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召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~  作者: さとう
第六章

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これからのこと

 馬車が王城に到着すると同時に、オズワルドは逮捕された。

 さすがのオズワルドも項垂れていた。裏工作する時間などないし、たった今アースガルズ王国に到着したばかりなのだ。新聞はすでに国中に回っているし、もはやオズワルドの信用はゼロに等しい。

 アルフェンは、逮捕されたオズワルドの背中を見送る。

 そして、王城内へ歩きながらメルに聞いた。


「哀れな最後だ。なぁ、あいつどうなるんだ?」

「……とりあえず、調査が入るわね。新聞記者に話を聞いて、アルフヘイム王国にも早急に手を打たないと……間違いなく国家間の問題になるわ。ああもう、馬鹿なことしてくれたわ」

「ま、頑張れ」

「ふん。たぶん、叔父様と叔母様の関与もあるわね……証拠はないだろうけど、まずはオズワルドね。ここまでの悪評が広がれば、『仮面舞踏会』もオズワルドをかばうことはないでしょう」

「仮面舞踏会……」

「あなたは気にしなくていいわ。それより、お父様に謁見しないと」

「ああ、そうだな……お、フェニアたちだ」


 王城内のエントランスホールに、フェニアたちが集まっていた。

 ウィルはいない。まだ戻ってきていないようだ。


「アルフェン、メル!! ねぇ聞いてよ、オズワルド先生が」

「知ってる。新聞見たし、俺たちの目の前で逮捕されたよ」

「なーんだ。ってかムカつくし!! あたしたちが戦ってる裏でコソコソと王子様助けてさ!!」


 フェニアは怒っている。

 それに、アネルも怒っていた。


「……あの住人たちがアタシの方に来たの、オズワルドが向かわせたのか……ちゃんと別な方向へ誘導していれば、バハムートにやられることもなかったのに」

「アネル……」


 サフィーはそっとアネルの肩に触れた。

 アルフェンは、フェニアに聞いた。


「あのさ、ウィルは……?」

「んーん。まだ戻ってない……あいつなら自分の足で戻ってくるはずよね」


 ちなみに、ここにいる全員が『ウィルが敗北、死亡した』など、欠片も思っていない。

 すると、メルが言う。


「A級召喚士は?」

「王城の一室にいます。アルフェンたちを待ってるみたいです」

「……オズワルドのことは?」

「知っていると思います……リリーシャさん、すごく驚かれてましたから」


 アルフェンは、フンと鼻を鳴らす。

 

「知ってたのか、知らなかったのか……オズワルドのやつ、A級召喚士たちにも言ってなかったみたいだな。演技かもしれないけどな」


 オズワルド逮捕の衝撃。果たして、これからの謁見でどうなるのか。


 ◇◇◇◇◇◇


 A級召喚士と合流し、謁見の間へ。

 王座に座る国王を前に、全員が跪いた。そして、リリーシャが報告する。


「魔人を二体討伐したことを、ここに報告します」

「おお……!! よくやった!!」


 国王ゼノベクトは、嬉しさのあまり両手をパンパン叩いた。

 ニコニコ顔のままリリーシャに言う。


「本当によくやった。これで世界平和にまた一歩進んだというわけだな!! 残り二体の魔人、そして魔帝を倒し、この世界に安心と幸福をもたらすよう、期待している」

「はっ……」

「うんうん。礼は期待していいぞ。もちろん、ここにいる全員だ」


 ゼノベクトはずっと笑っていた。

 そして、メルが言う。


「父上。報告したいことが……オズワルドの件です」

「ああ……今朝聞いた。実に驚いたよ。まさか、オズワルドがあんな……」

「……この件、私に預からせていただけないでしょうか」

「なに? メル、お前が?」

「はい。この件、オズワルドだけの問題ではないと思います。オズワルド、そしてその裏を徹底的に洗い、国家の妨げとなる者を排除してご覧にいれましょう」

「うむ……だが、年頃の女の子が『排除』など」

「問題ありません。私はアースガルズ王族。女の子の前に、国に身を捧げています。この国を守るのに、女の子も男の子もありませんわ」

「わ、わかった。任せよう」

「ありがとうございます」


 ゼノベクトは、メルの威圧に負けていた。

 オズワルドの件はメルに任せることになった。メルの『手足』を使い、裏の裏までを徹底的に洗えば、第二第三のオズワルドが現れることはないだろう。アルフェンはそう考えていた。

 すると、ゼノベクトがアルフェンに質問する。


「アルフェンよ。今回もまた、そなたが魔人を滅ぼしたのか?」

「はい。二体現れた魔人の一体は自分が、もう一体はこちらのアネルが倒しました」

「おお!! それは素晴らしい……うんうん、よくやったぞ」

「ああ、あ、ありがとう、ございましゅ……」


 アネルはガチガチに緊張していた。

 こうして、ゼノベクトの謁見を終え、アルフェンたちは謁見の間を出た。

 もう城に用はない。中庭までA級召喚士たちと一緒に向かうと、リリーシャが言う。


「アルフェン」

「……なんだよ」

「今回の件、よくやった。魔人討伐はこれで四体目……リグヴェータ家として、鼻が高いぞ」

「別にリグヴェータ家のためじゃない」

「貴様は今回の報酬で領地を賜るのだろう? 家名を変えリグヴェータ家から脱しようとしているが、もう遅い。すでに貴様がいなくても、リグヴェータ家はもう十分に成長した。あとは……私の仕事だ」

「…………」

「だから、これが最後。貴様の姉としての礼だ」


 リリーシャはアルフェンに近づき、頬に手を添える。

 アルフェンは抵抗せず、避けもしなかった……そして、リリーシャがアルフェンの額にキスした。

 

「リグヴェータ家は私に任せて、貴様は貴様の道を行け」

「……そりゃどーも」

「ふん。忌々しい弟め……だがまぁ、リグヴェータ家繁栄のために役立ったことは、評価しておこう」

「…………」


 そう言って、リリーシャは歩きだす。

 ダオームはアルフェンの正面に立ち、ニヤリと笑う。


「貴様の功績はそっくり姉上がいただいた。くくく、教えてやる。魔人討伐をしたのは間違いなくお前だが、その総指揮を執っていたのは姉上だ。今回の魔人討伐で最も称えられるのは姉上。そしてリグヴェータ家だ。アルフェン、本当によくやった」

「…………」


 ダオームは、ニヤニヤしながら歩き去った。

 そして、キリアスとグリッツが前へ。


「アルフェン、その……いろいろ助かった。ありがとう」

「いえ、こちらこそありがとうございました。兄さん」

「おい、アルフェン・リグヴェータ……この『たまぴよ』、ちゃんと世話するからな」

「ああ。頼むぞ」


 グリッツは黄色い大きな鳥のヒナを抱えていた。

 キリアスは何か言おうとしたが、首を振る。


「じゃあ、またな」

「はい。兄さん、お疲れ様でした」


 キリアスとグリッツは去って行った。

 残されたのは、アルフェン、フェニア、サフィー、アネルの四人。

 アルフェンは、大きく伸びをして振り返った。


「じゃあ、寮に帰るか。レイヴィニアやニスロクが待ってるだろうしな」


 こうして戦いは終わり……しばしの日常が戻ってきた。

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