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超次元電神ダイタニア  作者: マガミユウ
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第十九話「風待進次郎という男」

【登場キャラクター紹介】

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

「あ!飛鳥ちゃん!無事で良かった!うん、そう、うん…うん。アスクルさんも大丈夫なのね?そう、良かったあ…よろしく伝えてね。え?今あたしたちの居る所?んーと、新宿の西口出た所のBREEZE(ブリーズ)って会社のビルに来てるの。あ、そうそう、それ!ダイタニア作ってる会社。飛鳥ちゃんよく知ってたね!え?あ〜、みんなで社会科見学?そんな感じ。あはは」


 あたしは飛鳥ちゃんからの突然の電話に出ていた。


「うん、あたしたちはこれからあたしの実家、あ、千葉で民宿やってるのね?そこで少しゆっくりしようかなって話してて。飛鳥ちゃんも来ます?あはは!え!?うん、構わないけど、アスクルさん、お父さんにちゃんと聴いてね。分かった、じゃあ後で住所送るね」


 飛鳥ちゃんはアスクルさんとまだ東京見学を楽しんで行くようだ。

 もしかしたらあたしの実家の旅館で再開するかも知れない。学生は夏休み長くて羨ましい!


「うん、あ!風子(ふうこ)が電話替わりたいって。いいかな?ありがと、ほら風、飛鳥ちゃん」


 そう言ってあたしはウィンドにスマホを渡す。昨日意気投合したのか、何やら会話が盛り上がっているようだ。

 一通り話したのか、ウィンドは飛鳥ちゃんとの通話を終了させ、笑顔でスマホをあたしに返してきた。


「ありがと、まひるお姉ちゃん!」

「いいえー、どういたしまして」


 そんなやり取りをしているあたしたちの向こうで、ルナさんも仕事先に連絡を入れていた。


「あー…暫く週末のバイト、お休み頂いてもいいですか?なんてゆーか、本業が忙しくて?あ、助かります。済みません、出られるようになったら連絡しますので、はい」

 ルナさんはため息を付き通話を終了させた。


流那(るな)?お店の方はバイトだったの?お休み貰えて良かったね」

 マリンがルナさんに声を掛けた。


「そうよ。あっちのお店はね、シフト制だから融通利くの。こっちは中々そうも行かないと思うけど…」

 そう言って次の職場に電話を掛けようとするルナさん。

 あたしは気になりルナさんに問い掛けた。


「ルナさんのお仕事って何です?」

 ルナさんは変わらず不機嫌そうな面持ちで

「え?言ってなかったっけ?市役所勤務よ」

 と応える。


「公務員なんだぁッ!!」

 と体全体で驚くあたしと四人。


挿絵(By みてみん)

『超次元電神ダイタニア』

 第十九話「風待進次郎という男」



「おはよう。慣れない部屋で不便を掛けたかも知れないが、休めたかい?」

 支度をし、あたしたちは風待(かざまち)さんが居る五階の仕事部屋を訪ねた。


「おはようございます。はい、お部屋ありがとう御座いました。お陰様でゆっくり休めました」

 あたしはぺこりと頭を下げる。


「それは良かった。それじゃあ早速だが昨日の話しの続きと行こう」

 そう言うと風待さんは部屋の奥にある机の方へ歩いて行き椅子に腰掛ける。

 そして、パソコンのモニターをこちらに向けて指差す。

 そこには『ダイタニア』のログイン画面が表示されていた。

 そこにはサニー、ルナ、アスクル、ザコタと、ブリーズ五名の名前が表示されている。


「これを見て解るように、現在ダイタニアにログインしているのはこの五人だけだ。ブリーズってのは俺ね」

 そう言って風待さんは自分の頭をトントンと叩く。


「これからの俺たちの指針を明確にしておこう。君たちは昨日も言ったように日常生活を通して精霊と交流すれば自ずと強さに繋がって行くだろう」

 そこでルナさんがふと思った疑問を口にした。


「あの、私にまひるんみたいなの、いないんだけど?私は何したらいいの?」

「あー、それは……」

 その質問に風待さんが言い淀む。

 確かにそうだ。ルナさんにはこの地球に具現化した精霊はいない。一体どうなるんだろう。


「何か必殺技でも考えてれば?」

 風待さんの答えにルナさんは納得いかない様子だ。

「え~、そんなのでいいのぉ?何か適当な回答ねー」

「まぁ、他に思いつかないしな。精霊を地球に具現化出来るのは一種の特殊なスキルのようなものだ。だから個別の特殊クラス《勇者》をSANYに乗っ取られた後からでも追加出来たんだからな」


