の動態反応はない。しかしあの攻撃は紛れもない、風子の物だ!
「!………まさか…!?」
ヴォルシオンがビルの上から上空を飛ぶアウマフに向け、頭を低くし獣の攻撃姿勢を取る。
「暴くぞ、《最終攻撃》……」
ヴォルシオンの目に紅い光が点ると巨大な顎を開けその場で勢いよく口を閉じた。
「《空間咬砕怪華》!!」
ヴォルシオンの閉じられた牙の隙間から光が漏れ出し、次の瞬間ヴォルシオンはアウマフの直ぐ後ろにまで移動していた。
「あッ!!」
ウィンドが驚き叫ぶと、アウマフは咄嗟にヴォルシオンから距離を取ろうと回避行動に移る。
ヴォルシオンは自由落下するより早く空中で口を開けその場でもう一噛みした。
すると開いていたアウマフとの距離が一瞬で無くなりアウマフの背後を取った。
そして次の一噛みでその鋭い牙はアウマフを捉えたのだった。
アウマフはヴォルシオンに噛み付かれたまま地上へと落下していく。
だがウィンドは冷静だった。
(あれが風待さんがやられた攻撃…!多分、空間を噛むことでその直線上の空間を消しちゃうんだ。それで、瞬間移動したかのような移動を可能にしてる!)
ウィンドが冷静に状況を把握してる際にもアウマフはヴォルシオンの鋭い牙と強靭な顎によって砕かれ、破片は次々に光の粒子となり、やがて全てが消えていった。
「くッ!」
ウィンドはその姿から目を背けると、涙だけをその場に残し姿を消した。
船橋市、ビルの建ち並ぶオフィス街――
地上へと落とし遂にアウマフにとどめを刺したというのに、サラの気は晴れなかった。
(……アウマフを仕留めたというのに、依然《ヘラクレスの柱》に変化が無い……やはり、このアウマフは別物?)
シルフィはアウマフのような精霊との結び付きが強い電神を破壊すれば《ヘラクレスの柱》の鍵は外されると言っていたが、どうにもこのアウマフは最初からおかしかった。
相川まひるが居ないのに存在していたり、何よりその挙動が単一だったのだ。
ヴォルシオンの攻撃が届かない上空からヒットアンドアウェイを繰り返し、いざ倒してみれば思った通り――
「風子と言ったな。何故アウマフを捨てた!?」
サラはヴォルシオンを地上に座し、そのコクピットを開け姿を晒し叫んだ。
その声に対し
「捨てたんじゃないッ!アウマフは、よくやってくれたよ…」
遥か遠くからウィンドの声が響く。その姿は未だに見せない。
「ふっ…貴様、元々アウマフに乗っていなかっただろう?自分の電神を乗り捨てておいてよく言う」
サラのその言葉にウィンドは図星を突かれたかのように押し黙る。
(アウマフ、ゴメン…!上手く乗ってあげられなくて……ッ!)
サラの言う通り、ウィンドは早くにアウマフに見切りを付けていた。レプリカということで元のアウマフより性能は落ちると風待から聞かされてはいたが、実際に乗ってみるとサラのヴォルシオンと正面切って立ち合える程のポテンシャルはなく、ウィンドはアウマフを自動操縦に切り替え囮として使う決断を下した。
「通りで攻撃が非ぬ方向から来るわけだ。我の獣の耳と眼を持ってして漸く気付けたがな」
そんなサラの言葉にウィンドは奥歯を噛み締めた。
「でも、私のすべきことは変わらない!サラさん、君を倒す!」
ウィンドがそう叫ぶと同時にサラの頬を掠め、一筋の光の矢が後ろのヴォルシオンへと突き刺さり消えた。それを見てサラは瞳を閉じて口角を上げる。
「ふふ…そう言いながら我を直接撃たないのか?甘いな、風子…」
ウィンドはそんなサラに返す言葉も無く押し黙る。
「だが、その甘さ、嫌いではない。我も正々堂々征かせてもらう!」
サラは完全にヴォルシオンから降りると白兵戦の姿勢を取った。
「我のヴォルシオンをよくぞここまで狙い撃った!貴様の攻撃は的確に電神の急所である関節を捉えていたぞ!あと一噛み届いていなければ、今頃消えていたのは我のヴォルシオンの方だったろう!」
光の矢が放たれた方角へサラが奔り出す。街の雑踏は人で賑わっていたが、誰一人としてこの二人を目視することも認識することもなく、二人だけの戦いが続いていく。
サラが奔る正面から《風の刃》が放たれてくるのが視えた。サラはそれを視認してから余裕ある体勢で躱す。
だがその直後、サラの真横から別の《風の刃》が発生しサラの右腕の手甲を傷付けた。
「ッ!何!?」
サラの周囲を走っているかのように、ウィンドは四方八方から《風の刃》をサラ目掛けて撃ち出す。
(《風の刃》を幾つも放つだけでなく、我が間合いを詰める動きを先読みしているのかッ!?)
