16「入学式前の災難」
友達に、背景描写入れろやカス、と言われました。
てことで、まぁ頑張って、心掛けて行きたいのですが…(上手く書ける気がしない)
「ん…?」
僕は、ピピピ、と騒々しくなっている目覚まし時計のアラームを止める。
アラームよりか先に目を覚ました僕は少しの苦笑いを浮かべた。
僕は何故だか決めた時間に大体起きれてしまうが、希に三十分は過ぎてしまう時もある。
だから、念には念を、と言う奴だ。
今日は大切な日だから、ちゃんと起きれる様にしたかったのだ。
「さて、顔洗いに行こ」
起き上がり、少しまだ薄く閉じている目で、視線を動かしながら、顔を洗いに下まで降りて行く。
洗面所につき、強さを調整して蛇口を上げると、丁度いいくらいの水がビューっと出てきた。
それを両手で囲むように、水を溜めて行く。
それを、バシャッ、と言う音をたて、顔にかけた。
後に、ピチャピチャと顔を洗った後に垂れる水滴が音を鳴らす。
近くにある、自分用のタオルで顔を吹く。
スッキリと、顔の水がとれた。
この瞬間はいつも清々しい気持ちになれる。
この後の朝食作りにも精が出ると言うものだ。
「よし、朝御飯を作るか」
キッチンの方へと行くと、僕は、エプロンをつけ、昨晩炊いておいた炊飯器の蓋を、パカリと開けた。
すると、白い湯気が広がる。
それを眺めた後、ご飯をかき混ぜ、丁度いいくらいに炊けたと満足する。
そして冷蔵庫を開け、買っておいた食材を並べて行く。
食材は…説明が面倒くさいので、省略させて貰おう。
作るのは『ハムとチンゲン菜の炒め物』だ。
朝には持って来いの品だと、個人的には自負しているくらいだ。
作り方は簡単だ。
チンゲン菜を軸と葉に分けて、軸を短冊切り、葉は一口大に切る。
次にハムも一口大に切る。
そして中華鍋を熱して、サラダ油をなじませた後、ネギとしょうがを炒め、香りが出たら、先程切っておいたチンゲン菜の、軸と葉、ハムの順に炒めて、調味料を加えていけば完成である。
味は申し分無いはずだ。
後は、軽く自分好みの味の味噌汁を作る。
ではここで一つ味見をさせてもらいましょうかね。
僕は置いておいた味見用の小皿に、味噌汁を入れ、それを飲む。
「よし、いい感じ」
後は、ご飯をお茶碗によそえばオッケー。
テーブルに先程作った、ハムとチンゲン菜の炒め物と味噌汁、ご飯、それと、作り置きしておいた漬け物を置いて、朝御飯作り終了。
「こんなもんかな」
口ではこんな素っ気ない事を言っているもの、その顔は満足と語っているのがわかってしまうだろう。
実際、結構満足しているし、三人の反応が楽しみだ。
三人とは、僕の家族の事である。
一人は僕の母さんの、灰原雪枝さんだ。
とても優しい人で、またたまに天然な所がある、そんな可愛らしい人である。
いつも見せてくれているあの笑顔は、僕に元気をくれる。
次に、僕の姉さんである、灰原曇李さんだ。
いつもはクールビューティーと言う雰囲気を醸し出しているものの、その実かなり甘い、甘々である、特に僕に、いつも励まされている、後たまにおっちょこちょいだ。
次に、灰原晴、僕の妹だ。
いつも元気で、活発な子だ。
甘え上手で、いくら可愛がっても足りない程に、可愛い子である。
ずっと眺められていられる、眩しい子だ。
僕の大切な妹だ…シスコンじゃないよ?
