85 眼鏡屋オープン前と依頼の品とで忙しく過ごす日々に。
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――それから三日後、眼鏡屋が完成したと言う連絡を商業ギルドマスターから受けて向かうと、確かに看板も出来ているし店も綺麗な物だった。
中に入るとチリンチリンと音が鳴り、店内は眼鏡が沢山置けそうだ。
店内には鏡も幾つか購入してきたので飾るには丁度いいだろう。
ディスプレイで私がエンジュさんに作って貰った香炉なども展示する事にし、売り物ではないけれど『展示』はするのだ。
欲しいと言う貴族が来れば、予約を取ればいいだけで後は貴族とやり取りのある傘下に頼めばいいだけだしね。
私は極力貴族とは会わないと言うのを今も徹底してる。
そうこうしているとノルディス様もお越しになり、店の奥の倉庫に箱を積み重ねて行き、そこには貴族用の木工眼鏡ケースと一般人用の眼鏡ケースがズラリと入っている。
眼鏡を買った際、このケース代金も頂くことにしているのだが、一般人用は安く銀貨5枚。木工ケースは金貨1枚となっている。
値段を見ても貴族用は高いと言うのが分かるわね。
「ノルディス様も無理を言ってすみません」
「いえいえ、眼鏡があるべき場所に収まると言うのは気分が良い。まぁ、まずはこの店の中が眼鏡とサングラスで埋まるのを楽しみにします」
「ありがとう御座います」
今日はアイテムボックスを持っているセンジュ君も来ている。
店のディスプレイはセンジュ君が良くしていたそうなので、私とドマとセンジュ君とで眼鏡とサングラス、補聴器を並べて行くのだ。
サングラスコーナーは店に入って左手で、右手は眼鏡だ。
無論盗みが無いように魔道具も備えている為、支払いせずに外に出ようとしたら魔道具が発動して相手を捕まえるシステムになっている。
少しお高い魔道具らしいが大事な事なので購入した。
オープンは明日からだが、既にギルドから来た女性や男性達も来ていて、眼鏡とサングラスを並べて行ってくれている。
ディスプレイには木彫りでミモザさんに作って貰ったテリサバース女神の像も置かれ、眼鏡で良く見えるようになった人たちはきっと驚くだろう。
そしてミモザさんに作って貰った1つのお守り。
【商売繁盛】は猫の置物で作って貰い、裏には交換時期を掘って貰っている。
店が出来るまでの間にミモザさんには一号店と二号店にお守りを作って貰ったのだが、効果は絶大だった。
ノシュマン王国の魔物討伐隊全員分の【体感温度が下がる付与】と【身体を若干冷やす冷風付与】ネックレスの受注に、大規模娼館からの【避妊付与】に【生理痛改善付与】の依頼が来たのだ。大規模娼館からの【避妊付与】に【生理痛改善付与】の依頼は直ぐには作れない為、一ヶ月以内にと言う連絡をしている。
お陰で二号店では魔物討伐隊の分を今必死に作っては付与をしている所だ。
無論「体感温度を上げる付与を今度作って欲しい」と言う依頼も受けている為、寒い場所を知らないセンジュ君では作れないので私が作る事になった。
ジンワリ温かくなる温熱を考えれば何とかなりそうだ。
「サングラスはこんな所でしょうか」
「そうですね」
「姉上、子供用品はこんな感じでディスプレイしましたが」
「素敵です!」
「姉様、女性用メガネには鏡を二つ、男性用の眼鏡にも鏡を二つ置きました」
「ええ、そんな感じで大丈夫です」
「魔道具は裏手に置いております」
「眼鏡の在庫も裏の倉庫に入れてますよ。男女と子供用で分けています」
「分かりやすいですね、明日からのオープンが楽しみです!!」
と、こちらもいい感じだ。
補聴器は私がディスプレイしたので問題はない。
【医療用品】と言う事もあって値段もかなり抑えていると言うのもあるが、視力や日差しに困る方々が着けてくれる事を祈るばかりだ。
「袋も準備出来ましたね」
「はい。一応1000個の袋を用意しています」
「ノルディス様のお陰ね」
眼鏡用の小さめの袋を用意してくれたのはノルディス様だ。
これも仕舞い魔故なのか、シッカリした袋を用意してくれている。
こうしてオープンは明日からと言う張り紙も張ったので、明日からはお客さんが沢山来るだろう。
店から出て馬車に乗り込み女性客が今日はお見えになるので急いで二号店に帰宅し、【避妊付与】に【生理痛改善付与】に関する事をお客さんと話しつつ売って行く。
中には夫婦で予約を取ってこられる家も増えて来て、私とエンジュさんとで対応する事も増えて来た。
横暴な貴族が来た場合はお帰り頂き、その名は陛下に報告される為、厳重注意を受けたりするらしい。それでも改善しない場合はお家取り潰しだそうだ。