ウィンドの繰り出す攻撃にサラは防戦一方だ。しかもそれが全て急所を狙ってくるのだから厄介極まりない。
(しかし……この攻撃自体は必殺という程ではない……!この程度ならばまだ我にも捌け――)
サラがウィンドの《風の刃》を避けようと、慣れ始めた回避の動作を再度した瞬間、凄まじく速く鋭い一撃がサラの左脚を貫いた。
「が、あッ!?」
そしてどこからかまたウィンドの声が聞こえてくる。
「《一陣の風》…私が使える魔法で一番速く、一番強く、一番遠くまで届く魔法だよ…」
その声はどこか悲しげで儚げで、まるで決着を望んでいないかのようにサラには感じられた。
「その脚じゃ、これは躱せないよ……」
ウィンドがそう呟くと同時に《一陣の風》の強烈な一撃がサラの胴体に突き刺さり吹き飛んだ。
「くッ!まるで自分の体でないかのように、体が……重いッ!」
サラは息切れしながらも次々と攻撃を繰り出してくるウィンドの攻撃に応戦するが、段々と手数が減らされていき劣勢に追い込まれていく。
(これが彼奴本来の力か!?幾ら速いとは言え、この我がこうも躱せないものなのか?)
サラはウィンドに近付くことも遠ざかることも出来ず一方的に攻撃を受け続ける。その野生の直感とも言える反射神経で何とか致命傷だけは免れていた。
ウィンドはサラの必死の様子に顔を歪ませる。
(これだけ攻めてるのにまだ倒せないなんて……流石はSANYの直近だ。だけど、もう…ッ!)
ウィンドは再び《風の刃》をサラへと向ける。だがその狙いはサラではなく地面に着弾し砂煙を巻き上げただけだった。
(これでもう!立たないでッ!!)
砂煙を煙幕にウィンドは更にサラとの距離を開けようと後ろに飛び退きながら左腕のボウガンを前に構えた。
だが次の瞬間、その砂煙が空間に穴でも開いたかのようにポッカリと真円状に削り取られ、ウィンドの目の前にサラの鬼気迫る顔があった。
「この体では《最終攻撃》は使えないとでも思っていたのか?」
サラがそう呟くと同時にウィンドに向け炎を纏った拳の一撃が炸裂した。
「ぐッ、あッ!!」
ウィンドは拳で吹き飛ばされ、街の建物に激突して背中を強打し、そのまま地面に崩れ落ちた。
「はぁッ!はぁッ!ようやく、捉えたぞッ!」
サラの息が上がっている。ヒトの体で《最終攻撃》まで使った反動が大きかったようだ。
ウィンドが何とかその体を起こそうとしているのが見えた。
(強い、強いなぁ……あの人……)
ウィンドはサラを見つめると、とても悲しそうな表情で微笑みこう言った。
「まだまだぁ…!」
ウィンドは《風の刃》を幾つも放つが、サラはそれを物ともせずに真っ直ぐウィンドへと進んでいく。
「そんなものが今更我に通用すると思うなッ!全て空間ごと噛み砕いてくれる!」
先程と同じようにサラは自分に向かってくる《風の刃》ごと空間を削り取りながらウィンドへの距離を詰める。
「ッ!!」
ウィンドは咄嗟に自分に《回復》を掛けながら、更に距離を取ろうとするが、サラが地面を強く踏みつけると地面から巨大な炎の柱が立ち昇りウィンドの両足を焼いた。
「ぐッ……あ゛ぁあ゛!!」
ウィンドは痛みに叫び声を上げながら地面へ倒れ込む。そして痛みに耐えながらもサラを見据えていた。
「…属性の相性が我と最悪の貴様がよくぞここまで戦った!」
サラがウィンドに向けてそう呟くと同時にウィンドはサラに向け、また《風の刃》を放った。
「無駄だッ!」
サラがそれを空間ごと削り取りウィンドへ近付くと、二人の目が合った。そしてウィンドは微かに微笑んだ。
「ッ!」
その微笑みに何かを感じ取ったサラが急いでウィンドに攻撃しようとした瞬間、サラの目の前に巨大な竜巻が巻き起こる。
「くッ!こんなモノで我が止まるとでも……」
そこまで言い掛けたところでサラの動きが止まった。いや、止められたのだ。
(動けない!?いや、この空間ごと何かに拘束されたような感覚は!?)
