表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【R15版】淫獣大戦 ~聖人のボクは女たちをセックスで癒す~  作者: 夢乃
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/59

054 終息への第一歩

 作戦が決まった。

 まずはソーセス臨時政府からエタニア人たちに向けて声明を出す。これは、聖人と聖女の子作りに同意することと、そのために聖人をソーセスに連れて行くこと、その条件の擦り合わせのため、事前に使節団が南東の都市(ソーセス)へ赴くこと、という内容で、ウェリス大陸の他の都市にも流す。

 そして、条件の合意が成ってから、ボクがソーセスに赴き、スカーレットとセックスする。


 ソーセス臨時政府の条件というか要求は、声明では発表しないけれど、南東の都市(ソーセス)即時引き渡しと、淫獣を含むエタニア人のエタニア大陸への完全撤退。聖女と付き人10人までは滞在を許す。それに、今後の恒久的なウェリス大陸への進出の禁止。

 こんな要求をスカーレットたちが呑むわけがないのは、ボクにも解る。政府もそれは承知の上で、ここから落とし所を交渉していき、譲れない最低ラインを死守するつもりらしい。上手くいくかな?


 声明を出した翌日には、エタニア人からの応答があったらしい。数日後には、数騎のエクスペル・アーマーに護衛された使節団が、ソーセスへと向かった。

 会談がどのように行われたのかは判らない。けれど、半月ほどかかった会談は、ソーセス臨時政府の思惑通りに進んだらしい。こちらの要求が完全に通ったわけではないけれど、許容範囲に納まったということだ。


 エタニア人たちとの会談と同時に、他の都市への根回しも行なっていたらしい。後から聞いたんだけど。特に、東の都市(エスタ)南の都市(ソウト)はソーセスに近いから、色々と影響が出るだろう。……いや、この件とは関係なく、もう影響が出ているのか。住民たちが消えているそうだし。


 臨時政府がどういう根回しをしたのかは知らないけれど、エスタもソウトもソーセスの提案を受け入れたんだろう。使節団が帰って来て数日後に、ボクにソーセス訪問の日程が知らされたから。訪問と言うより、一時帰還かな。そのまま恒久的に帰れれば、重畳だけれど。


 ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉


「セリエス、行くぞ」

「はい。それで、行先はどこですか?」

「行けば判る」

 ソーセス訪問を3日後に控えた日、ボクはハイダ様と共に、ヴィークルで基地の敷地を出た。この外出は前々日から伝えられていたけれど、未だに行先を教えてもらえない。どこに行くんだろう?


「基地を出ちゃって大丈夫なんですか?」

 今もボクは、外出規制されているんだけど。

「問題ない。許可は取ってあるし、護衛も付いてる」

 そういう事らしい。

 確かに、ボクたちのヴィークルを遠巻きにして、2輪のヴィークルが何輌か同じ方角に走っている。基地を出ると近くの街や村までは草原や農地が広がっているから、隠れようがないんだよね。そうでなければ、ボクが気付けるわけもない。


 ハイダ様の運転するヴィークルは、基地に近い街を素通りして止まる事なく進む。てっきり、この街に引っ越して来たアルクスたちの住居に行くのかと思ったけれど、違うらしい。

 基地を出てから3時間ほどが経って、前方に大き目の街並が見えて来た。

「セリエス、これを付けておけ」

 ハイダ様が片手でハンドルを握ったまま、ハンドルから離した片手を後席に伸ばして小さいバッグを取り、ボクに渡して来た。まったく、都市の外は自動運転誘導がないんだから、ボクにバッグを取るように言えばいいのに。

 えっと、中身は何かな。


「カツラと、メガネ、ですか」

 バッグに入っていたのは、薄い灰色の髪のカツラと、濃い色の色眼鏡だった。

「セリエスの顔を晒されてしまったからな。街に入れば人目も増えるから、目的地に着くまで着けておけ」

「はい」

 ボクは素直に、ハイダ様の言う通りに変装した。“変装”と言うにはお粗末にすぎるけれど。それでも、髪の長さと色を変え、メガネで顔を隠しただけでも、パッと見にはボクだと判らない程度にはなる。まあ、ハイダ様やアルクスたちには一発でバレるだろうけど、直接会ったことのない、ボクを画像でしか知らない人たちには判らないだろう。


 ヴィークルは街に入って数分で、比較的広い建物の横にある駐車場に停まった。看板から、ホテルのようだ。都市にあるような巨大なものではなく、3階建の、周りと比べると広いながらもこじんまりとしている。

