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32話「木遁、木樹牢の術!」




「あなたに恨みは無いですが、主人の命に従い成敗させていただくのです」


 忍者はそう呟いて切りかかって来た。

 

「ちょっ、マジで何者だよ」

「!!?」


 忍者の刀を手刀で弾く。覆面で表情は分からないが、素手で弾かれたことに動揺しているらしい。


「強化魔術ですか…」


 忍者が予想を口にするが、残念不正解だ。

 答えは身体の丈夫さである。レベル800超えの身体強度のおかげで強化魔術などせずとも大抵の攻撃は平気なのだ。

 一応魔力は纏っているけどな。


「何の理由で襲って来たかは分からんけど、おとなしくして貰うぞ」


 無数の斬撃を手刀で弾き、そのまま忍者に掴みかかる。するとーーーー


「煙幕なのです!」


 小さな球を床に投げつけ、煙幕を発生させやがった。


「煙い!」


 煙くて鬱陶しいが、精密探知の使える俺には効かない。


「捕まえた…うおっ!」


 煙を無視して忍者を掴むと、真横から別の忍者に斬りかかられた。

 咄嗟に手を離して避けてしまったが、避けなくても大丈夫だったな。失敗した。


「忍法、分身の術なのです」

「分身!?」


 そんな魔術もあるのか!というか、忍法か?そんな胸踊る技があるなんてーーー


「ーーーって違うじゃねぇか!」


 見た目も風貌も全く同じだが、俺の精密探知は誤魔化せない。

 サラシか何かで無理やり体型を似せているようだが、後から出て来た忍者は最初の忍者よりもバストが23センチ大きい。

 煙に紛れて部屋の中に侵入して来た新手の忍者だろう。騙された。本当に分身かと思った。

 ついでにウエストとヒップも測定しておくか。


「ユージさん」


 背後からサチの怒気を感じる。まずい、今は戦いに集中せねば。


「風よ、弾けろ、忍法『風弾(エアショット)』」

「忍法じゃなくね!?」


 ただの下級魔術なので問題なく躱す。

 だが、忍法とか叫びながら放つの…かっこいいな。むかし某忍者漫画を真似して印を結ぶ練習していたのを思い出す。


「忍法みたいにしたいなら属性とか叫んだ方がかっこいいと思うぞ?」

「属性を叫ぶ、ですか?」


 え?なんか普通に食いついてきた。


「属性を叫ぶとはどういう事ですかぁ?」


 もう片方の忍者も食いついて来た。提案した俺も俺だが、敵のアドバイスに食いつくなよ。


「まぁいいか、例えばこうだよ。木遁、木樹牢の術!」

(と言いつつ『木樹牢(プリズンツリー)』)


 部屋の支柱や家具の木が成長し、2人の忍者を捉える牢屋へと形を変える。

 家屋生成の課程で生み出した魔術だが、これも中々使えるな。


「しまったです!ですがこの程度の牢屋など…」

「パーフェ…忍法、完全強化の術!」

(『完全強化(パーフェクトフォース)』)


