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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
第七章

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閑話 オズワルド・ピースフル・デイリー・ライフ

 これは、アルフェンたちがテュポーン・フロレンティアと戦う少し前。

 アースガルズ召喚学園教師、オズワルドが逮捕されてからのお話。

 オズワルドは、魔人討伐任務の最中、アルフヘイム王国の住人を見殺しにし、自身の利益のみを求めて数々の不正を行ったことで逮捕された。

 裁判はあっという間に終わり、オズワルドは国家反逆罪という罪状が認定され、五十年の強制労働の刑に処された。

 オズワルドは必死の弁明をしたが聞き入れてもらえず、囚人服を着せられ、他の犯罪者たちと一緒に鉱山に送られた……ちなみに、ここまでスピーディーに事が進んだのは、メルの手腕と『仮面舞踏会』の創設者ヒルクライムとユウグレナによるものだ。

 オズワルドは、完全に見捨てられた。

 だが、オズワルドは諦めていない。鉱山へ移送途中、必死に考えていた。


「おのれ……このままでは済まさんぞ」

「おい兄ちゃん。眉間にシワ寄せてどうしたんだよ?」

「……黙れ。俗物が」

「あぁ? ……なんだテメェ?」

「はっ……あ、いや、その」


 オズワルドは、馬車の隣に座っていた犯罪者を睨む。

 そして気付いた。今は召喚獣が出せない。改良された『召喚封じ』を首にはめられているので、下手なことはできないのだ。

 そして、オズワルドが喧嘩を売った相手もまずかった。筋骨隆々で顔には無数の傷があり、目は血走っている。まともではない。

 だが、馬車が止まったことでオズワルドは救われた。

 馬車のドアが開き、看守と思われる男性が言う。


「全員降りろ。お前たちの『家』に到着だ」


 馬車から降りると、そこは鉱山だった。

 大きな洞窟の入口には看守用の大きな小屋があり、鎧を着た兵士たちもいた。

 洞窟の中に入ると、大勢の囚人たちが発掘作業をしている。全員が首輪をつけ、従順に働いていた。

 看守は、オズワルドたちを整列させる。


「これより点呼を取る。名前を呼ばれたモノは荷物を受け取ってそれぞれの独房に行け!! ハワード・ロビンソン!!」

「…………」


 ハワードと呼ばれた男は、恰幅が良く青白い肌、立派な口ひげをしていた。

 オズワルドはすぐにわかった。ハワード・ロビンソンは貴族だと。

 看守から荷物を受けとり、ハワードは言う。


「くそ。貴族の私がこんなところで……貴様ら、覚えていろよ!! 私の無実が証明されたら、ここにいる全員、タダじゃ済まないからな!!」


 ハワードは悪態をつく。

 だが、看守たちはプルプル震えだし……耐え切れないとばかりに笑った。


「「「「ぎゃぁぁーっはっはっはは!!」」」」

「な、なにがおかしい!!」

「くくく、いやぁ……必ずいるんだよ。お前みたいな『元貴族』がさ。いいか? ここにいるのは貴族とか平民とか物乞いとか、そんな分類されるような人間じゃねぇ。『犯罪者』なんだよ。お前は、薄汚い、クソみたいな、『は・ん・ざ・い・しゃ』なんだよ。それと、教えてやる。お前みたいな『元貴族』は、この鉱山にごまんといるぜ? なぜかなぁ? 犯罪犯すのは貴族ばっかりなんだよ」


 看守たちはゲラゲラ笑い、ハワードは青ざめながら鉱山の独房へ。

 オズワルドも青くなる。


「次、オズワルド・ブラッシュ……ああ、落ちぶれ子爵家のオズワルドか」

「くっ……」


 看守は笑いをこらえていた。

 オズワルドは知らない。看守たちはここに運ばれてくる貴族の反応を見るのが楽しみの一つだと。そして、貴族の爵位をチェックし、どの貴族がキレたり傲慢な態度を取るのか賭けをしているなんてことも。

 オズワルドは青筋を浮かべ、歯を食いしばりながら荷物を受取り、自分の独房へ。


「はぁ、はぁ、はぁ……くっそぉぉぉぉぉ!! このオズワルドが、なぜこんな目に!!」


 荷物をボロボロのベッドに叩きつける。

 ちなみに、独房は個室ではない。十人部屋で、ベッドが十個並んだだけの空間だ。ベッドの上だけがオズワルドの部屋である。

 