 ハイダ様に促されてヴィークルを降り、彼女の後についてホテルに入った。街に入ってから護衛のヴィークルは見えなくなったけれど、今もどこかから見守っているんだろう。


 ハイダ様は受付にも寄らず、真っ直ぐにエレベーターへ向かった。2階や3階なら歩いても平気だけど……こういう場所の階段は、非常階段しかなかったりするんだよね。ここもそうなんだろう。

 エレベーターで3階まで上がり、1つの部屋の前で立ち止まり、ドアを叩く。ドアはすぐに内側から開かれた。


「ハイダ様っ、お久し振りですっ」

 部屋から飛び出して来たのはダリアンだった。ほかの従仕(じゅうし)たちと一緒に過ごす、というボクの予想は、半分だけ当たっていたらしい。彼らが今住んでいる住居でなく、このホテルで会う計画を立てていたようだ。

 ダリアンは、ハイダ様に会えて嬉しいのだろう、満面の笑みを浮かべている。ボクも嬉しい。ハイダ様がみんなに連絡する時にボクも一緒に話したりはするけれど、直接会うのは本当に久し振りだから。


「ダリアン、久し振り」

 ボクの顔を見て一瞬顔にクエスチョンマークを浮かべたダリアンは、次の瞬間吹き出した。

「セリエス!? どうしたの? その格好っ」

 そんなに笑わなくてもいいのに。ヴィークルのミラーで見たけれど、そんなに変じゃなかったと思うけどな。


「有名人になっちゃったからね。素顔だと追っかけが群がるんだよ」

 ダリアンの笑いに、ボクは冗談で応えた。実際、もう1つの基地からの帰り道、エタニア人たちに待ち伏せされたことを考えると、あながち冗談とも言えないんだけど。今も、隠れて護衛している諜報部隊の人たちが、不審者を捕らえているところかも知れないし。


「それより早く入れてくれないか? アルクスたちもいるんだろう?」

「はいっ、すみません。つい、嬉しくって」

 微笑みながら言ったハイダ様の言葉を受けて、ダリアンはボクたちを部屋に招いてくれた。

 ハイダ様はボクを先に部屋に入れ、慎重に廊下を確認してからドアを閉めた。


 部屋には、積木で遊んでいるエイトの相手をしているベルントと、お茶の支度をしているアルクスがいた。2人にも笑われてから、ボクはカツラとメガネを取って素顔に戻った。メガネはともかく、カツラを取るとさっぱりする。ごく短時間しか被ってないのにね。


「だけど、そんなに警戒するほど危ないのか?」

 一頻り笑った後、アルクスは真顔に戻ってボクに聞いた。

「どうかな? 実際に狙われたのは淫獣侵攻の前の、アレだけだし。軍は警戒してるけど、念の為、くらいじゃないかな」

 少し前にも襲われたことは、わざわざ知らせる必要もないよね。みんな民間人なんだから、余計な心配をさせる必要もないし。


「一度は誘拐を許してしまったからな。それで軍も神経質になってるんだよ。それ以降は襲われていないが、用心するに越したことはないからな」

 ハイダ様も、ボクの返事を補強してくれた。ボクの言葉だけでは不安を拭いきれなくても、ハイダ様が太鼓判を押してくれれば3人も安心するだろう。




 それから夜までは、久し振りの家族6人の団欒を楽しんだ。あまり顔を合わせていないエイトもボクのことを覚えてくれているようで、ボクにも良く懐いてくれた。

 食事は、外には行かずに部屋に運んでもらった。基地から出られても、ボクの姿をなるべく他人の目に晒さない方がいい、ということで。みんなには悪いな、と思ったけれど、誰も気にしている様子はないので安堵した。


 食事も済み、部屋のバスルームで入浴も終え、うつらうつらとして来た幼いエイトを寝かしつけると、そこからは主姐(しゅしゃ)従仕(じゅうし)たちの時間になる。とは言っても、エイトを放って楽しむわけにもいかないので、交代で赤子の様子を見ながら。

 ハイダ様もボクたち4人も、声を抑えることなく目一杯喘いだけれど、エイトはぐっすりと眠っていた。ほかの3人がハイダ様と致している時に、エイトの安らかな寝顔を見ながら、早くソーセスを取り戻してみんなと一緒に暮らしたいな、とボクは思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