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あべこべ転生!?~あべこべ世界での僕は新しい出会いに飢えている~  作者: あだち りる
第三章「未来ある小説家に出会いを求めて」
29/43

26「やっと会えたのかな♡」

流石に足も痺れてきた所で膝枕は終了。

およそ三十分くらいだろうか、僕が晴に膝枕をしてそれくらいがたっていた。

晴が頭を上げると、こちらを向いて、少し赤くなった目を擦って、微笑んだ。


「ありがとう」


「…ありがとう、晴」


それに釣られるかの様に、僕は微笑んでお礼を言った。

この感謝の言葉は、今の関係を続けさせてくれた事、許してくれた事、そしてこれからまた思い出が増えて行く喜び、それらが含んでいたのだった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

「「「「いただいます!」」」」


元気よく皆が言うと、オカズへと箸が伸び始めた。


夕食の時間は家族全員揃って食べられるので、個人的にはとても喜ばしい時間となっている。


何故、と問われれば、それはーー


「おいしい~♪」

「やはり時雨の料理は最高だな!」

「頬がとろけちゃうよ~♪」


こうやって、三人一緒に喜ぶ顔を見れるからだ。

だから僕はこの夕食の時間が、好きで仕方がなかった。


ちなみに、今日のメニューとしては、から揚げがメインとして飾られている。

今回もかなり上手く出来たと思っている。

皆の反応を見る限りだとその認識はやはり間違いではないと、改めて思った。


定食風に添えられたご飯たちを食べていると、突然と、母さんが僕に言う。


「ねぇしぃちゃん、明日は何か予定とかある?」


「え、ないけど、どうして?」


「明日は土曜でお仕事はお休みだし、デパートに行かない?そこでしぃちゃんのスマートフォンを買いましょ!しぃちゃんはいらないって言ってたけど、あった方が便利だし」


「行く!」


即答した


「本当!?じゃあ決まりね!」


母さんはその喜びを表現する様に、パクっと、から揚げを食べて幸せそうに頬をおさえた。


それにしても…やっとだ。

とうとう僕の元へスマホがやってくる。

この時をどれだけ待ち望んでいた事か、この御時世スマホを持ってない高校男児なんて仲間外れにされていじめられる案件だぞ。


僕が高校生の頃は大変だったよ…スマホを持っていないがばっかりに、皆から遊びに誘われるのを忘れられ、何の会話をしているのかよくわからなくて、それが昨日グループ会話で話した内容だったりと…。


とにかく、人付きあいと言う面では、スマートフォンは必需品なのである。


これでやっと僕も現代っ子の仲間入り…明日が楽しみだ。


ちなみに、晴と曇李姉さんは、友達と用事があるとかで来れないらしい、物凄い悔しがり様だった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄


side???



