第二十八話「剣(つるぎ)と拳(こぶし)」
午前六時半。誰かが掛けたスマホのアラームが鳴る。薄く目を開け、飛鳥が自分のスマホを手に取りそのアラームを止めたのを確認すると、あたしはまた瞼を閉じた。
うう、今度は誰かがカーテンを開けたらしい。顔に陽射しが掛かり、あたしは眩しくてタオルケットを頭から被った。もう少しこの心地良い微睡みを楽しんでいたい。
六時半。そう、それは分かっている。昨夜みんなでこの時間に起きようと決めた時間だ。あたしは精霊だから時計を見ずとも、何となくこの地球の時刻が分かるんだ。
朝ごはんは七時って言ってたっけ?
このまま寝ていたらみんなはあたしを置いて食べに行っちゃうのかなあ?それは悲しい。誰か起こしてくれても良いのに…
昨日もまひるちゃんにもっと良い子になるからと言ったばかりだ。良い子は、寝坊なんかしないよな…
あたしはようやく起きる気になり、タオルケットから顔を出して目を開けた。
すると、目の前にまひるちゃんの顔があって、楽しそうにあたしを見てるんだ。
「…おはよう、ファイア」
まひるちゃんがいつもと変わらない弾けるような笑顔を向けてくれる。あたしの脳に急速に血液が巡り出すのを感じた。思考と視点が定まる。
「え…あッ!まひるちゃん!?おはようッ!!」
あたしはそう言いながら飛び起きた。
あたしが中々起きないのをまひるちゃんに見られてた!?は、恥ずかしい!
何だか最近、妙に自分の行動が恥ずかしく感じることが多くなった気がするな。
「目が覚めた?そよちゃんたちも来てるよ。さあ、顔洗ってみんなで朝ごはんに行こ?」
周りを見るとみんなもう布団を畳んで服を着替えたり髪を梳かしたりしている。
「おはよう、ほむらさん!」
「あ、おはよう飛鳥!」
「ほむほむおはよッ!」
「ああ、ウィンド、おはよう…」
「ほむらちゃん、おはようございます!」
「おはよう、そよ…ちゃん」
みんながあたしに向け挨拶をしてきてくれるので、あたしもそれぞれに挨拶を返した。
なんだろう。気力が充実していく…
今日も一日、何でもやってやろうっていう気になってくる!
挨拶って、気持ちいいな…
まひるちゃんにいつも挨拶や言葉の大切さを口うるさいくらいに聞かされてきたけど、成る程、納得がいった。
あたし、ファイアこと相川ほむらは、ちゃんとした言葉でしっかり挨拶が出来る良い子になろう!
そう改めて決心させるには、十分過ぎるくらいに快適な一日の始まりだった。
『超次元電神ダイタニア』
第二十八話「剣と拳」
みんなで朝食の支度をし、賑やかに食べ始めていた。
「おば様のお料理美味しい!」
飛鳥が本当に嬉しそうに喜ぶ。
「うん。でも割りと普通の朝食だよね?ご飯と味噌汁に卵に干物に…あー、朝から干物はちょっと忙しいかあ」
まひるちゃんが少し不思議そうにする。
「はい。でも、お母さんが作ってくれる朝ごはんってだけで、とても美味しい気がするんです…」
飛鳥はそう嬉しそうに言った。
「そうね。その気持ち、分かる気がする」
まひるちゃんが飛鳥の言葉に納得したように頷く。
「飛鳥ちゃん!今日は一緒にまひるちゃんママのお手伝い、よろしくね!」
ウィンドがいつものように気さくに飛鳥に話しかけた。ウィンドも薄々飛鳥の事が気になっているようだ。ここはあいつに任せよう。
「そう言えば風子と球ねえは今日は飛鳥たちと一緒に旅館のお手伝いだったな。風子、ちゃんとみんなの言う事聴くんだぞ〜?」
あたしは冗談混じりに風子に注意する。
「はーい!」
