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【完結】泥船貴族のご令嬢、幼い弟を息子と偽装し、隣国でしぶとく生き残る!  作者: 江本マシメサ
番外編

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コミカライズ第二巻、発売記念SS『リオンの意外な特技!?』

 フロレンシがピクニックに行きたいというので、せっかくだからとマリオン殿下も誘ってみることにした。

「僕も行っていいの? お邪魔虫じゃない?」

「ええ。きっと喜びますわ」

「よかった!」

 そうと決まれば、お弁当用の食材を買いに行かないといけない。

「え、ララ、これからお買い物に行くの?」

「ええ」

「今から出たら、帰るのは夕方になってしまうよ」

「別に構いませんわ」

「どうして午前中に行かなかったの?」

「マリオン様が行くか行かないか、訊いてから必要な食材を購入しようと思ったものですから」

「ええっ、そうだったの? 別に、ララが作った物だったら、なんでも食べるのに」

「なんでもって、どうでもいいみたいに聞こえるのですが?」

「そんなことないよ、誤解だ。それに夕方はバタバタしている人が多いし、労働者の退勤時間でもあるから、もみくちゃにされそうで気の毒に思って」

 さまざまな思いから引き留めたという。

「一緒に行ってもいいけれど、人波の暴力からは僕一人で守れないから」

 ここまで言われたら、引き下がるしかない。お弁当は家にある食材でもなんとかなるだろう。

 なんて考えていたら、マリオン殿下が思いがけない提案をする。

「そうだ! 明日のお弁当、僕が作ろうか?」

「マリオン様が?」

「そう」

「お料理、できるのですか?」

「少しだけね。ほら、僕って食事によく毒が盛られていたから、信じられるのは自分しかいないと思って、たまに料理していたんだよね!」

「あ……そう、だったのですね」

「ララほど上手くはないけれど」

 なんでも食材も自ら買いに行っていたようで、夕方の人混みについてはよくわかっているという。

「たまには任せてよ」

「では、お言葉に甘えます」

「そうこなくっちゃ!」

 そんなわけでお弁当はマリオン殿下が作ることとなった。

 迎えたピクニック当日――フロレンシはマリオン殿下と馬に乗り、わくわくした様子だった。

 そこまで乗馬経験がないので馬車の中から見守るも、マリオン殿下は安定した走りを見せていた。任せていて心配ないだろう。

 到着したのは、エーデルワイスの花が咲き誇る小高い丘。

「すっごくきれいですねえ」

「そうでしょう? 向こう側に木イチゴの実がなっているから、摘みにいこうか!」

「はい!」

 マリオン殿下とフロレンシは元気よく駆けていく。

 私はそんな彼らを見守ることとなった。

 たくさん遊んでお腹が空いたフロレンシは、お弁当を作ったのがマリオン殿下だと訊いて驚く。

「リオンお兄さんが作ったのですね! すごいです!」

「そう? おいしくできているといいな」

 バスケットを開くと、そこには五種のサンドイッチにタラのフリット、串焼き肉に野菜スティック、揚げ鶏など、実においしそうな料理の数々が詰め込まれていた。

「わあ~~~~~~~~!」

 フロレンシは瞳をキラキラ輝かせ、バスケットの中身を覗き込んでいる。

「たくさん食べてね」

「はい、いただきます」

 フロレンシは嬉しそうにマリオン様が取り分けたサンドイッチにかぶりついていた。おいしい!! と大絶賛だった。

「ララもどうぞ!」

「ありがとうございます」

 潰した茹で卵を挟んだサンドイッチを食べる。

 パンはしっとり、マヨネーズで和えた卵はクリーミーで上品な味わいである。

「おいしいです」

「よかった」

 食べながら、マリオン殿下の料理の腕前は私よりも上なのではないか、と思ってしまう。

「いやはや、料理を振る舞うのは気持ちがいいものだね」

 マリオン殿下はまた料理を作ってくれるという。

 すっかり餌付けされたようになってしまった私とフロレンシは、ぜひ! と笑みを浮かべながら頷いたのだった。

コミカライズ版『泥船貴族のご令嬢~』第二巻が本日発売となります。

寺里甘先生の繊細で美しい漫画で、泥船貴族のご令嬢の世界をお楽しみいただけたら幸いです。

どうぞよろしくお願いします!

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