目の前の竜巻が晴れると、そこにいたウィンドはいつの間にか足にあった火傷も拳で受けた傷も完治していた。そしてゆっくり立ち上がるとサラを見つめた。
「その……これしか君を足止めする方法を思い付かなくて……ごめんなさい」
ウィンドはそう呟くとゆっくりとサラに向かって歩みを進めた。
「何だこれは!一体、何をした!?」
サラが口を開いてそう言おうとしたが口は動かず言葉は出なかった。口だけではない。体全体が、指の先すら動かないでいた。
――その日の朝、少し早い時間に四精霊は風待に呼び出された。
「おはよう。朝早く済まないね」
風待の目の下にはくっきりと隈ができていた。恐らくほとんど寝ていないのだろう。
「君たちに集まってもらったのは、その、戦いにおける全ての手段を知っておいて欲しかったからだ…」
風待が言葉を選びながら話しているのを四精霊は感じ取っていた。
「これから話すことは非人道的なことかも知れない…だが、力及ばず後悔させてしまうくらいなら、知っておいて欲しい。俺のエゴでまた君たちを傷付けてしまうことを許してくれ…」
四精霊は風待のその言葉に黙って頷いた。
「まだゲームの『ダイタニア』では未実装だったのだが、プログラムは完成させていた新要素があるんだ。それは、《最終攻撃》を超える超大技…」
風待の話しを皆は真剣な眼差しで聴いている。
「その名も《究極奥義》。バランスブレイカーにもなり得る強力な必殺技のプログラムを今ここで解放させる…!」
「《究極奥義》……」
アースが風待の言葉をなぞり呟いた。
「このプログラムは未実装だけあってまだSANYの手は及んでいない。こちらから解放させることが出来る。本来は電神用に用意していたものだが、恐らく電神の動力源である君たちになら使うことが出来るだろう」
「なんだ!そんなスゴい技があるなら早く教えてくれれば良かったのに!」
ファイアが意気揚々と風待の言葉に乗る。
「でも、風待さんの話し方からすると、風子たちに教えたくないデメリットな部分もあるってことだよね?」
ウィンドが真面目な面持ちで風待に訊き返す。
「…その通りだ」
今もその続きを言い淀んでいるようだ。
「風待氏、続けてください」
マリンが風待を真っ直ぐ見据え言う。
風待はその目を見て続きを話す決心をした。
「この技の使用条件は『自らの命を掛ける』こと。使った後は連戦出来ないくらいMPを消費する。君たちの言い方で言えば魔力か、その魔力をほぼほぼ使い果たすこととなる」
精霊の魔力は元々その土地に居る限り無限。だが、今の四精霊にとって地球は別の土地。その魔力の上限は徐々に少なくなってきていた。
「君たちが《究極奥義》を使えば最悪魔力が尽き消滅してしまうだろう……今の君たちの魔力は無尽蔵どころか、宿主である相川さんを失って減衰するばかりだ。俺の立場からすると絶対に使うなとは言えない……が、君たちに少なからず情を抱いているのも事実だ…だから、使用は君たちの判断に委ねる。くれぐれも、最善を尽くして欲しい……!」
四精霊皆がその話を聞かされるも、その瞳は曇らずこれからの戦闘における一つの手段として受け入れた。
この決戦が始まってウィンドは考えていた。
自分にはどんな超能力が使えるのだろう?出来れば人を助けられる能力だと良い。そう想い願った。
そして、願いは今、その力を示してくれた!
「《究極奥義》……《時間神結界》…」
ウィンドは悲しげな表情を浮かべながらそう呟いた。
サラは全てを理解した。
ウィンドとの戦闘で最初から感じていた違和感の正体、それはウィンドがアウマフに乗っていなかったことではなかった。
事あるごとに直撃を受け、避けることが出来なかったこのウィンドの攻撃…
まるで一呼吸、タイミングをずらされたかのような一瞬の隙を生じさせてしまっていた正体……
それらは全て、このウィンド自らが意図的に時を止め、この戦場を操っていたのだ!
あの風待を飲み込もうとした時、何故かそうならなかった…!あの時から既に、時間を支配されていたのだ、この少女にッ!
【次回予告】
[ウィンド]
まひるちゃん…
みんなのこれからの未来は
いつも新しい希望に満ちてて欲しいなって
風子も思うよ
次回『超次元電神ダイタニア』
第四十二話「風に還る少女」
絶対に護るよ……護るんだ…!




