21「不審者二名」
お久しぶりです、作者です。
また期間が空いてしまって申し訳ないです…忘れた方も覚えてる方も新しく読んでくださる方も楽しめて頂けたら幸いです。
side???
「とうとう来たね!氷菓姉」
「そうだね、霰」
灰原家の前に、二人の女が居た。
ニヤリと笑い、二人の女は灰原家へと足を踏み入れたのだった。
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side灰原時雨
九重さんに、明日からよろしくね、と挨拶をして、僕は校舎裏を後にし、母さんを探す。
入学式で見掛けたから近くにいるはずなんだけど、てか、あのお高そうなカメラは何処から用意したんだろう…めちゃくちゃ恥ずかしかった…。
この人生の中で初めて、授業参観に来てはしゃぐ親の恥ずかしさを理解した僕は辺りを見渡す。
すると、校門付近で大きく手を振っている人が、と言うか母さんだった。
僕は母さんの方へ走って行く。
「お疲れ様、しぃちゃん」
「母さんも、来てくれてありがと」
「当然じゃない!私はしぃちゃんの家族なんだから!」
「はは、母さんらしいや」
胸を叩いて言う母さんに、僕は笑って返した。
そっか…当たり前なんだよね。
これが、これが普通で、これが親なんだ。
まだ出会って日は浅いけれど、何度も、幾度と、母さんや姉さん、それに晴にも言われた事ーー
ー家族なんだから!ー
この一言、この一言は僕にとっての魔法の言葉だ。
体が、胸が、心が温かくなる、これが幸せだと、幸福なのだと、何度も実感できる。
昔の僕にはなくて、今の僕にはある、当たり前で、ごくあり触れた普通の幸せ。
そんな幸せが今身近にあると思うと、僕の頬をどうしても緩んでしまう。
こんな幸せが、当たり前の様に続く幸せが、今の僕には勿体無く感じてしまう。
「それじゃ、帰りましょうか」
「うん」
何故だか、母さんは優しく笑った。
まるで僕の心の中を覗いたかの様に、だからだったのだろうか、不思議と僕の心はまた温かくなった。
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家に到着。
帰りは車だったので、電車での悲劇がまた起こる事はなかった。
「それじゃあしいちゃん、先に家に入ってて、私は車に置いてある荷物運んじゃうから」
「手伝おうか?」
「いいわよ、対した量じゃないから」
それじゃお言葉に甘えて、僕は家の扉を開ける。
「ただいまー!って、誰も居ないんだけどね…」
誰も居ない無人の館にハイテンションで挨拶するのは、独り暮らしをしていた頃の自分を思い出して嫌になるなぁ…。
そんな事を思ったその時だった。
「「おかえり!」」
「…ん!?」
聞こえるはずのないその声に、僕は驚愕した。
いや、驚愕した理由はこれだけじゃない、二人いるのだ、そして更にその声に僕はーー
ー聞き覚えがないー
僕は顔を上げるのが怖くなった。
聞き覚えのない、不審者二名の顔を確認するのが。
(ちょ、なにこのホラー展開!?)
いや、待てよ…?もしかしたら、おかえり、と言う言葉が重なってしまったがばかりに聞き覚えのない声だと脳が認識してしまったのかも知れない。
むしろそう言うことでは!?
よし、この賭けに僕は自分の貞操をベッドする!!
そして、顔を上げた。
そこに居たのはーー
「…oh」
知らない、裸の美少女二人だった。
あはは…きっと僕は今夢を見てるんだろうなぁ。
だって考えてもみてもよ?こんなラノベの様な展開あるわけないじゃないか。
そんな現実味のない世界…世界…いや正にこの世界か、現実味ないわ、現実なんだけど。
あ、そう言えば冷蔵庫にとっておいたプリンがあったなぁ…早く食べよ~。
そんな訳のわからない現実逃避をしていると、美少女二人の背の小さい方がこちらに近寄った。
「やぁしぃくん!おひさー!」
…こ…怖いいいいいいいいいいいいいいいい!!!ちょ、怖い、怖すぎる、美少女に名前を覚えられててこんなにも嬉しくない時ってあるんだ!!てか何で僕の名前知ってるの!?もう嫌だ!助けてママん!
