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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
最終章

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エピローグ②/フェニアとお喋り

 魔帝大戦から一月が経過。

 学園は長期休暇に入り、四十日間の休暇となった。

 生徒たちは里帰りをしたり、学園に残って休暇を満喫する。アルフェンたちは、イザヴェル領地でのんびり休暇を過ごすことにした。

 アルフェンが荷物をまとめていると、フェニアが手伝いに来てくれた。


「で、いいの? リグヴェータ家は」

「ほっとけ。俺だって男爵……ああそっか、昇格したから侯爵なんだ。自分の領地でのんびり過ごしたい」

「……茶会の手紙、来てるんだけどね」

「ほっとけ」


 アルフェンは、男爵から昇格。叙爵し、正式にイザヴェル侯爵となった。

 十六歳になり成人。リグヴェータ家から除名され、アルフェン・イザヴェル侯爵となった。まだ十六歳というのに侯爵……異例の出世である。

 世界を救った英雄として名が広がってしまい、取材やら茶会、王族や貴族から食事にも誘われるようになったが、そのほとんどを断った。

 アルフェンに少しでも関わろうと、イザヴェル領地には他国や周辺地域から多くの移住者が殺到……急速に都市が拡大しているらしい。

 リリーシャが手を回し、アルフェンは正式にリグヴェータ家から除名されたが、今でも両親は『英雄アルフェンは我らの息子』と吹聴しているそうだ。まぁ、両親から生まれた事実は変わらないので仕方ないのだが。


「ねぇ、リリーシャさんのお茶会くらい参加してあげたら? リグヴェータ家が公爵になって、アルフェンの縁談とか山のように持ってきたんでしょ? それ、全部リリーシャさんが処理してくれたみたいじゃない」

「…………」

「それに……あたしやサフィーと婚約できたのも、リリーシャさんが手を回してくれたから」

「…………むぅ」


 そうなのだ。

 サフィーと婚約できたのは、リリーシャが後押ししたからだ。

 アルフェンには相応しい婚約者がいると、サフィーの実家に働きかけた。サフィーの実家もアルフェンならと二つ返事で了承した。おかげで、縁談は全てキャンセル。

 側室にとフェニアを押したのもリリーシャだった。


「……まぁ、そのうちな」

「ふふ。リリーシャさん、忙しいから早めにね」

「はいはい……」


 リリーシャは、リグヴェータ公爵として国内で仕事をしている。

 功績により、リグヴェータ家の領地はさらに拡大。ダオーム、キリアスにも領地を与え、領主としたらしい。

 ダオームとキリアスは、領主としてリリーシャの傍で学んでいる。ダオームはともかく、キリアスはきっといい領主になるとアルフェンは思っていた。

 

「姉上やダオームはともかく、キリアス兄さんのところにはいきたいな」

「ふふ、アルフェン……姉上って自然に言ってるの、気付いてる?」

 

 フェニアはなぜか嬉しそうだった。

 

「……ま、姉上は立派だしな。尊敬はしないけど」


 リリーシャは、女性公爵として国内で人気だ。

 魔帝大戦の英雄。リリーシャを主人公とした物語や小説がブームになったり、『恋人』エンプーサが無理やりファッションモデルに起用したりしたおかげで、今や他国にまで名前が広まった。

 毎日数百人の婿入り希望が来るとか……あくまで噂だが。

 リリーシャ本人は結婚する気は今のところないらしい。

 アルフェンは、カバンを閉めながら言う。


「あのおとぼけ殿下、姉上と結婚できると思うか?」

「あー……う、うーん? あの殿下よりは、ウルブスさんのが……」

「……俺もそう思う」


 ウルブスは、『ピースメーカー部隊』の総隊長となった。

 リリーシャの後釜だが、その人望は厚く、部下も大勢いるらしい。

 他国から来た召喚士も、国に還らず部隊に残っているようだ。

 おかげで、毎日忙しいとか。


 アルフェンは、カバンを投げる。

 準備が整い、あとは出発するだけだ。


「とりあえず、まずは休暇を楽しもう。姉上の茶会はまた今度、帰ってきてからな」

「そうね。明日から長期休暇だし……それに、イザヴェル領地には」

「ああ。あいつがいる」


 アルフェンは、窓を開けて外の空気を入れる。

 明日から長期休暇。二十日ほど、イザヴェル領地に滞在する。

 胸いっぱいに空気を吸い、空を見上げた。


「ニュクス、ちゃんとしてるかな……」


 ニュクス・アースガルズ。

 アルフェンは、ニュクス・アースガルズを殺さなかった。

 ドレッドノートとの約束を果たすため、イザヴェル領地に匿っているのである。

 

「……今日はゆっくり寝て、早朝出発だからね」

「ああ」


 フェニアは、部屋を出ていった。

 まだ、複雑な心境なのだろう。


「……ふぅ」


 アルフェンは、もう一度だけ深呼吸した。

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