 そう言って風待さんは自分のパソコンで調べた情報を元に話を続ける。


「それにしても……相川さんだけでなく、手代木さん、君もとてもレアな電神(デンジン)を所有しているな」

「ベルファーレが?まひるんたちに手も足も出なかったけど?」

 ルナさんが怪訝そうな顔で風待さんを見る。


「それは単純にプレイヤーレベルの差だろうな。手代木さんの持つ電神は普通のものとは違う。電神は大型でも全長17mで設定してある。だが君の電神は25mもある…電神もAIによってランダム生成されているが、規定値を超える物が創られることは稀だ。大事にするといい。まずは《最終攻撃(ダイナミックコード)》の修得だな」


「確かに、まだ《最終攻撃》使ったことないのよねぇ…魔法職だからMP的にはそこそこ余裕あると思うんだけど」

「そうか。《最終攻撃》はプレイ中に突発的に発生する修得イベントをクリアすることで覚える。こればかりは人為的に発生させることは出来んな。まあ、気楽にやってくれ」

「はあーい」

 ルナさんの方も適当な返事で返す。


 そして風待さんがあたしの方に向き直る。

 あたしはビクッとして構えた。

「さて相川さん。君は昨日言ってた通り、実家でそちらの四人と暫くゆっくりするんだったな?」


「あ、はい!えっと、夏休みの短い間ですけど、一緒に色々なことを経験出来るかなーって。あ、ルナさんも来られることになりました!」

 あたしが風待さんにそう言う後ろでルナさんがVサインをしている。


「ちょっとヤバかったけど、有給使ってやったわ。事情知っちゃった以上、呑気に働いてる場合じゃなさそうだしね」

「うん。では手代木さん、年長者として暫くこちらの五人をよろしく頼むぞ。何かあったらすぐに連絡してくれ。こちらも出来る限り力になろう」

「あ、はい。分かりましたよ。ちなみに、私はまひるんより二つ下だから」

 ルナさんがさらりと付け足すように言った言葉に、風待さんが目を丸くした。


「そうなの? 何か貫禄あってしっかりしてたからさ、それは済まない」

「…いえ、いいんです。よく老けてるって言われますんで…」

 ルナさんは視線を明後日の方向に向け、自嘲気味に笑っていた。


 でもまあ確かに、あたしも初めて会った時は大人びて見えたなぁ……と、ついこの前のことだというのに少し懐かしく思う。

 あの出会いから、今はこうして世界の危機に一緒に立ち向かってくれる心強い仲間になってくれるとは夢にも思わなかったけどね。

 あたしはルナさんの顔を見てそっと微笑む。


「まあそんな感じで、君たちは日常生活を通して自身と電神のレベルアップに努めてくれ。俺はどこぞへと消えたSANYの消息を追う。アスクルへの連絡は相川さんに任せた。ザコタへの連絡は俺からしておこう」


「分かりました。サニーの居場所が判ったら、みんなで集まって、サニーを捕まえる…ですね?」

 あたしは風待さんの言葉を反復しながら確認を取る。


「ああ。だが、もしサニーが君たちの前に姿を現したら……そのときは容赦なく攻撃しろ。敵わなかったら一旦退け。いいか? これはゲームじゃない。奴らは本気で地球を侵略しようとしている。君たちも聞いただろ? ヤツらの宣戦布告の声を」

「……はい。聞きました……」

 あのときは突然のことで頭が真っ白になっててよく聞いてなかったけど……

 確かにシルフィはそのようなことを言っていた。


 いよいよ、地球とダイタニアの戦いが始まる……

 いや、もう始まっているのか…

 正直、渦中のあたしでさえ、その戦いにまだ実感を持てないでいる。

 ……だけど……今まさにこの瞬間にも、この不安定な世界によって誰かが傷つけられているかもしれない。

 そんなことだけは絶対に見過ごせない。

 だから、あたしも戦う。

 地球の平和を守るためにも!

