第十二話「アキバの七人」
「いやぁ、遅れて済みません。サニーさんですね?初めまして。『ダイタニア』ではいつもお世話になってます。アスクルです」
アスクルと名乗るその人はペコリと頭を下げた。
隣の女の子も続いて頭を下げる。
「あ……いえ、こちらこそ初めまして。サニーです。よろしくお願いいたします」
慌てて席から立ち上がりアスクルさんと挨拶を交わす。
なんかリアルでプレイヤー名で会話することに少し気恥ずかしさを感じてしまう。
『ダイタニア』でのアスクルさんとはいつもパーティを組んだりして一緒に遊んだりしてる最古参メンバーだけど、リアルでは初めて会うわけで少なからず緊張してしまう。
それに、こんな、ダンディーなおじさんだったとは…
何処となくアバターの獅子の雰囲気もある。
アスクルさんは爽やかな笑みを浮かべている。
隣で女の子がムッとした顔でアスクルさんの腕を引っ張った。
女の子に引っ張られながらもアスクルさんは優しく微笑んで
「あ、こっちのは私の娘の飛鳥です。今日は無理を聞いてくれてありがとうございます」
と紹介してくれた。
この子が飛鳥ちゃんかー。
あたしは飛鳥ちゃんに目線を合わせて自己紹介する。
「初めまして。まひるといいます。今日は楽しんでいってくださいね?」
すると飛鳥ちゃんは少し俯きがちに頬を赤らめ
「は、初めまして……よろしく…」
と呟くように言った。
どうしたんだろうか。
初対面だから緊張しているのかしら?
そんな風に思っていると今度はアスクルさんが一歩前に出て右手を差し出してきた。
これは握手を求められているのかな。
「飛鳥はとてもシャイでして…失礼を許してください」
あたしも立ち上がって手を出すとその手をガシッと握られた。
うわぁ……ゴツい手だ。
そう思いながら笑顔で返す。
「いいえ!大丈夫ですよ!」
そしてお互いに笑い合う。
なんか気のいいお父さんって感じでちょっと安心した。
『超次元電神ダイタニア』
第十二話「アキバの七人」
「風子だよ!よろしくね!」
ウィンドが真っ先に元気よく挨拶をする。それに倣い
「ほむらだ!よろしくな!」
ファイアも元気よく言う。
「初めまして。自分は球子と申します。宜しくお願い致します」
とアースが深々とお辞儀をする。
「僕は万理。サニーがいつもお世話になってます。僕たちも『ダイタニア』でサニーのフレンドなんだ。今日は同席させて頂きありがとう」
マリンが補足して挨拶してくれる。
みんなそれぞれ予め用意した地球での偽名を使っている。
それを受けてアスクルさんも
「私はアスクルです。サニーさんにはいつもお世話になっております。こちらこそよろしくお願いいたします」
と言って頭を下げた。
釣られて飛鳥ちゃんも
「…よろしく」
と一言呟き、ぺこりと頭を下げる。
それからあたし達は席についてそれぞれ注文をした。
するとアスクルさんが
「飛鳥、来たいと言ってた店に来られてどうだい?」
と飛鳥ちゃんに声をかける。
飛鳥ちゃんはまだ少し緊張した様子だったけど
「うん…嬉しい……やっぱりここの衣装、可愛い…実際に見られて、良かった」
と満足気に答えた。
飛鳥ちゃんの言葉を聞いたアスクルさんは「良かったよ」と微笑み返す。
「いやあ、この子がここの制服のファンでして、東京行くならどうしても寄りたいと言うもので。お付き合い頂きありがとうございます」
とアスクルさんが説明する。
飛鳥ちゃんは顔を真っ赤にして俯いていた。
そのあとは談笑しながら食事を済ませ、いよいよ本題に入ることになった。
アスクルさんが話を切り出す。
「では、現状のダイタニアについて、感じた事、解っている事、意見交換といきませんか?」
そう言ってアスクルさんはあたし達を見渡す。
最初に口を開いたのはマリン。
「じゃあ僕から一つよろしいですか? 先日『ダイタニア』で謎の現象が発生しましたよね。あれって結局なんだったのでしょうか?」