風子からしっかりと良い返事が返ってくる。
「ああ。私もしっかり勉強してくる!」
風子だけでなく球ねえまで素直に頷いた。
「ほむらちゃん、私と進一くんもよろしくね!」
幸せそうにご飯を食べながら、そよちゃんがあたしにも声をかけてきた。
「あ、うん!よろしく!」
あたしは元気よく返事をすると、自分の朝食を食べ始めた。
朝食の片付けの後、旅館のお手伝いチームはまひるちゃんのお袋様と一緒に旅館の中へと向かって行った。
手の空いたあたしとそよちゃん、ザコタは旭が手が欲しいと言った十時まで、少し組手をしようということになり、旅館の中庭までやって来た。
そしたら東屋で気持ち良さげに寝ているマリンと流那を発見した。
そよちゃんが近付き、
「ぐっすり寝てるよー…可愛いー…」
と言う仕草をしてみせた。
朝早かった二人を起こしちゃ悪いと、あたしたち三人は場所を人気の少ない砂浜に移した。
ここなら旭のいる海の家までそう遠くないし、十分な広さが在る。
「そよちゃん、剣が得意なんだって?あたしも剣を使うんだ!いっちょ手合わせ願えないか?」
あたしはそよちゃんにそうお願いした。
「いいよ!勝負しよっか!先にいいかな進一くん?」
そよちゃんは笑顔で答えてくれた。
ザコタからも「ああ」と承諾が下りる。
「じゃあまずは竹刀での寸止め、でいいほむらちゃん?」
そよちゃんがそう言ってきたので、
「ああ。いいよ!でも竹刀か…」
あたしは頷いたが竹刀を持っていない。
「大丈夫!私のを貸してあげるね!ほむらちゃん、手を構える形にして」
そよちゃんがそう言ったのであたしは宙空で剣を構える型を取る。すると
「はい!《召喚転移》!」
ビシュン!とあたしの構えた手中に竹刀が出現した。突然のことにあたしは驚く。
「おおッ!」
「これが私の取って置きの魔法《召喚転移》!私の所有物なら見える範囲に瞬時に移動させることが出来るんだ」そよちゃんが得意気に解説する。
「すごッ!あたしが使えるのは攻撃魔法ばかりだから羨ましいな!」
あたしは素直に称賛する。
「進一くん……」
そよちゃんが自分の竹刀を構え直し、ザコタに声をかける。
「ああ。両者見合って……」
どうやらザコタが仕切ってくれるようだ。あたしもいつものロングソードと同じに構え直す。
遠くで海水浴客の歓笑の声が聞こえる。一番近い音は波打つ音…
今、相見える二人にとってはそれも些細な事。
「始めッ!!」
ザコタの号令が響き渡る。
同時にそよちゃんが地面を蹴った! あたしは突進してくるそよちゃんの一撃をバックステップで躱した!が、間髪入れずにそよちゃんがこちらに竹刀の剣先を向けて突進してくる。
「ええッ!?」
完全に意表を突かれた。
慌ててあたしが剣で受けた時にはもう、間合いに踏み込まれていた!速い!
そよちゃんの上段を横薙ぎに払う。あたしが竹刀を戻すより速くそよちゃんの閃撃が迫る!
あたしは片手で何とか払おうとするが、そよちゃんの両手での斬撃は重く竹刀ごと体勢を持っていかれる。
返す刀で流れるようにそよちゃんが連撃を撃ち込んでくる!
この剣技は根本的にあたしのとは違う!あたしのは敵を砕き突き刺す剣。それに反してそよちゃんのは敵を斬る剣。次撃への繋ぎと一撃の速度が段違いに速い!
「くうッ!」
あたしの剣とそよちゃんの竹刀が鍔ぜり合う。
そよちゃんは笑顔だが、その剣圧は鬼気迫るものだった。
「そ、そよちゃんッ!?」
あたしは思わず驚く。今までこんな経験なかったからだ。あたしだって剣は得意な方なんだ!なのにこの剣技と力量は…!
