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神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~  作者: こはるんるん
2章。村の事業が急激に発展!

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24話。【冒険者SIDE】Sランク冒険者兄妹、アルトの従者になる

「兄さん、もう少し、もう少しでアルト村に着きますよ」


「ああっ……」


 私──魔法使いのリーンは、兄さんを背負ってシレジアの樹海を歩いていました。

 私たち兄妹はSランク冒険者パーティー《暁の狼》として王都で有名でしたが、それはもはや過去の話です。


「くやしい……どうして兄さんがこんな目にっ。ナマケル・オースティン……! 私、誰かをこんなにも憎んだのは初めてです!」


「冒険者などしていれば、貴族から理不尽な仕打ちを受けるモノだ……リーン」


「でも、だからって……!」


 私たちは王宮テイマー、ナマケル・オースティン伯爵に雇われ、神竜バハムートの棲むダンジョンを探索しました。

 ナマケル伯爵がバハムートをテイムするのをお手伝いするのが仕事でした。


 でもナマケル伯爵は、バハムートのテイムに失敗。その時、ナマケル伯爵が足を挫いたため、兄さんが伯爵を背負って帰還したのですが……


 その道中に兄さんは危険なモンスターから、毒を受けてしまったのです。


 その毒は特殊なモノで、どんな薬や魔法でも癒すことができませんでした。

 兄さんは手足が痺れ、まともに動くことのできない身体になってしまったのです。


 冒険者をしていれば、このような目にあうのは仕方のないこと。

 こんな時こそ、仲間で支え合って兄さんが復帰できるように、あらゆる手を打たねばなりません。


 でも、それは私たちに収入があればの話です。


 ナマケル伯爵は、バハムートのテイムに失敗したのは、私たちのせいだと吹聴して……

 報酬を払ってくれなかったばかりか。私たちに仕事を回すなと、伯爵家と付き合いのある人や組織に圧力をかけたのです。


 これによって私たちのパーティは仕事が激減。王都にいられなくなり、散り散りになってしまいました。


 私は兄さんと一緒に冒険するのを夢を見て、魔法の修行を必死にがんばってきたのに……

 その夢は一瞬で壊れてしまいました。


 そんな時、辺境の地シレジアで、万病に効く温泉が湧き出たという噂を、冒険者ギルドで聞きました。

 追放されたナマケル伯爵の兄、アルト様が治める領地です。

 

 兄さんの治療のため、藁にもすがる思いで、私はシレジアに向かいました。


「アルト様は、あのナマケル伯爵の兄……評判の良い方だそうですが、信用しない方が良いですね。弟の機嫌を損ねたと知ったら、何をされるかわかりません」


「そうだな……」


 貴族など、もうまったく信用できません。

 Sランク冒険者などという身分は隠して、目立たないように行動しなくては……


「……っ! リーン、上だっ!」


 兄さんからの警告に空を見上げると。

 牙を剥き出しにした飛竜が、私たちに襲いかかってきているではありませんか。


「【氷嵐ブリザード】!」


 度肝を抜かれつつも、とっさにBランク魔法で迎撃します。

 極低温の氷の嵐が飛竜を貫きますが、飛竜は構わずに突っ込んで来ました。


 なっ、まさか……この飛竜、通常種よりも強い?


 私はある事実を思い出しました。


 シレジアでは最近、新しいダンジョンが発見され、そこから強力なモンスターが溢れ出しているというのです。

 もしや、この飛竜もその類いでは……?


「リーン、俺を捨てて逃げろっ!」


 兄さんが叫びます。

 しかし、そんな訳には……


「我が主の庭で、狼藉は許さん!」


 その時、黄金に輝く巨大なドラゴンが、飛竜に体当たりしました。飛竜は、はるか彼方に吹っ飛んで行きます。


「えっ、神竜バハムート!?」


 私はそのドラゴンに見覚えがありました。

 恐怖の象徴のようなその威容。見間違えようがありません。

 あの【煉獄のダンジョン】で遭遇した神竜バハムートです。


「おい、大丈夫か!?」


 ホワイトウルフに乗った若い男性が、私たちに向かって駆け寄って来ました。

 その顔を見て、私はさらに驚愕します。


「な、ナマケル伯爵!?」


「えっ……!? ああっ、僕の弟をご存知でしたか? たまに間違えられるんですが、僕は兄のアルトです」


 な、なんと。ここのご領主、アルト様だったようです。

 意外なことに、謙虚な印象のお方です。


「我が主アルトよ! 人間を餌にする飛竜どもが集まって来ておるようだ。ブレスで一掃して構わぬか?」


「いや、殺さない程度に加減して戦ってくれ。テイムして連れ帰る」


「承知!」


 えっ、ま、まさかバハムートを使い魔にしているのでしょうか?


