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ファッションセンスのある人はすごいなあと思います

一行はファッションに一番詳しいらしいリリカの案内の元、ショッピングに向かった。今までは戦争や色んなことが重なり服のことを構っている余裕はなく、カノン達はいつも同じ服であったが、今はお金と時間に余裕があるので、ゆっくりと色んな服を見て回ることにした。フェーベはファッションに無頓着であったため、勉強したいと意気込みを表明していた。


「この服とか、かわいいなぁ。あ、これも『カノン』がこんな衣装着てたことあったかも…あのっ。こっちの赤と、緑…どっちが似合うと思いますか?」

カノンは色鮮やかできめ細かい生地を使われたリリカおすすめの店の服に、目まぐるしく手をつけていた。

「カノンちゃんはやっぱり元気なイメージがあるのでぇ、そっちの赤が良いんじゃないですかねぇ。緑のワンピースはぁ、サイズが合うのがあればあたしに似合いそうですぅ。店員、呼んできますねえ」

「ありがとうございます、ファッションの師匠!」

「師匠だなんて、そんなあ…お金が無かった時はいっつも周りの人かどんな服を買うのかなぁ〜、とか観察しながらウィンドウショッピングをしていたのでぇ、誰に何が似合うのか大体わかるんですよぉ。えへへ」

リリカは服を買うのは慣れているという具合で店員にサイズ感や丈の詰め方などを詳細に相談した。他の三人の服も、リリカのコーディネートによってあっという間に決まってしまった。

フェーベはすらっとしたモデルのような体型をしているので、何を着せても似合っちゃうから悩みますねぇとリリカは店内の服を30分ほど物色していた。最終的にフェーベには5セットのコーディネートを勧めたが、フェーベはお金には困っていないからと全てを購入した。

丈の詰めが終わると、一行は選んだ服にさっそく着替えた。着替えの元の派手な制服のようなものはデイジーの鞄に全て詰め込まれたが、不思議とデイジーの鞄が膨らんでいるような様子はなかった。


「わぁっ…とっても、かわいいです!」

カノンは、470ドゥカのフリフリした素材を使ったワンピースと妖精が履いているような20ドゥカのハイソックスのコーディネートに、まるでアイドルみたいだなという感想を抱いた。バーチャルアイドルのアバターが着ていたドレスはどれも魅力的であったが、慣れてくると自分の手足の動きにしか目が行かないものであった。実際の自分がリリカの整えた服を着た姿を鏡に映して、くるくると回ると、カノンの中の自尊心が前世で経験したことがないほど満たされるような心地がしていた。



「カノン、その服で歌って踊ったら、とってもかっこよくて、可愛いと思うの!」

デイジーのコーディネートは本人の天真爛漫な性格を意識した、白の袖が絞られたトップスと青のタイトなスカートのツートーンで、すっきりしたものとなっていた。前衛で動くかもしれないデイジーは、機能性重視かなとリリカも少し頭を使っていた。


「そうね…次のライブが楽しみだわ。見たことの無い楽器をカノンちゃんみたいな子が操ってるのは、国中の評判になっているもの」

ルーティはゆったりとしたカーディガンに黒のロングスカート、シンプルな花柄のストールを巻いた、大人っぽいコーディネートになっていた。カーディガンは少し胸を強調するような形になっており、Dカップほどであったルーティの胸がかなり大きく見えるよう作られていた。


「うん…これなら、激しく動いても問題ないし、何より……よくわかんないけど、オシャレ?……っぽい」

紺の半袖に小さくリボンのあしらわれたトップスに、腹の辺りで絞られたスカートを着たフェーベは、まるで雑誌の表紙を飾っていそうな装いだった。


「みんな、すっごくオシャレになっちゃいました!リリカさん、やっぱりファッションの女王様だったんですね」

「またまたあ、カノンちゃん、そんなに褒めても何も出せませんよぉ…あ、出して欲しいものならあるんですけどぉ。ウィンドボナ・ハウスで食べたビタナ・クラッシュ、あれ、また食べたいんですう」

そう言ったリリカは、くるくるした髪で表情を隠すようにして照れていた。

「美味しいお菓子を食べられるなら、どこだって行きたいの!」

「そうね、ちょっと歩き疲れちゃったし休憩にしましょうか」

「リリカ、いっつもあそこの話するから……ずっと、気になってた」

デイジー、リリカ、フェーベの三人は稽古の後にカフェ巡りをするのが習慣になっていたが、「ウィンドボナ・ハウス」には行ったことがなかった。

「あそこはぁ、みんなで行こうと思ってたんですぅ。隠れ家的なぁ、名店なのでえ。あんまり頻繁に行っちゃうと、特別感が無くなっちゃいますぅ」


一行はショッピングでの疲れを癒すため、ウィンドボナ・ハウスに向かった。店先には劇の公演やライブの告知のようなポスターが一面に貼り付けられており、なんともアングラな雰囲気が漂っていた。

店内は薄暗く、木をそのまま輪切りにしたような椅子と机、ストイックな形状をした観葉植物のインテリアが、シックな雰囲気を醸し出していた。


「ここも、すっごくオシャレなところです!ビタナ・クラッシュ、楽しみだなあ」

カノンは席につくとそう言いながら、キーボードの「メッセージ」を開く。その機能を使い、ミケにこんな文章を送信した。



「勇者、ほんとキモかったけど、勝ててよかったです。戦争とかはよくわからないけど、お姉さんたちがすっごく頼りになるので、これからも勇者なんか私が頭をおかしくしてデイジーさんがぱー!って凍らせちゃって勝っちゃうと思います。久しぶりにミケさんに会えるみたいで、私すっごくワクワクしてます。今日の20時に、アグリッピナ広場の向こうのネプテュヌス港の待合室で、待ってます。そこの景色、海と空と街の景色がすごくって、ロマンティックなんですよ!」


カノンはお菓子以上にミケとの再会を楽しみにしていて、にんまりとしながらメッセージをしたためていたのだった。




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