あたしは竹刀を握る手に力を込める。
「…《覇道剣》ッ!」
魔力を込めた刀身が徐々にそよちゃんの竹刀を押し返していく。
「わあッ!やりますね!ほむらちゃんッ!」
そよちゃんは慌てて剣での鍔迫り合いを中止すると、後方へ飛び退いた。
「……はあ、はあ、ま、参ったな……魔力を使わないと押し返せないなんて…!」
あたしが肩で息をしていると、そよちゃんが
「ほむらちゃん、力が入り過ぎなのかも?本来なら風の私が力で炎のほむらちゃんに敵うはずがないから」
と、少し難しいことを言った。
「ん?どういうこと?」
あたしが訊き返すと、そよちゃんは一旦構えを解き、説明仕出した。
「えーと、私たち精霊は四つの属性があって、それぞれの相性の様なものがあるんだ。地は水に強く、水は火に、火は風に、風は地に強いんだって」
「なるほど……」
あたしは納得した。
「つまり、そよちゃんは風属性だから火のあたしとは相性が悪いってこと?」
あたしが確認すると、そよちゃんは笑顔で頷く。
「そうそう!精霊同士だと特にその差が出やすいみたいなんだ」
あたしはそれを聞いて大きな疑問が浮かんだ。
「…じゃあ何故、あたしはそよちゃんに力負けするんだ…?」
「うーん、ほむらちゃんは魔力は強いけどまだ精霊として力の使い方が上手くないんじゃないかな?」
「力の使い方?」
「うん!実は私もまだそんなに上手じゃなくて、自分の剣技に合わせて力を出し入れしてると言うか…上手く言えないんだけど…」
そよちゃんが少し困った様に言った。
「こう、相手が力で来たら私が力を抜いて相手の力を利用して攻撃を往なして、こっちの攻撃の瞬間だけ力を爆発させるの。ほむらちゃんの剣は常にいつでも最大出力だから往なし易いし、疲れも大きいんだと思います」
そよちゃんが一生懸命に仕草を混じえて伝えようとしてくれる。
「ありがとうそよちゃん…まだまだあたしには足りないものがあるって分かっただけでも見っけもんだよ!じゃあ勝負の続き…」
あたしは構え直すも、その後やはりそよちゃんには敵わず、寸止されて勝負を着けられた。
旭の手伝いの時間になったので、あたしたちは稽古を切り上げ海の家へと向かった。
「ちぇーッ!結局そよちゃんには一本も取れず仕舞いかぁ!」
あたしは更衣室で旭に着て来いと言われた水着に着替えながら悔しそうに言った。
「今日は初めてにしてはよく頑張った方だと思うよ?私もちょっと焦りましたし」
そよちゃんが隣で同じく水着に着替えながら励ましてくれた。
「そうかぁ。でも、やっぱり悔しいなぁ!あたしはもっと強くならないと…!」
「ほむらちゃんも十分強いです。進一くんに全勝だったじゃないですかー?」
「でも、そよちゃんには一度も勝てなかったもん……」
「いや、勝ち負けなんてどうでもいいんですよ!私はほむらちゃんと友達になって……一緒に修行したり遊んだりして、楽しい日々を過ごせたらそれだけでいいですから」
そよちゃんが笑顔でそう言ってくれる。
あたしは嬉しくて心の底が熱くなった。
「あ…ありがとーそよちゃん!」
あたしとそよちゃんが着替え終わって店に出ると、すでに水着に着替え終わったザコタが待っていた。
「来たか。じゃあ、旭さんのとこに行くぞ。多分あのカウンターの奥だろう」
ザコタがカウンターの方を指差すと、あたしたちの背後から突然
「残念少年!正面入口から来ました!」
「わあッ!?」
旭が変な登場の仕方で声を掛けて来たのでみんなして声を出して驚いてしまった。
「おーおー!みんなホントに水着で来てくれたんだあ?いやあ、言ってみるもんだなあ」
旭は一人感心して嬉しそうだ。
「あ、ああ。着て来いって言われてたし…」
あたしはなんだか恥ずかしくなって声が小さくなってしまう。
「しかしまあ、こうして改めて見るとみんなやっぱり可愛いねえ。役得だな進一少年!」
旭が感心した様に言うと、そよちゃんは少し恥ずかしそうにしている。
