23「プレゼント」
何故かあの後、僕意外にも母さんや姉さん、晴までもが号泣しはじめてしまい、収集をつけるのが大変だった。
霰さんと氷菓さんが居なければ、僕達はずっと泣きっぱなしだったろうな…なんと言うか、本当に、お二人には感謝しかないです、はい。
そして、入学祝いのパーティーがやっと始まったのである。
先程まで泣いてたのが嘘の様に、皆が皆、笑顔だった。
こうやって、大勢でご飯を食べるのはいつぶりだろうか、もう覚えていない…けど、もう思い出さなくたっていい。
この一時を、ただ今は楽しみたい。
皆の笑顔が、ただただ輝いて見えるこの一時を。
ー楽しいー
何度そう思ったろうかーー
ー幸せだー
何度そう感じたろうかーー
ーありがとうー
何度、そう言っただろうか。
わからない、わからないけど、これだけは言える。
今日この日は、僕にとっての最高の思い出になる。
あぁ…ずっと、この時間が続けばいいのに、この幸福に満ちた時間を、止めてくれればいいのに。
そんな事をつい思ってしまう僕だった。
けれど、その望みは叶わず、終わりを告げられてしまった。
かけがえのない時間だった。
これ程時間を巻き戻して欲しいと思った事はない、あの幸せな時間をもう一度と。
でも、これでいいんだ。
この先、きっと、いや絶対に、楽しい日々が待ってるから、だから今は別れを告げよう、この時間と、この一時と。
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「それじゃあね!お姉ちゃん!」
「ばいばい」
パーティーが終わると、霰さんと氷菓さんが帰ることになった。
流石にそろそろ帰らないと、終電がなくなってしまうとか、何と言うか、この二人には今日迷惑かけられたりかけたりだったなぁ…今度はゆっくり話したい。
そんな事を思っていると、二人は僕の方に顔を向け、指差し、こう言った。
「今度来るときはお姉さんがしぃくんのハートを射止めに来るぜ?」
「ん、私も今度来るときはしぃの心を盗みに来る」
そんな言葉を残し、母さん達が激怒した所で逃げるように二人は去っていった。
結局なにしに来たかはわからず仕舞いだったけど、また一つ、新しい出会いが増えたな…今後とも、二人とはいい関係を築けそうな気がする。
そして、僕は部屋へと戻り、ベッドに倒れた。
「はぁ…なんか、今日だけで、色々ありすぎたな」
今日あった事を振り返ってみる。
まず、朝からいきなり痴漢されたな…もう二度と普通車両は乗らないと誓った瞬間だよ。
そして、九重さんとの出会い…最初は真面目な子かと思いきや官能小説を堂々と教室で読んでいると言う…見た目に騙されちゃいけないね。
そこからは、色々あって友達になれたなぁ…意外にちゃんと友達と言える人が出来たのは九重さんが初めてなんだよなぁ…。
で、色々と丸く収まって帰ってみると、驚きの全裸美少女二人と言う…もう何処からツッコんだ物かね…あの二人は色々キャラが濃すぎたよ…。
「あ、そうだ、霰さんと氷菓さんから貰った入学祝いのプレゼント開けてみよう」
そう、実は言うと、今日の為にと霰さんと氷菓さんが用意してくれていたらしい。
あ!今日来たのってこれか。
今更やっと理解した僕は、うきうきとしながらそのプレゼントを開けた。
「……パンツ?」
霰さんのプレゼントを開けると、そこには水玉模様のボクサーパンツが入っていた。
訳のわからないまま、氷菓さんの方も開けてみる。
パンツだ、今度はトランクス、そして謎に猫の肉球柄…誰がバリエーションを増やせと言った。
…てかさ、この世界はあべこべ世界な訳で、つまりはこれは付き合ってもいない男性が女性に下着をプレゼントしてる訳でして…おい、これ僕じゃなかったら訴えられる案件じゃないのか!?
そんな事を思っていると、そのプレゼントの中にはメッセージカードも入っていた。
しかもシンクロしてるのか二人ともだ。
気になってメッセージカードを捲り、読むーー
『やぁしぃくん!高校入学おめでとう!
入学祝いに君にはボクサーパンツを贈呈するよ!王道の水玉模様だー!
p.s.しぃくんの既存のパンツを一枚頂きました~』
『しぃ、高校入学おめでとう。
一目見て、これだ、と思って買った肉球柄のパンツをあげる、これは可愛い、しぃがこれを履けば可愛さ100倍。
p.s.しぃのパンツを一枚貰う、肉球パンツと交換~』
「…訴えようかな」
この後、母さんにこの事を言ってみた。
すると、何故か母さんは血のついた二枚の僕のパンツを手にして帰ってきた。
何をしたのかは、聞くまい。
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side???
なんでかな?どうしてかな?
時雨君はどうしてボクを迎えに来てくれないのかな?ボクはこんなにも君を愛しているのに。
時雨君、なんでそんな女と話すのかな?
ボクだけの時雨君なのにどうして話してるのかな?なんでボク所には来ずにそんなゴミと話してるのかな?なんでかな?
時雨君…こんなにも好きなのに…愛してるのに…どうして…?どうしてなのかな…?
時雨君…時雨君…時雨君時雨君…時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君時雨君
「時雨君!!!!」
…そうだ、来てくれないのなら、迎えに行けばいいのかな♡
読んでくださりありがとうございます!
ここで、第二章「あべこべ高校に出会いを求めて」が終了になります!なんだろ…この内容がタイトルと噛み合ってない感は…九重さんとしか高校では出会ってないし…まぁそんな細かいことは置いときましょう!
えー次回は、番外編です!
二本、書こうと思っています!
一つはパーティーで行われた。
番外編「王様ゲーム」
なんかパーティーはほっこりした感じで終わってしまったので、少しコメディーを挟みたいなーと。
次に、感想欄でも頂いたその後の高坂くんの彼女のお話です。
こちらも今から書くのがとても楽しみです!
それではまた次回もよろしくお願いします!