 バハムートはアルト様の命令に嬉々として従います。


 飛竜の群れが集まってきましたが、バハムートの腕や尻尾に打たれて、地上にことごとく落下していきました。


 あまりのことに、私は言葉を失って立ち尽くしました。


「その人は顔色が悪いみたいですが……もしかして、毒におかされているのですか?」


「あっ。はい! 兄はモンスターの毒を受けてしまいまして……」


 アルト様に声をかけられて、私は我に返りました。


「シレジアの領主。アルト様でありますか? 我ら兄妹をお救いくださり、かたじけない……」


 兄さんが苦しそうな息を吐きながら、貴族様に失礼の無いよう挨拶します。


「無理をしないでください。これは……多分、ビリビリクラゲの猛毒ですね。

 エリクサーでもない限り、治療は難しいと思います」


「そ、そうなのですか!?」


 さすがは、元王宮テイマーのアルト様です。すぐにどんなモンスターから受けた毒であるかを言い当てました。


 ですが、究極の霊薬エリクサーが必要となると……大金が必要です。

 今の私では、とても手が出せません。


「いや、なんとかなります【世界樹の雫】!」


「なっ……!?」


 アルト様が兄さんに触れると、兄さんが驚きの声を上げました。

 兄さんは私の背中から降りて、アルト様の前にひざまずきます。


「まさか……平民である私のためにエリクサーを使ってくださるとは!」


「えっ、ええっ……!?」


 兄さんが、動けるようになったのも驚きでしたが……

 エリクサーを与えてくれた?


「いや、これはエリクサーではなくて、僕のスキルです。72時間のクールタイムが終わればまた使えるようになるので……

 そんなにかしこまらないでください」


「はっ! し、しかし、なんとお礼を申し上げれば良いか」


「あ、あっ、ありがとうございます、アルト様!」


 私も感極まって、その場に平伏しました。

 ナマケル伯爵の兄だから、きっとヒドイ人なのだと、アルト様のことを決めつけていた自分が恥ずかしいです。


 見ず知らずの私たちのために、ここまでしていただけるなんて……

 な、なんと素晴らしいお方なのでしょうか?


「私はSランク冒険者パーティ《暁の狼》のリーダーを務めておりましたエルンスト・ミレーと申します。こちらは妹のリーンです」


「はじめまして、アルト様!」


「《暁の狼》のミレー兄妹と言えば、凄腕の冒険者ではないですか?」


「これはお恥ずかしい。凄腕の冒険者などと……神竜バハムートを従えておられるあなた様の前では、我らの技など児戯に等しいでしょう」


 兄さんは、うやうやしく告げます。


「アルト様は命の恩人です。聞けば、アルト様はこの危険な辺境を開拓されておられるとか。

 どうか我ら兄妹をアルト様の手足として、使ってはいただけないでしょうか?」


「お気持ちはありがたいのですが、Sランク冒険者を雇うほどの余裕はなくて……ガチャに課金しなくてはなりませんし」


 ガチャ? 聞き慣れない言葉です。何かのマジックアイテムでしょうか?


「いえ、報酬など。食事と寝床さえいただければ十分です。

 妹のリーンはまだ15歳の若輩ですが、Aランクまでの魔法が使えます。

 どうか妹を従者として身の回りのお世話や護衛などさせていただけないでしょうか? きっとお役に立てると思います。

 なにより、アルト様の下で学べるとなれば、妹にとって大きな財産となります」


「に、兄さん! わ、私ごときが、アルト様の従者になんて……!

 身の程知らずにもほどがあります。す、すみません。今の兄の言葉は忘れてください!」


 アルト様の従者になれるなんて、天にも昇れるような気持ちでしたが、あまりにも厚かまし過ぎます。


 兄さん以上の男性など、この世にいないと思っていましたが、このお方は別格です。


 さっから胸がドキドキして、アルト様のお顔をまともに見ることができません。

 身体も熱いし、私はどうしてしまったのでしょうか?


「魔法使い……それは確かにありがたいです。氷の魔法も使えますか?」


「あっ! はい、できます! 私の得意分野です!」


「それなら、ぜひ頼みたいことが……」


「な、なんでしょうか? 私がお役に立てることであれば、なんなりと!」


 アルト様に必要とされている!

 そう思うと、胸が高鳴りました。


「それじゃ、名物として開発しているソフトクリーム作りを手伝ってください。

 リーンは今日からアルト村の『ソフトクリーム担当大臣』だ!」


 えっ? ソフトクリームとは何でしょうか? ガチャ同様、初めて聞く言葉でした。

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