マリンの抽象的な質問にアスクルさんが答える。
「謎の現象と言いますと、現実でゲームのスキルが使えたり、電神を召喚出来たりというアレですね?超常現象と言うには余りにファンタジー過ぎる…」
アスクルさんは腕組みをしてうーんと首を捻った。
「そうですね…」
とだけマリンが無表情で言った。
続いてアースが
「あの後、運営の方からは何かアナウンスがあったのでしょうか?」
と尋ねる。
アスクルさんは
「いえ、特に何も。まあ正直なところ私も困惑しておりましてね。ただ、スマホに表示されたままのステータス画面が、現実の自分自身のものだということが最近になって判ってきました」
と答えた。
そしてアスクルさんは続ける。
「私は『ダイタニア』をプレイしていた時に得た知識を使って、とある仮説を立ててみたんです。ダイタニアの世界は、実はダイタニアのプレイヤーの脳波によって作られているんじゃないかと。ダイタニアはヘッドギアをかぶり遊べる『バーチャルエクスペリエンス』に対応してますが、ヘッドギアでダイタニアを遊んでいる人の脳波がサーバーに送られる事でイメージが蓄積され、ダイタニアの世界が自動生成されているのではないかと」
「つまり……ダイタニアのプレイヤーである我々は、ダイタニアをプレイしているつもりが、いつの間にかダイタニアそのものを創り上げていたと!?」
アースが驚いて声を上げる。
「はい。最近のAIの進歩には目を見張るものがありますし、何より今回のイベントが特殊過ぎる…あくまで私の推測に過ぎませんが」
アスクルさんが苦笑いを浮かべて答えた。
(…いいねアース。その調子で何も分からないフリをしてアスクル氏の知っていること、そして知らないことを引き出して。それを僕が解釈させてもらう)
(分かった。マリンは引き続き思考を巡らせてくれ)
(AIによるゲーム世界の生成、ね…ゲームだけの話ならそれもあるだろうが、今回は世界そのものの改変が起きているから、そこまで単純な話ではないだろうね)
マリンとアースは精霊だけが行える意識下での思考を共有し、アスクルから情報を引き出そうとしていた。
あたしはそんなことが起きているなぞ知る由もない。
隣では飛鳥ちゃんとウィンドがメイドさんの制服について「可愛い」とか「着てみたい」とかホンワカした話題で盛り上がっている。それをファイアが見守るように眺めていて、あたしはアスクルさんたちの会話に参加しながらも、あっちも楽しそうだな〜と呑気に考えていた。
「アスクル殿も既に現実でスキルを使ったり、電神を召喚したりしてみられたのですか?」
アースが続け様にアスクルさんに訊く。
するとアスクルさんは「いいや」と首を横に振った。
「私は現実世界ではまだ何もしていないよ。先程言ったのはネットでその様な書き込みを見たからなんだ。最近はめっきりそういう話題も減ってきてはいるがね」
アスクルさんはウィンドたちに打ち解けだし、笑顔が見られるようになってきた飛鳥ちゃんの方を見て
「私は…ただ、この子を危険な目に合わせたくないだけなんだ…人見知りだが、優しい子なんです。本当の戦いなんて、知らなくていい……」
そう呟いたアスクルさんはとても悲しそうな表情をしていた。
アスクルさんは本当に飛鳥ちゃんを大切に思っているんだ。
そんなアスクルさんにあたしは声を掛けた。
「アスクルさん。あの、あたしこの前、自身でスキルを使って、戦ったことがあるんです…」
「ッ!?」
マリンとアースがハッとする。
(まひる?まだこのアスクル氏の素性が割れていない!自分たちのことを話すのは得策ではないよ)
(やはり事前にまひる殿とも話し合っておくべきだったか?…いや、まひる殿のことだ、余り人を疑うことを良しとしなかっただろう…)
マリンとアース、互いに緊張が走る。そしてその空気はウィンドとファイアにも伝播する。
「ほぉう?」
アスクルさんが興味深そうにあたしを見る。
あたしは話を続ける。