アイテムは欲しい。だが横暴な態度は取れない。
その結果、大分貴族を絞れていると思う。
そんな忙しい日々でも、後一週間もすればお爺ちゃん達もまた魔物討伐隊と共に大規模ダンジョンの殲滅に向かうらしいが、「国が出来た時の為に2個は残しておくわい」と言う事だったので大丈夫だろう。
今はお爺ちゃんとタキちゃんもリフレッシュ期間。
私の作るご飯をモリモリ食べて温泉でもゆっくり一緒に入り、ベッドでも一緒にくっ付いて寝る。
お爺ちゃんとタキちゃんはツヤツヤになって行った。
「そう言えばダイヤ王国のギルドとノシュマン王国のギルドが鉄の国サカマル帝国との取引を全面停止及び国内に船を停めないってなってから一週間経つけど、何か動きはあるのかしら?」
「一週間くらいではそう派手な動きはないのう。出てくるとして早くて三か月、半年もすれば嫌でも国民ですら不味いと思うじゃろうな」
「なるほど、でも難民がかなり押し寄せた場合はどうなるの?」
「それは国が考える事じゃ。まぁ男尊女卑が根深い国から逃げてくる輩の半分は女性を大事にする家庭である事を望むがのう」
カシュールさんのような人たちなら良いけど、そうでないならうちでも雇えないなと思いつつ仕事をこなす。
今ではシンジュさん以外のエンジュさんとセンジュ君も開発部に来てアイテムを作り続けては付与をしている。
相変わらずミモザさん達はスキル上げだ。
ラフィは黙々と中級ポーションに挑んでおり、コツを最近掴み始めた。
ドマとスギは彫刻スキルがやっと6になったらしく、今は造形を整える練習に余念がない。
ミモザさんもスキルが9になり、今では宝石を使ったお守りを作ったりもしている。
また、一旦戻ってきている二国の魔物討伐隊の為にガーネットから【命の花びら】を寄付したことにより、大変喜ばれた。
何もかもが少しずついい方向へと向かい始めたそんなある日、私の目下の目標は【体感温度が上がる付与】【霜焼け防止付与】のついたアクセサリー作りだった。
ネックレスが良いだろうと、炎と言えばルビーの色と言うことで作っていたのだけれど、一応【体感温度が上がる付与】は作れたしこれは中に着るインナーに付与しても良さそうだ。
体感温度はプラス5度を目指したので結構温かい。
と言うか暑い。夏の国ではちょっと無理。
ルビーに【体感温度が上がる付与】ダイヤモンドに【霜焼け防止付与】を付けて鑑定すると、ちゃんと『体感温度がプラス5度上がり霜焼け防止のついたアクセサリー』と出たので問題は無さそうである。
調べた所、【霜焼け防止付与】は既にあるらしく、作られたのが100年以上前なので付与としてお金を支払わなくともよいのだ。
それに応じて、プラチナ鉱石でお洒落な香炉のような彫金をし、中に綺麗な宝石と模様を入れ込んだ【加湿付与】に【適温付与】も付けることが出来た。無論【適温付与】はセンジュ君にお金を沢山支払う事になったけど全然オーケー!
冬の国は乾燥しやすい。部屋を加湿するだけで温度が若干変わるのだ。
小さな香炉の彫金なのだが、効果は絶大。
部屋の湿度を上げて適温にする事が可能となった事で、これはノシュマン王国に輸出するように作る事が出来た。
本来なら雨の多い鉄の国サカマル帝国に【除湿付与】【乾燥付与】も考えたが、暫く出番はない。
シャース王国は反対に乾燥地帯な為、【加湿付与】くらいで済みそうだ。
問題は雨の少ない地域な為、水を出す魔道具がスタンピードにより破壊されたのでそこをどうするかに掛かってくる。
それは国のお抱え付与師が考える事なので私が考える事ではないけれど。
「取り敢えず輸出用の付与が出来たので付与ギルドで登録してきまーす」
「姉様、俺も行きます」
「ワシ等もいくかのう」
「ブンレツー! イイヨーイコー!」
と、こうして出来上がった付与【体感温度が上がる付与】【霜焼け防止付与】【加湿付与】を付与ギルドに登録し、「相変わらず色々考えるなユリは」と苦笑いされつつ「輸出したいですからね!」と伝えて付与ギルドを後にする。
後はこれらを作るだけ作って、金鉱山を取り戻してから一旦ダイヤ王国に帰ってくるノシュマンの魔物討伐隊に手渡せば大丈夫だ。
お爺ちゃんとタキちゃんの主である私達も応援していたのだと言う意志はしっかりと見せないとね!
こうしてエンジュさんとセンジュ君それぞれが仕事をしつつ、私もアレコレと忙しく過ごしていたある日――。
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