「あ、まひるから余り可愛い可愛い言うなって言われてたんだ。悪い悪い、セクハラじゃないぞ?なはははッ!」
旭が相変わらずのテンションで笑いながら謝る。
「じゃあ早速制服を渡そう!ほい!」
そう言って旭は三人に制服だと言われた物を渡す。三人は黙ってそれを着た。
「…あの、これ、ただのエプロンじゃ……」
ザコタが最初にツッコんでくれた。正直ありがたかった。
「いやいや、ただのエプロンじゃないんだなこれが。胸のとこ、よく見て」
言われてあたしたちは胸のところをよく見る。エプロンには『海の家あい川』とプリントされていた。
やっぱりただのエプロンだった。
「な?歴としたここの制服なわけよ?水着エプロン!これは集客が望めるぞ!」
旭が楽しそうに言う。
「い、いやでも流石にこれはちょっと恥ずかしいと言うか……!」
あたしがそう言うと、旭は少し残念そうにして
「え〜ッ?…仕方ないなあ。じゃあ上だけTシャツ着てもいいよぉ…」
と言った。
「それならまあ……いいけど」
あたしは少し恥ずかしく思いながらも旭の提案を受け入れる。
「じゃあ早速!夏を楽しもうか!なあに、難しいことはさせないよ。客の注文取って運んでくれればいい!調理は全部俺に任せとけ!」
そう言って旭は海の家あい川の中に入って行ってしまった。
あたしたち三人は顔を見合わして
「と、とりあえず頑張ろうッ!」
と闘志を新たにするのだった。
可愛くてスタイル抜群のウェイトレスがいる海の家として口コミが拡がり、『海の家あい川』は昼を待たずにたちまちお客で溢れかえった。
「焼きそば三つ!焼きいか二つ入りました!」
「あいよッ!焼きそば三!いか二!少々お待ち!はいフランクフルト二つ上がったよ!」
「あ、はい!ジンジャーエールとぉ、コーラ!お待たせしましたー!」
「はい、ラーメンです。お、お待たせ…!」
「ねえ、店員さん超可愛くない?」
「それあたしも思った!」
「ヤバい、あの子たちどっちも可愛いよな」
「あ、だよな。でもあっちの子、身長高くない?」
「いやいや、そこがまたいいんだよ!こうさ、あの大きくて綺麗な目に見下されながら笑顔で踏まれたい……」
「ちょっと分かる!解りたくないが分かるよ……!」
(な、なんだか変なこと言われてる気がするよぉ…!進一くーん!)
そよちゃんが少し困った様な顔をしている。
ザコタは一生懸命に注文の品を運んでいる。そよちゃん困ってるよ!気付け!
「あの男の子も必死で可愛い!」
「エプロン男子、いいよね!」
「ああ、分かる!分かってしまう!」
「海パンにエプロン、えっち過ぎるぅ!」
ザコタのこともお姉さんたちの話題に上っているようだ。
「俺ぁ断然あのポニーテールの子だね!ポニーテールは正義だよ!」
「美人だけど初々しい可愛さもあって正直たまらん!」
「凛々しい目元が素敵よね。飲み物追加しちゃおうかしら?」
「え!?イケメンすぐる!男装して欲しいんですけど!」
「あれ?ここって海の家なんだよな?何で高級クラブに来てる気分になるんだろう…」
(うう……なんかあたしまで見られてる気がするぅ!)
あたしは恥ずかしさに何とか負けることなく、てんてこ舞いになりながらもホールを動き回った。
「ハッハッハ!お客様方ッ!今後も海の家あい川をどうぞ御贔屓にッ!!」
「ワアアァァアァーーーッ!!」
旭が奥からホールに声を掛けると、客でごった返したホールからは大歓声が上った。
時刻は午後一時半を過ぎ、ようやく海の家の賑わいも一段落してきた頃だった。
あたしたちは旭が作ってくれたラーメンを食べながら、少し遅い昼食を摂っていた。
「うし!今日の売り上げは最高記録だッ!みんなお疲れさんッ!みんなのおかげだ、ありがとう!食材もなくなったし、今日はもう店仕舞いだ!」
旭が満面の笑顔で言うと、あたしたち三人もそれに応えた。
「う、うん……」
「そうですね……」
「……はい」
(あはは……結局色々と恥ずかしい目にあったけど……でもまあ、楽しかったかな……?)