「その時はイベントのサニーに掛けられた懸賞金目当てに襲われたんですけど、あたしもついカッとなってしまい、プレイヤー相手にスキルを多用してしまいました……」
あたしは俯きながら言う。
「相手とのレベル差は歴然で、ゲーム時のレベルがあたしの強さそのものになっているらしく、気付くとあたしはその襲ってきた二人を返り討ちにしていました…」
あの時は無我夢中で……とあたしは付け足す。
「…なるほど」
アスクルさんが腕を組みながら呟く。
「アスクルさんもレベルは48でしたよね?そうすると現状、かなりの強敵にも渡り合えると思います」
「……」
あたしの言葉にアスクルさんは考え込むように黙り込んでしまった。
「ええとですね、何を言いたいかと言いますと…アスクルさんはかなり強いはずですから、飛鳥ちゃんをしっかり護ってあげられると思います!ゲームで、アスクルさんがサニーにそうしてくれたように!」
あたしはそう言ってアスクルさんの両手を握る。
「だから、大丈夫ですよきっと!アスクルさんなら」
アスクルさんは目が点になって固まっている。
あれ?どうしたんだろう。あたし、見当違いなこと言っちゃったかな?
見るとマリンとアースの表情も固まっている。
そして
「ふふッ!」
マリンとアースが笑う。
(ああ、そうでした。まひるはいつも自分の利より、他人を思いやれる人でした…)
(それでこそ我が主…最初から小細工など不要でしたね…)
アスクルさんも
「私たちのことを気にかけてくれてありがとうございます。でも安心して下さい。私は私なりにこの世界で生きる術を身につけています。それに、飛鳥は私の命に換えても護ります!」
と笑顔で言ってくれ、あたしの手を振り払うことなく握り返してくれていた。
アースとマリンは相変わらずニヤけ顔だ。
そしてマリンが
「アスクル氏、もし娘さんを危険から遠ざけたいのなら、このゲームからログアウトするといいですよ。ログアウトをすると、今のこのファンタジックなイベントから抜け出て、元の世界に戻ることが出来ます」
と助言してくれた。
アスクルさんの表情が明るくなる。
「そうなんですね?この異常事態にどうしたらいいのか判断に困っていました。それで、皆さんはまだこの世界からログアウトされない理由があるのですか?」
ログアウトの仕方を知るあたしたちに、それをしないでいることを疑問に思うのも当然だろう。
あたしは何と言ったものか戸惑い、アースとマリンに目をやると、二人が黙って首を縦に振る。
後の説明は任せろと言ったようにマリンが口を開き続ける。
「僕たちはこの世界の異常を何とか元に戻せないか模索していまして、まだまだ分からないことだらけ。ログアウトするのはもう少し先になりそうですね」
マリンがオーバーに手の平を肩の辺りまで上げて戯けてみせる。
「勿論、自分たちに危険の及ばない範囲での探索になります。危険が及びそうになったら直ぐにログアウトするつもりです」
とアースがそれに続いて付け足す。
「この先、現状をどうにか修復出来そうな考えがあると?」
それを聞いてアスクルさんが訊いてくる。
マリンとアースが目配せをする。
(風待進次郎のことは言うことはないね)
(そうだな。こちらとしても不確定要素しかない)
「それがないので、今回の東京オフに参加させてもらったのです。三人寄れば文殊の知恵と言うくらいですからね。高レベルプレイヤーのお二人なら何か良い意見が聴けるのではと思いまして」
マリンが予め用意してた返答のようにスラスラと返す。
「むう…お力になれず、申し訳ない…」
アスクルさんが声のトーンを少し落として呟く。
「いえ、サニーと会うだけでも嬉しいのに、そのフレンドのアスクル氏や飛鳥ともこうして知り合えたのだから、僕にとっては収穫しかありません」
マリンはそう言って笑顔を作る。
何か難しい話しは全部マリンとアースにしてもらってるけど、折角だしあたしももう少し何か話した方がいいよね?