「絶対にこんなところから抜け出してやる……!!」


 オズワルドは、もう一度固く決意した。


 ◇◇◇◇◇◇


 オズワルドの与えられた仕事は、採掘された鉱石を磨き分別する仕事だった。

 木箱いっぱいの鉱石を一つ掴み、桶の水に入れ、手拭いで磨いて箱の中へ。単純作業だが同じことの繰り返しが何時間も続くとキツイ。

 だが、少しでも休憩していると。


「ぎゃわわわわわわわわわわわっ!?」


 首輪に電流が流れた。

 オズワルドは首を押さえ、召喚封じを忌々しげに叩く。

 すると、仕事仲間で同室の元貴族、アダージョが言った。


「オズワルドさんよ、真面目にやった方がいいぜ」

「うるさい!! おのれ、忌々しい首輪め……これさえなければ!!」

「アホだなぁ」

「ぎゃわわわわわわわわわわわっ!?」


 再びオズワルドの首輪に電流が流れる。

 転げまわるオズワルドは注目を浴び、他の囚人たちから馬鹿にされた。

 アダージョは、くだらなそうに言う。


「その首輪は特別製でよ。付けた人間の感情も感知するんだとさ。だから自殺でもしようもんなら、全身がマヒして動けなくなるし、栄養失調で死のうとすれば、強制的に食事させるように身体が動くんだと」

「なんだと……!?」

「看守の話じゃ、この鉱山で自殺が成功したやつはいねぇとさ。全員、刑期を終えて出ていくそうだ」

「ふざけるな!!」

「オレに言うなよ。ここじゃ絶対に死ねないそうだぜ? 刑期をしっかり果たさせる。それがこの鉱山で働く犯罪者の決まりだ」

「くっそぉぉぉぉぉ!!」


 オズワルドは叫び、首輪を引き千切ろうとする。だが、無駄骨だった。


「ぎゃわわわわわわわわわわわっ!?」


 再び電流が流れ、オズワルドは気を失った。


 ◇◇◇◇◇◇


 オズワルドは、ベッドで目が覚めた。


「うむむ……」

「よお、起きたかい」

「くっ……おのれ。忌々しい首輪のせいで気を失ったか」

「メシ、くいっぱぐれたなぁ」


 アダージョは、なぜかオズワルドの傍でけらけら笑う。

 オズワルドは不快そうにアダージョを見た。


「なんの用だ」

「いや、ちょっと聞きたいことがあってな」

「……なんだ?」

「あんた、いくつだ?」

「……歳か? 二十九だ」

「ほほう……いいねぇ」

「……? ん!? お、おい貴様、何を!?」


 すると、アダージョがオズワルドのベッドに潜り込んできた。

 アダージョの体格は非常にいい。オズワルドは、あっという間に組み伏せられてしまった。

 

「はぁ、はぁ……若い男、いいねぇ」

「…………」


 オズワルドは猛烈に嫌な予感がした。

 アダージョの息が荒く、なぜかオズワルドの胸をさわさわ触っている。

 

「きき、貴様、何を!?」

「教えてやる。この鉱山では娯楽なんてねぇ……あるとしたら、新人の身体を使った『お遊び』さ。くはは、おめぇ、めっちゃオレの好みの身体してる……ふひひ、楽しもうぜ?」

「……じょ、冗談だろう? や、やめ」

「ああ、看守も黙認してる……叫んでも「きゃぁぁ~~~っ!!」……な? 叫んでも誰も来ない」


 他のベッドでも、同じようなことが起きていた。

 男が、男を───……オズワルドの知らない世界。

 アダージョは服を脱ぎ、オズワルドの服も脱がし始める。


「や、やめ!? やめろぉぉぉぉぉ~~~~~っ!!」

「いい声で鳴くねぇ……へへへ、楽しくなってきたぁ!!」

「のわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」


 上半身、下半身が脱がされ……アダージョも服を脱いだ。

 そして……オズワルドの絶叫が響き、夜は更けていった。


 ◇◇◇◇◇◇


「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」


 翌日。

 お尻を押さえたオズワルドは、ゾンビのような足取りで食堂へ。

 食事をとり、仕事に向かう。

 不思議と、仕事が捗った。

 何も考えず身体を動かしていたようだ。


「……汚れてしまった」

「よぉ、昨日はよかったぜ」

「ギャァァァァァァァァァァァ!?」


 アダージョが、オズワルドの肩にポンと手を置く。

 そして、顔を近づけて荒い息を耳に吹きかけた。


「今夜も可愛がってやる。くひひ、楽しもうぜ?」

「ひっ」

「じゃあ、またな♪」

「…………」


 オズワルドの『穴』が、キュッと引き締まった。

 

「…………………………………はは、ははは」


 これが、オズワルドの新しい日常。

 仕事をして、アダージョに可愛がられ、たまにアダージョの友人も混ざって可愛がられ……いつの間にか慣れていく。

 貴族とか、ブラッシュ家とか、仮面舞踏会やアルフェンたちを忘れ、オズワルドは溺れていく。


「ははは、はははははははは、はははははははははははははははははははははははははははははははははは……は、っはは」


 これからも、オズワルドの囚人生活は続いていく。

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