い、いや、落ち着け…落ち着くんだ、灰原時雨、お前はやれば出来る子だ。
考えろ、この状況の打開策を!
…よし。
僕は、玄関の近くにある、電話をとる。
「「?」」
そして、番号を打った。
「あ、もしもし警察ですか?」
「ちょ!しぃくん!?」
「し、しぃ!」
その時だった、家の扉が開いたのは。
「はぁ…やっぱり手伝っ貰えば良かったかなぁ」
「母さん!!」
「「お姉ちゃん!!」」
「お姉ちゃん!?」
僕がその台詞に驚き、母さんの方に目をやると、母さんは呆れた目を向けてくる。
「…三人でなにやってるの?」
この時、母さんの目にはこう写ったという。
妹達が私の息子を犯そうとしていた様に見えた、と。
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では、先程の二人の正体、そして自己紹介をしようと思う。
この人達は、簡単に言うと母さんの妹だそうだ。
背の小さい方が、三女の、灰原 霰さんだ。
長い黒髪を後ろに縛っていて、とても可愛らしい容姿をしている方だ。
正に合法ロリを絵に書いた様な感じがする…か、可愛い、頭を撫でまくりたい。
そしてお次に、次女の、灰原 氷菓さん。
長く黒い髪の毛を三つ編みしていて、眼鏡をしている。
大人しそうな人だ。
先程、氷菓さんのありのままの姿を見たが…この人めちゃくちゃ美人だったなぁ…スタイルも凄く良かった。
一見、地味めな服装と少し長い前髪に眼鏡があるせいで、わからないかもだが、この人の容姿はずば抜けていると思う。
とまぁこんな感じで二人の説明を終わりたいと思う。
でだ。
この状況ーー
「やっぱり男の子は怖いね氷菓姉」
僕から距離を置き、霰さんの言葉にコクコクと頷く氷菓さん。
いや、あの状況どう考えても僕悪くないよね?
こちらとしては良いもの見させて貰ったけどさ。
とりあえず自分の部屋に戻らせて貰おう。
事情は先程母さんから聞いたし、もういいよね?
事情、と言うのは今日この二人が家に来る、と言う話は聞いていたのだが、来るのは夜と聞かされていたらしい。
なのでこの突然の訪問も予想外な物だった訳だ。
まったく、無駄に驚かされたな。
ーーパタン。
そして僕は自分の部屋の扉を閉めた。
制服をハンガーにかけ、部屋着に着替えた僕はベッドにボフッと倒れた。
心地のいい感触が僕の瞼を重くさせる。
あ…これ、ヤバイ…。
そして、僕は眠りについた。
僕は忘れていた。
部屋の鍵をかけ忘れた事を。
そして、それがどんな意味を持つのかも。
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「ん…?」
目を開けると、いつの間にか部屋が暗くなっている。
そうか、疲れていつの間にか寝てたんだ。
でもこれ昼寝ってレベルじゃなく本格的に眠っちゃったんだな。
流石に府抜けすぎたかな。
ちゃんと夜眠れるといいんだけど。
「……」
僕は何かの違和感に気付く。
両隣から気のせいか温もりを感じる…いや、いやいやいや、そんな、ねぇ?自分の姉の子供の部屋に無断で入ってベッドに潜り込むなんてそんなーー
「あ、起きた」
「あ、ほんとだ、おはよしぃくん」
なんで居んの?
なんか毎回間を置いて新キャラを登場させてますが、別にキャラの構成を練っているとかではないんです、ただ書く暇がないだけなんです。
本当にすみません、この二人も事前に登場させようと思ってたキャラです。
ここからキャラクターが増えて行くと思います。
この小説の主な題材は「出会い」になっておりますので!
長々とすみません、それでは失礼します!