「あの、アスクルさんはゲーム内だと音声も変えて、喋り方ももっと粗野な感じですけど、あれはキャラ作りの為なんですか?」
あたしは前から気になっていたことを直球で聴いてみた。
アスクルさんは一瞬間を置き
「そ、そうなんですよ。プライバシーの観点からと、ゲームへの没入感を高めるためにそうしてます」
と少し恥ずかしげに笑って言う。
「は〜…徹底されてますねー。確かに『ダイタニア』やってると自分がその世界の住人になった気になりますもんね。分かる気がします」
あたしは感心して頷いた。
「あ!あと今回のイベント!アスクルさんの所にもサニーを見付けたら賞金が出る、みたいなメールとか来ましたか?」
あたしは訊いとかなければならない事を思い出した。
ルナさんや、あの襲ってきた二人組の所にはメールが来てたみたいだし。
「いや、私の所にはその様なメールは来てないですね」
アスクルさんは思い返すように言った。
「そうなんですね。なんか、サニーと戦ったら賞金が出る、みたいなメールが出回っているらしくて、同じプレイヤー名のあたしの所にそういう人が何度か戦いを挑んで来たことがあったので…」
「もしその様なメールが届いてたとしても、いきなりサニーさんを襲うようなことはしないので安心して下さい」
とアスクルさんが笑顔で言ってくれる。
「ありがとうございます。ほんと、そういうのはゲームの中だけで十分です」
あたしは困った顔で溜息をついて見せる。
アスクルさんが何か言おうとしたその時
「十二神パフェお待たせしましたー!」
メイド服を着たウェイトレスさんが飛鳥ちゃんたちの下に巨大なパフェを運んで来た。
「うわぁ……大きい……これ本当に食べ切れるかな?」
飛鳥ちゃんがそう言うとウィンドが
「飛鳥ちゃん!風子も手伝うよ!みんなで食べよう!」
と言っている。
「うん!ありがとう風子ちゃん! じゃあ一緒に…」
メイドさんの動きに合わせ、飛鳥ちゃんと風子がそれに続く。
「「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♪」」
手をハートの形にしてパフェに向けかざす。
飛鳥ちゃんもすっかり慣れた様で自然な笑顔が出るようになっていた。
「えへへ、なんかちょっと恥ずかしいね」
飛鳥ちゃんはそう言いながら顔を赤くしている。
大人しそうな子だったけど、自分が好きな事にはポジティブに行動出来るんだ。
あたしは少し感心しながらその光景を温かく見守っていた。
「それではいただきましょうか」
アスクルさんが合図を出してくれたので、私たちは巨大パフェを取り分け、食べ始めることにした。
さっきまでしていた話しに戻ることなく、それからは終始楽しい話題で盛り上がった。
パフェを頬張りながらあたしは飛鳥ちゃんの視線に気付く。
どうしたんだろう? 何か言いたいことがあるのかな?
「どうかした?飛鳥ちゃん」
あたしが訊くと飛鳥ちゃんはおずおずしながら
「あ、あの…その、私まだ、まひる、さんと、ちゃんとお話ししてないなって思って……」
と遠慮がちに言う。
ああ、そういう事だったのか。
確かにあたしも飛鳥ちゃんとは全然話せてなかったかも。
「そうだね。良かったら少しお喋りしない?」
と提案すると
「はいっ。喜んで」
と少し和らいだ笑顔で答えてくれる。
笑顔可愛いなぁ。
「それじゃあまずは自己紹介から始めようか。私は相川まひるです。ダイタニアっていうオンラインゲームでサニーって名乗ってます。飛鳥ちゃんのお父さんとは割りと前から一緒にゲームしてるんだけど、会うのは今日が初めてなんだ」
「はい。存じています。私、の父がよく、楽しげに話していますから」
飛鳥ちゃんが微笑みかけてきたので思わずドキッとしてしまった。
「そうなんだ。嬉しいな。ところで飛鳥ちゃんは今いくつ?」
あたしがそう訊ねると
「17歳です」
と答える。
えっ!ちっちゃくて可愛らしい見た目だから中学生くらいかと思ったよ!
