37「まだ一つ問題がある」
「ん…」
翌日の朝は、いつもより目覚めが良くとても気持ちが良かった。
最近の朝はいつも、何処かどんよりしてて暗かったのが嘘の様だ。
「よいしょ」
ベッドから出てゆき、窓を開けて外を眺めた。
朝の光が、風が、空気が、気持ちいい。
「ん〜!よし!」
背伸びをして、一つ気合を入れる。
今日も、あべこべ世界での一日が始まる。
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…はい、どうも皆さんこんにちわ。
最近元気がなかった僕もやっと全てが解決してハッピーエンド…かと思いきや、まだ一つ問題があった。
今思えばつきちゃんは僕と同じ歳であり、更に付け加えれば僕の家からさほど遠くない距離に拠点を構えている…この点から僕は推測し、試しに香奈ちゃんに聞いてみるとーー
「お姉ちゃん、しぃ兄と同じ学校だよ?まぁ入学初日からずっと休んでるけどね〜なははー!」
いや香奈ちゃんそれ笑い事じゃないよ?由々しき事態だよ?このままじゃ君のお姉ちゃんヒキニートと言う汚名を背負うことになってしまうよ?
とまぁそんな感じで、実は同じ高校に通ってはいないが所属していたつきちゃん、ならばここは友達として、同じ高校の同級生として、彼女の将来の為にも、僕が助力してやらねば!
さぁまずは僕との関係より私生活からやり直そうか!
「さぁつきちゃ〜んこの部屋の鍵をあけておくれ〜?」
そして実はもう既につきちゃんの部屋の前に居たりする。
「い、嫌なのかな!いくら時雨くんでもそのお願いは聞けないのかな!!」
「大丈夫悪い様にはしないよ?ただ学校に行こうって誘ってるだけ」
「扉越しでもわかる程曇りのない笑みを浮かべている!けどボクは屈しないのかな!学校なんていう青春の場という名の牢獄にボクは踏み入れたくないのかな!!それにヒキニートとしてのプライドが絶対にボクを学校へは行かせない!」
おぉ…ここまで固い意志が、予想外につきちゃんにもヒキニートとしてのプライドがあったようだ。
そんなプライド今すぐにでも捨てて欲しいところなんだがーー
「て言うかつきちゃん、そんなに学校行くのが嫌なのに何で高校受験したのさ?」
「時雨くんが居るから」
うっわわかりやす!その行動力をもっと他に生かして欲しいんだけど…て言うか、僕が受けたあの高校かなり隠蔽工作に力を入れてたはずなんだけど…椿さんの情報網が知りたい。
はぁ…このまま押し問答してたら僕が遅刻してしまうな、仕方ない今日は諦めよう。
「じゃあつきちゃん、明日の朝も来るからね?明日こそは学校に連れて行くよ?」
「うぅ〜初めて時雨くんの事が嫌いになりそうかな!!」
「嫌いにさせてでも連れて行く」
「意志が固すぎるのかな!」
「はは、それじゃ」
僕がそこままつきちゃんの部屋の前を去ろうとした時、扉が少しだけ開いて、つきちゃんなヒョコりと顔を出した。
「行ってらっしゃい…なのかな」
照れながらそう言うつきちゃんに思わず可愛いと思ってしまう…僕達の関係は、確かに少しづつ、積み上げている。
「行ってきます!」
不思議と僕の足は軽くなった。
こんなに穏やかな気持ちで学校に行くのは久々かも知れない、いつもの電車の待ち時間すらも違う気がする!今なら一般車両の方に乗れる気すらもーー
「「「「「っ!!!?」」」」」
しないです。
ごめんなさい、並ぼうとなんかしてません、だからお願いだからそんなギラついた目で見ないでください。
もはや視線で犯されるかと思う程の眼光…残念だが僕は一対一が御所望ですから…初体験が集団とか絶対に嫌だぞ。
そんなこんなで、いつもと同じ男性専用車両に乗り、学校へと向かったのだった。
読んでくださりありがとうございます!
まだ終わりませんから!!続きますから!w