待っててね…時雨君…今会いに行くのかな♡



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

side灰原 時雨


土曜日。


軽快なエンジン音を鳴らし、車でデパートへ向かう。


目的のデパートに到着すると、そこそこでかく立派だった。

車から降り、少し歩くと、それだけでもうーー


「見ろよあの子!超絶美少年だよ!」

「またそんな嘘を………孕みたい」

「お前らは情けないなぁ…ま、私は二次元にしか興味ないかr………私の夫見つけたわ」


なんて言う会話が聞こえてくる。

なんだろ、もう段々と適応してきている自分がいる。


そんなこんなで、周りの視線に慣れていた僕だったが、デパートの中へと入ればそれはまた倍以上に増えて行くためーー


「「「「「「「!?」」」」」」」


こうなる…うん、これは無理☆


僕はそそくさと母さんの後ろに隠れ、なんだかんだやっている内に、スマホを獲得した。


「ありがとう、母さん」


「いいのよ、入学祝いだと思ってくれれば」


私少しトイレに行ってくるわ、すぐに戻ってくるから!、と言うと母さんはトイレへと駆け足になって行った。


そんなに急がなくても大丈夫なのに…つい、そんな母さんを見て微笑ましくなる。


さて、僕はここのソファにでも座って待つかな、と。

デパートにありがちの、少し固いソファにお尻を預けると、目の前に見覚えのある人が通った。


綺麗に整えられた黒いショートの髪の毛を揺らし、そこに付け加えられるは花の髪飾り、それは僕にとって彼女を象徴している物だった。


彼女の名前はーー


「笛口さん?」


「…は、灰原くん!?」


笛口花梨さんだった。


「どうしてこんな所に…」


「え!?えっとえっと…わ、私はその、本を買いに…は、灰原くんは!?」


笛口さんは持っていた袋を隠し、何故か慌てながら言葉を並べる。

僕は気にせずに、そのままここに来た目的を話す。


「僕はスマホを買いに来たんだ」


「そ、そうなんだ!どんなのにしたの?」


「何か最近話題になってる奴で、これ」


僕はポケットから出して見せる。

結構デカイスマホなので、落とさないように慎重に出す。


さて、笛口さん…こいつを見てどう思う?


「す、すごく大きいね!」


期待通りの返答ありがとうございます。


「それで、笛口さんはどんな本を買ったの?」


「え!?えっとその…」


「ん?」


「あ、あー!私用事を思い出したから帰らなきゃ!」


「ちょ!そんなに走ったらあぶなーー」


「へぶっ!」


「あ、あちゃ~…」


笛口さんは、見事に足を滑らせ、転んだ。

すると、持っていた袋が手元から離れ、数冊の本が出てくる。


近寄り、その本を拾うとーー


「『僕の息子をいじめないで』『お前の肉棒は俺の物』…」


ふと、僕は笛口さんを見る。

すると、両手で顔を隠していた。


うん…えと、そのごめん。

そりゃ隠したくもなるよね。


言っておくと、僕は勿論ノンケだか、でもBLに対して偏見はまったくない。


過去に、BL本を大学の女友達に読まされた事がある。

そりゃ男同士でのディープなキスを繰り広げられたりはしたが、物語事態はとても感動出来た。


あれは読んでいて、とても有益な時間と言えた。

だから別に、偏見とか一切ないのだが…笛口さんにとってはそこが問題じゃないのだろう。


男と言う人物に、BL趣味を知られた、と言う点だ。

つまり、これは男が女の子に百合好きなのを知られたのと一緒…さて、どうフォローしたものか。


「えっとね、笛口さん、僕は別にこういった趣味を否定するつもりもないし、ましてや引いたりもしない」


「え…?」


「だからさ、落ち込まないでよ、笛口さんは、笑ってる時の顔の方が最高に可愛いんだから」


「っ!あ、ありがとう…灰原くん」


笛口さんは安心したかの様に、頬を赤くして、笑った。


うん、やっぱり笛口さんはこう言う顔の方が良く似合ってる。


あ、そうだ!


「ねぇ笛口さん、良かったら電話番号交換しない?」


「いいの!?」


「勿論、今後もこうやって会いたいし」


「あ、会いたいって…」


「ん?何か変な事言った?」


「い、いえ!」


そして、僕は笛口さんの電話番号をゲットした。


ふふふ…スマホに追加された初めての電話番号がこんな美少女と言うこの背徳感…これぞ勝ち組。


その後、僕は笛口さんと別れ、再びソファにお尻を戻す。


「ふぅ…それにしても母さん遅いなぁ…」


そう言葉を溢したその時だったーー


ービリリ!


「っ!!」


「ふふ」


突然と、体に電流が走る。

体に残るその痛みは、僕を気絶させるには充分の物だった。


「だ…れ…?」


「時雨くん、やっと会えたのかな♡」


最後に聞こえたのは、甘くとろけそうなそんな声だった。

読んでくださりありがとうございます!

やっと!やっと登場した!!長かったぁ!

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