「そ、そうなのね。若く見えるね。あたしは24だよ」
実際若い子に「若く見えるね」は意味不明でしょあたし!
あたしは動揺を隠しきれず変に応えてしまった。
「…よく童顔だと言われます。別に、いいんですけど……」
飛鳥ちゃんは見るからにシュンとしている。
ごめんなさい! そんなつもりじゃないのに。
あたしが謝ろうとすると
「あー、あはは。気にしないで。うちの妻も良く言ってます。『飛鳥は童顔で可愛いな』って」
アスクルさんがフォローしてくれた。
「もう!そういうこと言わないでいいよ」
飛鳥ちゃんが頬を赤らめながら俯いた。
アスクルさんは爽やかに笑いかけていてカッコイイ。
この二人仲良さげで羨ましいな。
「飛鳥ちゃんも『ダイタニア』やってるの?」
あたしが何気なく訊くと飛鳥ちゃんは
「あ、いえ…」
とだけ小さく答える。
俯いた飛鳥ちゃんの表情はどこか寂しげだった。
それからみんなでメイドさんを交えながら写真撮影をしたりと、大いにメイド喫茶を堪能した。
あたしはコスプレとかには余り興味無いけど、可愛い女の子達がキャッキャウフフしているのを見るのはとても楽しい。
あとはお客さんの男の子達にも人気だったみたいで、アースが写真を撮っていいかと訊かれ、慌てて断ったりしていた。
そしてあっという間に時間が過ぎて行った。
「あの……皆さんこの後はどうされるんですか?もし宜しかったら、これからみんなで秋葉原探索にでも行きませんか?」
飛鳥ちゃんが少し遠慮がちに提案してきた。
確かにこのまま解散するのは勿体ないし、また会えるとは限らない。
「あたしは大丈夫ですよ」
と言いながらあたしは四精霊の方を向く。
四人は笑顔で頷いてくれた。
「みんな大丈夫だそうです!」
「わぁ!ありがとうございます!嬉しいな」
飛鳥ちゃんがパァっと明るくなった。
その仕草がとても愛らしい。
「私は今日の目的は既に果たせたので、今度は皆さんの行きたい所にお付き合いさせてください」
と飛鳥ちゃんは言った。
最初に会った時から比べると、飛鳥ちゃんは大分スムーズに会話が出来るようになっていた。慣れてくれて嬉しいな。
「そうですね…僕たちが行ってみたい所は、電気屋とゲームセンター、それと、秋葉原ならではの漫画を扱っている本屋があると聴きました。そういう所になりますが、宜しくて?」
マリンが丁寧に尋ねる。
「はい!問題ないですよ」
と飛鳥ちゃんは答えた。
「あ、でもちょっと待ってくださいね……」
と言って飛鳥ちゃんがスマホを取り出した。
「えーと確かここにメモしておいたはず……あ、ありました。ここが私のよく行くお店です。行きたい所があれば、案内できます!」
と言って見せてきた画面を見ると、そこには秋葉原にある幾つかのその手のショップの名前が書いてあった。
マリンがそれを見て
「ありがとう飛鳥。助かります」
と笑顔で返した。
飛鳥ちゃんに案内され、あたしたち七人はメイド喫茶を後にした。
メイド喫茶から出てきた七人を見つめる視線がある。
その視線の元を辿ると高層ビルの屋上に一つの人影を見付ける。
色素の薄い碧色の長い髪をなびかせ、白い装束の女が佇んでいた。
女が冷ややかな眼差しを眼下に向け言う。
「こちらシルフィ。《勇者》一行を捉えました。これより、《襲撃戦》を開始します」
【次回予告】
[まひる]
アスクルさんたちと合流したあたしたち!
メイド喫茶で情報交換をするも
これといった新情報もなく…
そして、秋葉原探索が始まろうとした矢先に!
次回!『超次元電神ダイタニア』!
第十三話「摩天楼レイドバトル」
折角の東京観光、邪魔させないッ!