 適当な印を結びながら完全強化(パーフェクトフォース)を発動する。


「なんですかその動きぃ、かっこいいですぅ!」


 忍者の賞賛を浴びつつ、2人を閉じ込めている牢屋を強化した。

 そのままでも十分頑丈だが、これで破られることはないだろう。


「くっ、私の刃が通らないのです!」

「あららぁ、それじゃあ万事休すねぇ。でもさっきの木遁!とかポーズとかかっこよかったわねぇ」

「たしかにです。今後はそれも忍法へ取り入れていくのです」


 このアホ忍者達は捕まったのになに悠長に談笑してんだよ、完全に舐めてるな…少しビビらせてやるか。


「おいお前ら。女の忍者だからくノ一、だよな?」

「くノ一…そうです。私達はくノ一なのです!」

「くノ一、いい響きねぇ」


 アホくノ一達の発言はスルーしつつ話を続ける。


「お前ら、捕まったくノ一がどうなるか知ってるか?」

「「?」」

「男の忍者は即拷問もしくは処刑だ。だが、くノ一は殺されないことが多い。何故だかわかるか?」

「「?」」

「慰み者にされるんだよ、城中の男共からな」

「「!!!」」


 適当な作り話だが、舐めてるこいつらにはいいお灸だろう。

 魔力で威圧しながら、低いトーンで説明を続ける。


「昼夜問わず、休む暇も与えられない。嫌だと叫んでも助けは来ない。連日連夜、身も心も全て汚されていくんだ」

「「ひっ!」」


 中々効いてるな、トドメといくか。


「さてと、それじゃあまずは服を脱いで…」

「ユージ」

「ユージさん」

「ひっ!」


 ミーナとサチからの威圧が凄い。

 じょ、冗談ですよ冗談。


「それくらいにしてあげて、その忍者達はたぶん敵じゃないわ」

「ん?知り合いか?」

「ええ…。早く覆面を取ってください、レイン姉様」


 バスト大きめ忍者へミーナが話しかけた。というか、姉様?


「あららぁ、バレてたのねぇ」

「隠す気が無いじゃないですか。その口調と声を聞けば城中の誰もが分かりますよ」


 ミーナがそう呟くと、忍者は2人とも覆面を外し始めた。

 姉らしきバスト大きめ忍者はミーナに何処と無く顔立ちが似ている長い金髪の似合う美女なのだが、色気が凄まじい。まさに妖艶という言葉が似合う美女だ。どうやら本当にこの国の姫様だったらしい。

 お姫様が忍者の格好して奇襲って、どういうことだよ。


 もう1人の忍者は、セミロングの白髪をした華奢な美少女だった。


「なにをしに来たんですか?」

「妹の無事を見に来ただけよぉ」

「その為に襲撃なんて、本当にそうだとすれば常識がなさすぎると思うのですが…」


 ほわほわしている姉のレインに対してミーナが鋭く意見している。

 確かに、妹の無事を見に来る為に忍者の格好をして切りかかって来る姉など常識がなさすぎると思う。ま、俺は常識語れる立場じゃないけどな。


「それで、本当は何をしに来たのですか?」

「いやぁねぇ、本当に無事を確かめに来ただけよぉ」

「…ユージ、服を剥いでいいわよ」

「え、いいの?」


 檻の中にいる美女2人へ両手をワキワキさせながら近づいて行く。まずは、下からだな!


「本当の目的はあなた達へ耳寄りな情報を届ける為に来たのよぉ!」


 チッ、話し始めたか。


「耳寄りな情報ですか?」

「えぇ。兄上、ザミド王子の行方についてよぉ〜」


 ミーナの質問にレインが答え始めた。

 ザミド王子は既に獣国ガルドへ到着しており、数日以内にガルドの国王と謁見が行われるそうだ。


「それだけですか?」

「ふふふっ、兄上がそれだけで帰って来るはずがないでしょぅ。私にも詳しくは分からないけど、どうやらガルドの国王に何か仕掛けるつもりみたいねぇ」


 『見解者』で様子を見た限りだと嘘はついていない。

 このレインとかいう姫様は本当のことを言っているらしいな。だがーーー


「なんでそんなに色々知ってるんだ?それに、何故その情報を俺らに教える」


 皆が思っているであろう疑問をレインへとぶつける。


「私が色々と知っているのはぁ、私の騎士団がちょっぴり変わっているからよぉ」

「変わっている?」

「えぇ、私の騎士団は隠密行動に長けているのよぉ。だからぁ、どんな情報でも簡単に手に入っちゃうわけ」


 聞くと、忍者のコスプレも趣味ではなく、勇者の世界で有名な隠密組織である忍者について学ぶためにしてみたのだそうだ。


「それで、そんな忍者騎士団を引き連れているお姫様がなんで俺たちに情報をくれるんだ?」

「忍者騎士団、いいわねぇ」

「おい」

「あららぁ、ごめんなさい。私があなた達へ情報をあげるのは、王位継承に興味がないからよぉ」

「王位継承に興味がない?」


 魔力の乱れはない、どうやら本当のことを言っているらしい。


「私はねぇ、北方連合へ使節団として向かえればいいのよぉ。それが叶うなら、誰が王様になっても構わないわぁ」



 


 仕事や勉強と両立してなろう投稿をできている方々、ほんとに尊敬します。

 現実の忙しさで長らく滞ってしまいましたが、どんなにかかっても、完結まで…完結までちゃんと書きます!

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