 そして、あたしの家族のためにも!



「風待氏、幾つか伺いたいことがあります」

 話しの合間を見て、マリンが口を開く。


「君は、水の精霊、マリン君だったな?いいだろう、何でも聴いてくれ。俺が知っていることなら答えよう」

 風待さんは昨日の会話の一件で聡明なマリンのことを気に入ったようだ。


「ありがとう。では早速……何故あなたの他に社員は出社してないのですか?」

 マリンが真っ直ぐに風待さんの目を見て言う。


「昨日が土曜日で、今日が日曜日だから?……という詰まらない答えは求めてない顔だな」

「はい。察しがよろしくて助かります」

 お互いに含み笑う。


「ふふ。気に入ったよ。この件が終わったらBREEZE(うち)に来ないか?ウィットのある人材は大歓迎だ」

「ありがとう。考えさせて頂きます。それで?」

「ああ。ウチのスタッフも勿論漏れなくダイタニアのプレイヤーさ。だが、今回の騒動に当たり、ログアウトさせたら皆ダイタニアのことを忘れてしまってね。復旧しようにも話にならなくて今は一旦在宅ワークという形を取らせている」

 風待さんは淡々と話す。


「ログアウトするとダイタニアの記憶が消える……これはあなたが仕組んだ事ではない、と?」

 マリンが事の真相を解明しようと切り込む。


「俺が出来るのはプログラムで組み込める範疇だけさ。人の記憶の改竄や消去など出来やしない。もし関係してるとすれば『バーチャルエクスペリエンス』と『SANY』による脳神経への直接的な作用だろう」

「サニーがログアウトするとダイタニアの記憶が消えるように仕組んだ、と……」

「目的は判らんが、間違いないだろう。お陰でマスコミにも取り上げられず、大事にならないで済んでいる。その点だけはSANYに感謝だな」

 風待さんはそう言って自嘲気味に笑う。

 そしてマリンに向き直り、真っ直ぐ見つめて言う。


「マリン君、君の単刀直入な話しの切り出し方、一切の無駄を省いた効率的な物言い、俺は嫌いじゃない。が、物事の真相を他人から探るには決定的に足りないものがある…」

 風待さんは楽しそうに口元を緩めてマリンに向かい、言う。


「僕に、足りないもの……?」

 マリンが怪訝な顔で彼に訊き返す。


「そう。人生経験だ」

 風待さんはマリンに向かい諭すように語りかける。


「言っては何ですが、僕たちは無限にも似た悠久の時の中を精霊として生きてきた。ヒトの形になったのはまだ最近だけど、知識の量で言ったらヒトのそれの比じゃない」

 マリンが風待さんの言葉に少しだけムキになって答える。


「そうだ。知識量では万物の(ことわり)()る君たち聖霊の右に出る者はいないだろう。だからだ、ヒトの形になってから、ヒトを観て、感じ、聴き、触って、初めて知ることもある。君は俺のことを浅い所で疑っているようだが、もっと深く疑って掛かってくるといい。ヒトとはそうまでしても、知り合えないということもザラだ」

 風待さんは少し苦い顔をした。その表情に嘘はなさそうだ。


「御忠告どうも。ではダイタニアについて、あなた自身胸を痛めるような後ろめたさは何も無いと?」

 マリンは煽られてか、少し発言が端的になってきている。


「何を言う。後ろめたさしかないよ。ふふ、若いな…」

 風待さんはマリンを挑発して愉しんでいるようだった。

「あなたは僕たちに真実を話す気があるのか、それとも僕をおちょくっているだけなのか!?」

 マリンがついには声を荒らげた。


「おいおい、俺はもう既に話しているつもりだぜ?これ以上何を語れというんだ?気を悪くしたのなら 済まない。君が余りにも素直で危うく思えたのでな。少し意地が悪く言ってしまった。これでも俺は君を買っているつもりだ。さっきのリクルートの話も半分本気さ」

