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神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~  作者: こはるんるん
5章。叡智の女神

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78話。ヴァルトマー帝国、バハムートに恐れおののく

「ぬはははっ! さすがは我がヴァルトマー帝国が誇る新型ゴレーム兵であるな」


 ヴァルトマー帝国第2皇子のダオスは、膝を叩いて喜んでいた。

 彼が陣取る丘の下では、アルビオン王国軍をゴーレム兵たちが、おもしろいようになぎ倒している。

  

 ヴァルトマー帝国は錬金術によって栄えた国家だ。強力な軍用ゴーレムを開発し、その力で周辺諸国を侵略して勢力を伸ばしている。


「ゴーレム兵に対抗できるのは、オースティンの獣魔旅団くらいだろうが。クククッ……まさか跡取りがそろいもそろって無能であったとは、傑作だ!」


 アルビオン王国最強と呼び名高いモンスター軍団──獣魔旅団は、王宮で反乱を起こし、どこかに逃げ散っていったそうだ。

 さらには、王都に魔竜が出現して暴れるという前代未聞の騒動も起きていた。

 しかも、魔竜を操っていたのは、獣魔旅団を御せずに罰を受けたナマケル・オースティン伯爵であるという情報も入っていた。これは明らかな謀反である。


 アルビオン王国は、今、かなりの内憂を抱えている。攻めるなら今だと、ダオスは判断して兵を進めた。


「アルビオン王国の領地を削り取れば、次期、皇帝の座は、兄者ではなくこの俺で間違いないな!」


 上機嫌でダオスは、奴隷に用意させた肉汁のしたたるステーキに齧りつく。

 優勢に戦いをすすめるゴーレム兵を眺めながらの食事は、実にうまかった。本来なら、ゴーレム兵に前衛を任せ、本陣から魔法での援護射撃をするのが必勝の戦術であるが、その必要もなかった。

 魔導部隊は力を温存させるべく、待機させてある。


「はい。帝国を統べるはダオス様をおいて他におりません」


 ダオスの隣に立った錬金術師のアイザックが笑みを浮かべる。アイザックは諸国を漫遊していた帝国貴族だ。旅先で得た知見を元に新型軍用ゴーレムを開発して、ダオスに売り込んだ。


 従来のゴーレム兵をはるかに上回る新型ゴーレムの性能を目の当たりにしたダオスは、一にも二もなくアイザックの抜擢を決めた。

 アイザックは今では、ダオスの副官という立場にある。


「当然であるな! しかし、アルビオン王国軍は弱すぎる。ぬはははっ! このまま王都まで攻め入り、大陸一の美姫と謳われるアンナ王女を我が物とするのも、おもしろいな!」