あたしは苦笑いしながら、美味しいラーメンを啜った。
「よし!それじゃあ片付けしたら打ち上げと行こうか!どこか行きたいとこあるか?」
旭がそう言うと、あたしとザコタは砂浜を指差す。
「ん!稽古!」
「組手、見てもらう約束です…!」
あたしとザコタの声が重なる。旭がオーバーに手で顔面を押さえて
「稽古ぉ?組手ぇ!?今時の若いもんが海に来て言うセリフがそれかね!?」
と、ぼやく。
旭はわざとらしくため息をつくと、あたしにこう言った。
「あのなぁ、キミたち…いいか?俺はお前さんたちの師匠じゃないぞ。俺が教えてやれるのはせいぜい空手の立ち回りとか、動き方くらいなもんだ」
「それでもいい!」
あたしは旭の言葉を遮って言った。
「あたしを鍛えて欲しい!まひるちゃんを護るためにも、もっと強くならなくちゃいけないんだ!」
あたしの言葉を聞いて、旭は少し驚いたような顔をし
「……まひるが言ってたことは本当なのかよ……くそ……」
と、小さく呟いた。そしていつもの不遜な笑みを浮かべる。
「よし分かった!ただし、容赦はしないぜ!しっかり付いてこいよッ!」
「はいッ!」
あたしたちは元気よく返事をした。ザコタも真剣な眼差しで旭を見ている。
あたしたち四人は午前中にそよちゃんたちと勝負稽古をしていた砂浜に移動した。
「じゃあ取り敢えず、空手の型から教えるんでいいか?」
旭があたしたちに訊く。あたしはザコタを見やる。ザコタはあたしの視線に気づくと
「いや、出来れば実戦形式でやってもらいたい。その中で必要だと思えることを改めて教えてください」
ザコタがそう言うと、旭はニヤリと笑って頷いた。
「なるほど、勝負稽古か……そうゆっくりもしてられないもんな。いいぜ、そうしよう!それなら俺も全力を出せるってもんだ!」
旭はそう言って拳を構えた。どうやら旭もやる気のようだ。
「女の子もいるからな。俺は寸止めで行くが、お前たちは本気で俺に当てに来い!本気で倒すつもりでな!そら、誰からだ?」
旭が挑発するように言うと、最初に名乗りを上げたのはザコタだった。
「俺です!」
そう言うと、ザコタは前に出る。そして旭に向かって構えをとった。
「お!進一少年が一番か!男の子だねえ…!」
旭はそう言ってニヤリと笑って構えを解きザコタに向かって一礼する。
「試合の前後はどんな時でも礼を忘れるな。相手と、自分の拳に敬意を払え」
と、旭はザコタに言う。
「押忍ッ!」
ザコタはそう応えると、旭に向かって礼をした。
「あ、じゃ〜、ほむらちゃん?試合の始めと終わりの掛け声かけてもらってもいい?」
旭があたしに笑顔を向けてきた。あたしは一瞬ビクッとしたけど、
「あ、う、うん!えと……じゃあ……始めッ!」
そう言って精一杯声を張り上げる。
旭が構え直す。ザコタは旭に向かって駆け寄りながら拳を繰り出した。旭はそれを受け止めると、そのままザコタを投げ飛ばした。そして叫ぶ。
「さあ来い進一少年!俺を本気にさせてみろ!」
【次回予告】
[まひる]
やっぱりおかしなこと言い出したわねお兄ちゃん!
みんな!真面目に言う事聞かなくていいんだよ!?
お店に特訓に、ファイア、無理しないでね?
次回!『超次元電神ダイタニア』!
第二十九話「純情炎夏」
ちゃんと保護者しなくちゃッ!




