050 帰還中の襲撃
翌日、ボクは予定通り帰りのヴィークルに揺られている。巨大ではないけれど大き目のヴィークルで、後席にはテーブルもあって軽食くらいは摂れそう。
左右には、護衛の女が付いている。前席にも2人乗っているけれど、後席とは完全に仕切られているのでここには3人。
一般の家庭用ヴィークルなら3人も並んで座っていたら狭いけれど、このヴィークルはまだゆとりがある。
ヴィークルの前方には2輪のヴィークルが先導していて、左右やや後方にも2輪ヴィークルが併走、そして後方にも2輪ヴィークル。併走している2輪ヴィークルは2人乗りで、総勢10名がボク1人の移動に付き合っていることになる。
一年前のボクには予想もできなかったし、正直、今でも大袈裟じゃないかと思うのだけれど、要人警護とはこういうものかな。ボクが要人というのがピンとこないわけだけれど。
基地を出て3時間くらい経っただろうか。突然、ヴィークルが停車した。そろそろ休憩の時間だけれど、道路で突然停まるのはおかしい。
「どうした」
ボクの右隣の女が、インカムのボタンを押して鋭い声で聞いた。
『淫獣ですっ。前方約100メートル先、数、15っ』
「淫獣? 警戒ラインからかなり離れているのに……」
前席からの応答に、ボクの左隣の女が呟いた。
確かに、ソーセスからこれだけ離れた場所に淫獣が出るのは今までになかった。ボクの出張の原因になった、先日の遺跡襲撃に続いて2例目だ。けれど、軍の防衛ラインも穴だらけだから、知られていないだけで、それなりの数の淫獣がソーセスから遠征しているのかも知れない。
ほんの少し逡巡した右隣の女が、すぐにインカムに向かって言った。
「作戦変更。基地へ救援要請するとともに、すぐに基地へ引き返す」
どうやら、この人がこの護衛隊の指揮官らしい。
『了解』
インカムから返事が返り、すぐにヴィークルが方向転換のために動き出す。しかし。
『駄目ですっ。後方50メートル、淫獣10っ』
『左右の草原からも現れましたっ。左8、右7っ。右手にはヴィークルも1輌っ』
全方位を囲まれた上にヴィークルまで来ている、つまりは牝も参加しているということは、完全に待ち伏せされていたということになる。狙いはどう考えてもボクだよね。それにしても、どこから情報が漏れたんだろう?
いや、そんなことを考えている場合じゃなかった。
指揮官もボクと同じ疑問を持っているだろうけれど、そんなことはおくびにも出さずに、一瞬の間を置いただけで次の指示を出す。
「前方、15体の集団の中央を抉じ開け、突破する。救援要請は?」
『すでに発信済みですっ』
「よろしい。オシレイトダガー車輌を前に、ノーマルの2輌は後方援護、行動開始」
『了解っ』
すぐにすべてのヴィークルが動き出した。左右を併走していたヴィークルが前に出て、このヴィークルはその後方を追走する。速度を落としていた前方のヴィークルを追い越し、速度を上げながら前方の淫獣集団に近付いて行く。
左右前方、2人乗りヴィークルの後部カウルが開き、後席の人が何かを肩に担いだ。何かの発射装置っぽい。
後方と左右の淫獣も距離を詰めて来るけれど、ヴィークルの速度には追いつけない。密集されたら終わりだ。その前に、前の淫獣の防御網に穴を開け、包囲網から抜けなければならない。
2人乗りヴィークルのランチャーから淫獣に向けて、何かが発射された。だけど、淫獣の皮膚を貫ける武器なんて、エクスペルアーマーのオシレイトブレード以外にあるのかな? そういえば、指揮官が『オシレイトダガー』と言っていた。淫獣に対抗し得る新兵器かも。
ボクが考えている内にも、ランチャーから発射された何かは淫獣の群れに向かって飛翔し、そして淫獣の皮膚に突き刺さった。えっ?っと思う間に、2体の淫獣が大口を開けてのたうち回り、淫獣の身体からはさっきの飛翔体が引き戻される。見えにくいけれど、ワイヤーが繋がっているらしい。
それがランチャーの口に戻るか戻らないかの内に、次弾が発射される。どうも、ランチャーは二連装になっているらしい。そこで、複数の淫獣が大口を開け、触手が勢い良く伸ばされた。前を走るヴィークルは左右に蛇行し、触手を器用に避ける。
その間に、さらに2体の淫獣にオシレイトダガーが突き刺さる。中央に道ができた。