 風待さんはそう言ってまた笑い出す。

 あたしも風待さんの態度に段々と腹が立ってきた。


「ふざけるな! あなたは僕たちをバカにしてるだけだ!」

 マリンが叫ぶと、風待さんは笑うのをやめてマリンの方を向いた。


「見たところ、君はこのパーティーの参謀役だな?だったら大抵の事は疑って掛かれ。そして常にクールに、常にクレバーでいろ。仲間を護りたいなら尚更な」

「ッ……………」

 マリンは悔しそうに彼を睨み返してはいるが、何も言葉を発しない。

 彼女なりに思うところがあったのだろう。


「悪い悪い。話しを逸らしてしまったな。有望そうな若者を見付けるとついからかってしまう。俺の悪い癖だ。で、他に聴きたいことは?」


 マリンがあたしの顔を見て、一呼吸おいてから風待さんに向き直る。


「先程、サニーの居場所を突き止めると言われたが、目星は?」

「残念ながらないね。だから君たちプレイヤーに大々的にイベントという形でSANY捜索依頼を出したんだ」


「イベントと言えば……この文書」

 マリンは思い出したかのように今回のイベントの文面を読み上げる。


「主人公は女エルフ型のアバターで名前はサニー。

 サニーは冒険者で、《電神》と呼ばれる機械に乗って戦うことができる数少ない《勇者》だった。

 そんなサニーを羨み、他の冒険者がサニーの電神と地位を奪おうと次々と襲ってくる。

 サニーは仲間と一緒に逃げ、戦いながら旅を続け、ついに命を落としてしまう。

 サニーは本当に死んでしまうしかないのか。その真実を君が確かめろ」


 以前、一度見せただけなのにマリンは一字一句間違えること無く言ってみせる。


「この文面はあなたが考えたもの?」

 マリンが訊くと風待さんは「そうだ。文才は無くてね」と答えた。

「このサニー、本当に僕たちのまひるとは無関係?まひるに置き換えて読んでもしっくり来てしまうのだけれど」

 マリンがそう言うと風待さんは落ち着いた声で


「安心しろ。本当に偶然だ。イベントを開催した時点でサニーというプレイヤーがいることも知らなかった。何より、俺のサニーはもうこの世にはいない……」

 最後の方、声が小さくてあたしにはよく聴き取れなかったけど、マリンには聞こえていたようで


「…俺のサニー……?」

 と一つ訊き返すように呟いた。



 その時だった!

 辺りが暗闇に覆われたかと思うと、窓の外には見知った灰碧色の電神の姿が在った。


「あれはッ!?アルコル!!」

 あたしは叫んだ。間違いない。昨日秋葉原で死闘を繰り広げたあの電神、あのシルフィが来たんだ!


 窓からの光を遮っていたのはアルコルだけではなく、他に三体の電神の姿が見えた。


「こいつが!君たちが昨日負けたって言うサニーの駒かッ!」

 風待さんは突然の登場にも何処となく嬉しげに言った。


「でもどうしてここに私たちが居ることがバレたのよ!?」

 ルナさんが驚きながら疑問を口にした。


 アース始め、みんながあたしの前に壁を作り臨戦態勢を取る。そして


「あれ?」

 ウィンドが唐突に緊張感のない声を漏らす。

 他のみんなもどこかおかしげに首を傾げている。

「あれれ!?戦闘形態、正装にならない!」

「俺も!なんだこれ?変身出来ないぞ!?」

 ウィンドとファイアが次々に戸惑いの声を上げる。アースとマリンも同じ様だ。

「一体、どういうことだ…?」

 あたしの前で身構えるアースからも戸惑いの声が漏れる。


『まひるさん、聞こえていますね?ご機嫌よう』

 アルコルからシルフィの声が聞こえる。

『今すぐ出て来て、アウマフを渡して下さい。そうすればあなた自身に危害は加えません』

 シルフィが冷たく言い放つ。


 アウマフを?渡すって……!?