 もはや勝敗は決したと思い、ダオスは奴隷に酒を持ってこさせようとする。

 その時、自慢のゴーレム兵たちの動きが鈍くなっているのに気づいた。


「うん? ゴレーム兵の出力が落ちているようだぞ! 奴隷どもからもっとMPマジックパワーを絞りあげろ!」


「はっ!」


 ダオスの本陣には、鎖に繋がれ檻に入れられた大勢の人々がいた。ダオスが本国から連れてきたMP供給用の奴隷だ。

 ゴーレム兵は優れた兵器だが、その分、稼働に膨大なMPを必要とした。それを補うためのシステムが、これだ。


「……がぁ……あ!?」


 奴隷たちの足元の魔法陣が輝くと、彼らは喉をかきむしって倒れだす。

 奴隷からMPを奪い、ゴレーム兵のエネルギー源として供給するための魔法陣【マジック・エクスポート】が、その効果を強めたのだ。


「お止めください、皇子殿下! む、娘はまだ小さくて……これ以上、MPを奪われたら死んでしまいます!」


 奴隷の男が、ぐったりした少女を腕に抱いて必死に訴えた。

 MPの根源は生命力であり、MPを限界以上まで失うと命を落とすこともあった。彼らは休息を与えられぬことなく搾取され続け、MPの低い者はすでに限界に達していた。


「ああーん? 魔力の弱い無能の貴様らを、帝国の勝利のために有効活用してやっているのだぞ、光栄に思え!」


 ダオスはにべもなく、一蹴する。

 ダオスにとって、奴隷は使い捨ての駒でしかない。

 減ったら本国から補充させるか、捕虜とした敵国の兵で補えば良いだけだ。


「クククッ……皇子殿下に直訴するとは、恐れ知らずな男ですな。見せしめとして、この男から限界以上までMPを絞り取るといたしましょう」


「おお! アイザック、おもしろい趣向であるな」


 アイザックが手を上げると、娘を抱えた男が苦痛にあえぐ。


「あぁああ……お、お父さん……!」


「ぐぅううう……!?」


「ぬははははっ! 娘が寂しくないように、お前も後を追わせてやるぞ!」


 ダオスは苦しむ父娘を見て、腹を抱えて笑う。無力な奴隷をいたぶる時、彼は自分の強大さを実感し、最高の快感を覚えた。


 ヴァルトマー帝国では、魔力の能力値が低い者は、魔法使いや錬金術師として大成する可能性が低いため、奴隷階層に落とされた。

 彼らは人間でなく、ゴーレムなどの魔導兵器のただの動力源なのだ。


「クククッ、どうかね? 今、許しを請えば、娘の命と引き換えに、キミの命だけは助けてやっても良いのだが?」


 アイザックが嗜虐的な笑みを浮かべる。

 無論、そんなことをしても無駄で、父娘ともども殺すつもりであることをダオスは良く知っている。

  

「それは良い! 許可するぞアイザック」


 アイザックは死の間際に、父娘の愛情が壊れる様を見物して楽しむ気なのだ。

 父から見捨てられた娘が浮かべる表情は、ダオスにとっても極上の酒の肴となる。


「だ、誰がそんなことを……!」


「ひ、ひどい……! 神様、どうか助けて……」


 神に祈る娘を、ダオスがあざ笑う。


「神だと? ぬはははっ! 我らヴァルトマー帝国の皇族は、叡智の女神メーティス様の血を引く神人! その我らが錬金術によって世界を統べることこそ、神の思し召しなのだ!」


 ヴァルトマー帝国は、叡智の女神メーティスを信仰していた。その血を引くとされる皇族は強大な魔力を誇っている。

 そのため皇族たちは、自分を神と同一視し、驕り高ぶっていた。


「そういうことだ、娘よ。神に祈ったところで、無駄であるのだよ? ダオス様こそ、神なのだから」


「ぅううう……!」


 奴隷の男はついに堪えられなくなり、地面に倒れた。口から泡を吹き、あと数分もしないうちに息絶えるだろう。


「バカな男ですな。強情を張ったところで、どうせ娘は死ぬというのに。娘を差し出せば、お前の命だけは助かった。そんな簡単な計算もできないのかね? 今からでも遅くない、娘を差し出すと言いたまえ」


 アイザックは冷笑を漏らす。


「……お父さん! か、神様!」


 少女も苦痛にあえぎ、父に折り重なるように倒れそうになる。

 その時、ゴォオオオという爆音が空に響いた。

 ダオスが空を見上げると、黄金の巨大なドラゴンが飛翔して迫ってきている。


「なぁ!? なんだ、あれは……!」


 兵士たちがざわめき、ダオスは腰を抜かした。


「黄金の巨竜だと!? ……ま、まさか神竜バハムート!?」


 その正体にいち早く気づいたアイザックが叫ぶ。


「バカな! あの噂は……追放されたアルト・オースティンがバハムートを従えているという与太話は、ほ、本当だったのか!?」


 ダオスたちは、まだ知らなかった。

 自分たちが神どころか、神を統べる者の怒りを買ってしまったという事実に……

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