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あべこべ転生!?~あべこべ世界での僕は新しい出会いに飢えている~  作者: あだち りる
第二章「あべこべ高校に出会いを求めて」
19/43

18「草食系女子?」

side 灰原時雨


「…終わった」


勘違いしないで欲しいのだが、別に僕の人生が終わった、とかではなく、この終わった、とは入学式の終わりを差しているだけだ。


ならば何故、こんなにも僕が疲れているのか、それを簡単に説明すれば、視線の数、だ。


まぁ視線が集まる理由としては、男、と言う点が一番な訳だが、実はもうひとつあるのだ。


それは、この高校への入学にあたっての事だ。

普通ならば、僕がここの高校に入学するとならば、相当な受験者の山となる所、去年とほぼ変わらない人数に抑えたその理由とは、学校側のバックアップのお陰だ。


受験者の量が増えるのはいいこと、と思うかも知れないが、僕ら男がもたらす効果はあまりにも絶大すぎる故に、隠蔽工作に取り組む。


けれど、中には男を利用して、受験者を増やす所も勿論ある。

まぁその後は痛い目を見るのが落ちなんだけどね…と、ここの高校の校長先生が言っていた。


そして、どうやら学校側が全力で隠蔽工作に取り組み、僕がこの高校に入学すると言う情報を漏らさずにやってきた結果、見事にそれは成功に終わったのだ。


まぁここまでは良かった。

学校側にはなんの被害もなく、男子生徒を迎えられたのだから。


けれど、僕の精神的な面は今現在ズタボロである…。

新入生誰一人として入学式に目を向けてなかったよね?僕しか見てなかったよね?


…これ、視線恐怖症になる日も近いんじゃないか僕。

別に、これと言って視線が苦手な訳ではない。

けど、流石にこれだけの数の人に見られれば胃が痛くなるのもまた事実。


「はぁ…早く慣れたい」


溜め息混じりにそんな目標を掲げた。

さて、ではクラスの方に向かうか。

先程、クラス発表の掲示板を見に行ったので、問題なく向かえる。


学校の中を見ると、なかなかに綺麗な学校だなぁ…と、改めて思った。

前回、この場合の前回は時雨くんの訳だが、その時の記憶通りの内装になっている。


あ、あそこの中庭とかでご飯食べたら美味しいだろうなぁ…とか、そんなくだらない事を思いながら、クラスへと向かった。


「ここか」


僕は一年一組の教室に到着した。

扉の前で立ち止まり、深呼吸、ゆっくりと行きを整えて、自分にこう言い聞かす。


僕は高校生だ。

灰原時雨、一年一組の灰原時雨だ。


そして、扉をゆっくりと横にずらした。




「「「「「「きたああああああああああ!!!」」」」」」




突然と、女子一同が立ち上り雄叫びを上げた。


…緊張が一瞬で解れました。


そして、女子一同なにもなかっかの様に、ストン、と椅子に座る。

こちらにとてつもない満面の笑みを向けてきた。


いやもう君らの印象が変わる気がしないよ…。


そんな事を思っていると、一人だけ、僕に視線を向けていない女の子が居た。

皆が僕に視線を向けるなか、一人だけ向けていないと言うのは逆に目立つ。


また、そんな事が初めてだった為、どうしても気になってしまうのだ。

僕はつい、彼女を凝視してしまう。


見た目は、黒髪に三つ編み、黒渕丸眼鏡、絵に描いた様な、地味めの女の子だった。


そっか、この世界にもこう言う普通の女の子が居るのか、言うならば『草食系女子』と言う奴かもしれない。


何か安心した。

あの子となら仲良く出来そうだ。

そんな心踊る出来事に、僕は少しの安堵と共に席を確認した。


席を確認すると、なんと、その『草食系女子』ちゃんの隣だった。

なんと言う幸運だろうか、これはきっと神様が僕にチャンスをくれたに違いない。


そんな事を思いながら、僕は自分の席へと向かう。

席に着席しても、『草食系女子』ちゃんはこちらに視線を向けようとはしない。


どうやら本に夢中の様だ。

ふむ、文学少女と言う奴だろうか、かなり絵になっている。


僕はつい、周りの視線を忘れ、彼女をじーっと見詰めてしまう。

理由としては、彼女もそうだが、読んでる本の内容が気になるからだ。


彼女がこちらに意識が向いてないのを良いことに、本を覗く。

そして、ある一文だけ読んでみるとーー


『シグハの熱い肉棒を、アルシェはゆっくりと自分の中へと溶け込ませて行く。シグハは包まれる自分のそれの暖かさから「あっ」と、小さく喘いだ。その姿を見たアルシェもまた、喘いでしまう。お互いがその暖かさを、幸福を噛み締めてーー』


…………関わらないでおこう。

僕は強く決心したのだった。

…一ヶ月ぶりの投稿がこれってどうなんだ?

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