「奴らの狙いは君の電神なのか?」

 風待さんがあたしに尋ねる。

「あたしにも解りません!」

 あたしはその質問に残念に答える。


『私たちがその気なら、あなたたち全員をこの場でログアウトさせることも可能です。でもそれは私の本意ではありません』

 シルフィが脅迫じみたことを言う。


「ほう。大した自信だなぁ……」

 風待さんはシルフィの態度に興味を示しているようだ。


 あたしもアウマフを()んで応戦しようとするも、何故だが召喚紋が描かれない!

「どうしてッ!?アウマフが喚べない!」


「……まさかッ!!」

 無言で思いを巡らせていたマリンがハッとして声を上げた。

「昨日流那に掛けて貰った《変化魔法(ディスガイズ)》がまだ効いているッ!?」


「《変化魔法》を使ったのか?」

 風待さんが驚いてマリンに訊き返す。


「ええ…昨日秋葉原でこいつから逃げる時にね…流那に掛けてもらったんだ…」

「《変化魔法》の効果は“フィールドが切り替わるまで有効”だ。この《読み込み時間(ローディング)》のない地球でフィールドが切り替わるタイミングと言ったら……」

 風待さんが考え込むように呟く。

 あたしもゲームでの事を思い出し頭を捻る。


「永続魔法が切れるタイミング……戦闘の終了…フィールドから街へ入った時…《瞬間転移(テレポータル)》を使った時……」

 あたしは思い付いたものを片っ端から言葉にしていく。すると風待さんが


「それだ!《瞬間転移(テレポータル)》なら俺が使える。一先ずこの場は俺が預かる。君たちは先に帰るといい」

 と、そう言ってくれた。

 あたしはどうしようかとアースたちを見る。


「風待殿の言う通り、この場は撤退しましょう!今の自分たちが居ても何も出来ません」

 アースがあたしの手を引いて風待さんの下へと歩き出す。

「まひるお姉ちゃん帰ろう!」

 ウィンドもあたしのもう片方の腕を引く。


 …そうだね。今は一旦引こう。

「風待さん!済みません!」

 あたしは頭を深く下げて謝る。


「なあに。俺も久し振りに鈍った体を動かしたかったしな。相手の力量も知れるし、何故君の電神を狙っているかも聴きたいし、一石三鳥だ」

 風待さんはニッと笑って窓の外の電神を見据える。


「全員揃ってるな?各自手を握れ。行き先は俺の行ったことのある所にしか送れんから、取り敢えず千葉県ならいいな?」

 風待さんがあたしたちに向け、右の手のひらをかざす。


「はい!」

 あたしたち六人は同時に返事をする。

 そして目の前が真っ白になった。


 次に視界が戻った時、そこは見覚えのない場所だった。

「……え?お寺……?」

 あたしたち六人はお寺の本堂が見える境内の砂利の上に居た。


「確かに、千葉まで戻って来たようだよ…」

 マリンが境内の入口にあるお寺の看板を読み上げた。

「千葉県浄土真宗本願寺派、風幸寺(ふうこうじ)……」



 BREEZEのあるビルの宙空に召喚紋が描かれる。


「お!とうとうお出ましか!アウマフ!」

 蛇のような電神からディーネが嬉々として言う。

 しかし、その召喚紋から現れたのはアウマフではなく、右腕が異様に巨大な電神だった。


「やあやあ、皆さんお揃いで。一つ俺と手合わせ願おう」

 その《右腕の電神》から風待の声がした。


「…一日中仕事場に引きこもってディスプレイの前から離れない人種の力、なめてくれるなよ!?」

【次回予告】


[まひる]

ああッ!折角マリンが頑張ってくれたのに、

あと少し風待さんの話しを聴いてみたかったよ!

シルフィも、ホントしつこいんだからッ!


次回!『超次元電神ダイタニア』!


 第二十話「会心の風待」


風待さん、どうか無事で……!




――――achievement[風待とマリン]

※マリンが風待に気に入られる。


[Data05:進一とそよ③]がUnlockされました。

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