とまぁ、この三人が、今の僕の家族だ。
そしてその後は、三人を起こすのに時間を使い、疲れた僕だったが、三人がとても美味しそうに食べるのを見て、その疲れは一気に吹っ飛んだのだった。
「「「ごちそうさまでした!」」」
三人とも、笑顔で食事を済ませた。
僕も僕で、今日の朝食は満足であった。
「お粗末さまでした、母さんは確か今日は仕事休みなんだよね?」
「当たり前でしょ!だって今日は、しいちゃんの入学式なんだから!」
そう、今日は僕の高校の入学式だ。
つまり、今日から僕は高校生になると言う訳だ。
ちなみに、姉さんと晴はと言うとーー
「私も時雨の入学式に行ければ良かったのだが…大事な講義がな」
「私も行けたら良かったんだけど、テストが近くてさぁ…」
との事らしい。
いや学業優先でいいんですよ?むしろ母さんの方が過保護すぎと言いますか…まぁこの世界があべこべなせいだとは思うけど。
けど、僕は今からの事を考えると、胃が痛くなりそうだよ…未だに、こう言う緊張感には慣れてないな、僕。
だって仕方ないじゃないか、中身は三十路道程なのだから…こう言った事にはいまだに体制がないのだ。
けど、乗り越えなければいけない、この壁を壊して、僕はまた新しい青春を送るのだ。
その思いを胸に、僕は新しい制服に体を委ね、着なれない服に違和感を感じながら玄関の扉を開けた。
「行ってきます」
そう言って外に出た。
まだ光がそこまで強くない大陽、すんだ空気、肌に伝わる冷たい感触。
朝の雰囲気は好きだ。
一日のこれからの始り、スタートラインとでも言うのだろうか、そこに立てた気分になれる。
なんと言うか、そう思うと気合いが入るのだ。
よし、今日も一日頑張るぞい。
あ、ちなみに母さんは後から来る。
生徒と保護者の登校時間は違うらしい。
けど、母さんは僕と一緒に来たがっていた、まぁ流石に一時間も暇をさせるのは悪いと思い、一緒に来るのはやめておいたけどね。
さて、駅に近付いてきた。
ここら辺になってくると、視線の数が凄い。
改めて周りを見ると、本当に女性しか居ないのだと実感させられる。
そして、母さんが買っておいてくれていた、定期で改札を通る。
ぬおぉ…め、目線が…目線がぁ…。
あまりに向けられる視線の数々に慣れないまま、ホームへと駆け足になった。
ホームに、つきホッと一息…でもなく、普通に人はいるので女性方の視線は痛い。
もしかしてアイドルってこう言う気分なのかな…よく、視線恐怖症にならないな。
まぁその内慣れるよね…いや慣れなきゃ困る。
さって、どこら辺に乗ろうかな。
まだ乗り慣れない電車なので、目的の駅の改札が、何処から近いかがまったくわからないのだ。
まぁ適当でいいか。
と、僕な黄色い線から内側を歩いていると、地面に見慣れない事が書いてあった。
そこに書いてあったのはーー
『男性専用車両』
…あーね。
それを見て一瞬で納得した。
確かに、この世界の男性にとっては必要な物だと思う。
周りをよく見ると、ほんの数人だが、男性専用車両の印の所に立ち、電車を待っていた。
けれど、僕にとっては不要だ。
何故って?そんなの決まってるじゃないか。
わざわざ、男しかいない車両に飛び込む男がいるかい?この世界の男性を除いてだけど。
まぁつまり…男なら女の子に囲まれたいでしょう!!
僕は迷わずに、普通の車両が止まる列に並んだ。
その瞬間だった、女性達は、こちらに物凄い視線を向け、凝視した。
僕はその視線に耐え、電車が来るのを待つ。
そして、時は来たーー
僕は来た電車に乗車する。
案の定、と言うべきなのだろう。
やはり、普通車両には女性しか居なかった。
僕はなんとも変な気分で電車に揺られた。
けれど、僕の認識は甘かった。
いくらあべこべ世界とは言え、そこまで節操なく性欲を爆発させる輩などいないと。
僕のこの判断は、すぐに間違っていたと悟った。
「んっ!」
そんな声が漏れる。
声を出したのは、紛れもなく僕だ。
その理由、それは、いきなり尻を鷲掴みにされたからである。
え、ちょっとー!?いきなり!?
てか手つき!なにこれ!めちゃくちゃ声だしそうになるんだけど!
「はぁ…ん…」
てか待って…こう言う声って本当に漏れるんですね…正直わざとやってるのかと、童貞なもんでわかりませんでしよ。
すると、何故か周りの女性は赤面していた。
この瞬間だった、次々と僕の体の方へと手が伸びて来た、それはもう様々な所を触られた。
その度に、声を抑えようとするもーー
「あっ…くっ…んっ!」
ちがーーう!!出したくて出してる訳じゃないのに!つい出てしまう…恥ずかしい、人生の中で恐らく一番の辱しめを受けている!
早く、早く着いてくれーーーー!!
そして、電車に揺られて十五分。
目的の駅にやっと到着し、僕は降りた。
「む、息子だけは…守れた」
この瞬間決意する、もう二度と、普通車両には乗らないと。
入学式前に、とんでもない災難だった…まぁ自業自得なんですが。
「はぁ…」
よし、気を取り直して、行くぞ。
初めて料理してる時雨君の姿を書いてみました。
書いてみてわかりましたが、難しい!料理物の小説を書いてる方の偉大さがわかりました。
あ、第二章始まりです。