ボクを乗せたヴィークルは、淫獣の隙間に突っ込んで行く。触手がヴィークルの車体に当たるガンガンという音が響く。さすがに、金属の塊であるヴィークルを横から触手で止めるのは難しいようだ。これだけの数の淫獣がいるんだからやりようはあるはずだけれど、人間の10歳程度の知能の淫獣では、即座には思いつかないらしい。
淫獣がもたついている間に、先行するヴィークル2輌が淫獣の集団を抜け、即座にUターンして逆走、オシレイトダガーを発射する。淫獣は図体がデカイから、狙いはつけやすいようで、3射目も確実に淫獣に傷を負わせる。
そして、4射目が放たれた時、ボクの乗るヴィークルが淫獣の輪から抜けた。そのまま一気に速度を上げる。1人乗りのヴィークルが1輌、後に続いた。
「あれ? 他の3輌は?」
数が足りないことに、ボクは疑問符を浮かべた。
「後方の1輌は、戦闘中に触手に捕まりました。残りの2輌は、追跡を防ぐため残りました」
「え?」
ボクは慌てて腰を浮かし、後ろを見た。離れていく淫獣の群れの中、走り回る2輌のヴィークルが見える。
「た、助けに行かないとっ」
「いえ、いけません。我々の任務は、あなたを無事に送り届けることです。無駄に命を散らす気はありませんが、任務の最中に命を落とすことも織り込み済みです」
「織り込み済みって……」
納得できないボクは重ねて救助を要求しようとしたけれど、堪えた。考えてみれば、この車輛は防御力は高そうだけれど、淫獣に対する有効な武装がない。それなら、出来るだけ早く戦場から離れた方が、残った兵士たちも離脱しやすいだろう。
ボクは何も言えずに椅子に戻った。
「……あ、そう言えば……」
戦闘が始まる時、頭に軽く引っかかった疑問が蘇った。
「何か?」
「さっき、どうして一番数の多いところを突破しようとしたんですか? 草原は走りにくいから論外として、後ろの方が淫獣が少なかったのに」
「こちらが最も逃げられる確率が高かったからです」
「?」
ボクは首を傾げた。
「目標を包囲する時、一番行って欲しくない場所の層を一番厚くしたい、という心理が働くものです。先程の包囲戦を指揮していた者はそれが顕著でしたね」
「それで、一番数の多い場所を……」
ボクだったらあの場合、迷わず後方の数が少ない方を選んじゃうよな。そうしたら、例えば後方により多い数の淫獣が集まっていたのかも。これからも、作戦行動に口を挟むのはやめよう。ボクが何か言っても、邪魔にしかならなそう。
それから約1時間の後、予定していた休憩も取らずに走っていたヴィークルに、戦場に残った5人が無事に救助されたと連絡が入り、ボクは安堵の息を吐いた。ただ、犯されてはいるらしく、後で交わることになる。
さらに30分ほど経って、巡回任務に就いていたハイダ様の小隊がボクたちの護衛に就いた。エクスペルアーマー3騎に、オシレイトダガー装備のヴィークル2輌に護衛されていれば、安心だ。
気が張ってしまっていたのだろう、ボクは昨夜も良く寝たのに、それから基地に着くまで、ヴィークルの中で眠りこけてしまった。
◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉ ◉
4日後。無事に護衛の任務を果たしてくれたお礼も兼ねようと、ボクは治療セックス相手の5人に予め希望を聞いた。そうしたら、5人同時の乱交を提案された。1人ずつの方がセックスをじっくりと堪能できるんじゃない?と内心で思ったけれど口には出さず、まとめて相手をすることに。
考えてみると、女は主姐として複数の従仕を娶ることが多いから、女1人に対し男複数の乱交経験は豊富でも、男が1人で女が複数というプレイを体験する機会は少ないだろう。
絶倫男もいるけれど、そもそも女男比率が男に偏っているから、男1人で複数の女を相手にするような場を用意しにくいんだよね。
そう考えると、せっかくの機会に女5男1の乱交を、と考えるのも、無理からぬことかも知れない。
もちろん、ボクたちの乱交現場は、周りを医師や看護師、聖人調査室の面々に取り囲まれた。幸い、淫獣の仔を孕まされた兵士はいなかったけど、ちゃんと5回の膣内射精をしたか確認する必要がある。
確認だけならこの人数はいらないんだけれどね。いつものことだけれど、各種センサーがボクたち、特に女の子宮を狙っていて、状態変化がないか調べているんだよね。今のところ、成果は上がっていないけれど。
そんな状況の中、ボクは5人の女たち全員に、大量の精を注ぎ込んだ。




