表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【R15版】淫獣大戦 ~聖人のボクは女たちをセックスで癒す~  作者: 夢乃
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/59

013 リチル:戦闘と救出

『リチル、ベルリーネ、このまま17小隊の応援に向かえ! 私は右手に捉えた淫獣を抑える!』

 ハイダ小隊長からの命令が届く。

「!! ……了解!」

 ギリッと歯噛みしたものの、命令に従うより他にない。後背を襲われないよう、淫獣の別働隊に対処する必要はあるし、淫獣本隊との数を考えれば、別働隊に割けるのは1人にならざるを得ないし、単独行動するのは最も手練れの小隊長がベストであることは、考えるまでもなく解る。


 しかし、いくらハイダ小隊長が手練れであっても、5匹かそれ以上の淫獣を相手に対等に渡り合えるとは思えない。それでも、小隊長には増援が到着するまで頑張ってもらうしかない。

『死ぬなよ』

「……! 隊長こそ」

 別れ際の小隊長の言葉にアタシは短く答え、ベルリーネと共に第17小隊が淫獣と戦う現場へと疾走した。


「第7小隊、応援に来ましたっ。指揮下に入りますっ。1騎は淫獣別働隊と交戦中っ」

 第17小隊のエクスペルアーマーに向かって伸びた触手にオシレイトブレードを振り下ろす。しかし、淫獣は触手を器用に動かして剣閃を躱し、あたしに向き直る。

『応援感謝っ。淫獣がバラけないように包囲をっ。右翼をお願いしますっ』

『「了解」』

 20匹からの淫獣を僅か4騎のエクスペルアーマーで包囲するなど、無茶もいいところだ。それでも、増援が来るまでは持ちこたえなければならない。


 伸びてくる淫獣の触手を斬り払いつつ、違和感を覚える。その違和感が、淫獣の数だ、と気付くのに、さして時間はかからない。

 今、アタシたちと対峙している淫獣の数は15、第17小隊がすでに斬り捨てた淫獣の死体が2。最初の報告では淫獣の数は20以上だった。小隊長が受け持っている別働隊を含む数だったのだろうか?

 しかし、その疑問はすぐに氷解する。それと同時に、いつまでも足止めされているわけにはいかない、ということも理解する。


 淫獣への対応をそのままに、センサーの索敵範囲を拡大すると、この場から離れて行く4匹の淫獣を捉えた。この集団から別れたものだと推測できる。しかし何故? こちらの後背を突くつもりにしては、進路がおかしい。まっすぐここから離れている。

 そこでもう一つのことに気付く。淫獣に倒され擱座した第17小隊の1騎のエクスペルアーマー。その後部ハッチが開いているが、レディーウォーリアーの姿は見えない。

 つまり、レディーウォーリアーは淫獣に捕食され、捕食した淫獣は逃げ去ろうとしているわけだ。3匹の護衛と共に。

 早いところこいつらを片付けてあの淫獣を追わないと、同僚が連れ去られ喰われてしまう。


 気は()くが、焦りは禁物。数分で増援が来るはず。それまでは淫獣の攻撃を躱し、相手を牽制し、隙を見てダメージを与える、それだけに注力しないと、アタシまで淫獣に取って喰われてしまう。

 淫獣に連れ去られている同僚も、別働隊を抑えるために離れた小隊長も心配だが、今はそんなことを気にしていられない。アタシは目の前に伸びてくる触手に向かってオシレイトブレードを振り下ろしつつ、触手に捕らわれないよう、そして淫獣どもをこれ以上居住地に近付けないよう、全力を尽くす。




『遅れて済まないっ。応援に来たっ』

 アタシとベルリーネが到着して4分弱、後続の3個小隊が到着した。続けてさらに、巡回中だった1個小隊が加わる。これだけいれば、15匹の淫獣に早々遅れを取ることはない。

「第7小隊リチルおよびベルリーネ、小隊長の援護のために離脱しますっ。ここはお任せしますっ」

 アタシは返事を待たずに、エクスペルアーマーの集団から抜け出す。ベルリーネもアタシより一歩先に駆け出していた。位置的に、彼女の方が小隊長に近かった。


 第17小隊の2騎も、アタシたちと同じように淫獣に攫われた仲間を助けるために離脱したようだ。目視はしていないが、通信が入った。4個小隊12騎vs淫獣15匹。よほど油断しなければ問題はないだろう。アタシはベルリーネと共に、小隊長の援護に全力を投入できる。


 が、淫獣の別働隊がいたはずの地点に到達する前に、アタシたちは足を止めた。センサーに淫獣の反応がない。けれど、エクスペルアーマーの核とも言える、ヒルドネント・ジェネレーターの反応はある。と言うことは……。

『リチルっ、10時方向っ』

 アタシより一瞬早く、ベルリーネが走り出す。彼女の声と同時にアタシのエクスペルアーマーも去り行く淫獣を捉えた。ベルリーネに一拍遅れて、アタシも走る。


 すぐに目標に追いついた。淫獣は、多少の個体差こそあれ時速25キロメートル前後で走るが、今は時速15キロメートル程度の低速だ。おそらく、小隊長を捕食しているために速度を出せない個体を護衛しているものと思われる。

 エクスペルアーマーの走行速度は、レディーウォーリアーの身体能力にも寄るが、時速40キロメートル以上。あっと言う間に距離が縮まる。


「っりゃあああああっ」

 最後の10メートルほどを、アタシとベルリーネは一気にジャンプし、後方にいた2匹の淫獣にオシレイトブレードを叩きつける。

「プギャッ」

 その2匹は、胴体の中央付近から尾までを縦に両断され、地に這い蹲る。絶命はしていないようだが、戦闘能力は奪っただろう。これで2対4。

 あたしとベルリーネは、すぐにオシレイトブレードを引き抜き、それぞれ別の淫獣に斬り付けるも、それは躱される。


 すぐにもハイダ小隊長を助けたいが、こいつらを放っておいたら助けているところを襲われる。まずは護衛からだ。

 2匹の淫獣がアタシとベルリーネに向き直り、触手を伸ばす。残る2匹は逃走を続ける。

 正直、4匹まとめてかかってこられたら苦しかっただろう。けれど、2対2ならば負ける謂れはない。


 アタシは迫り来る触手を斬り払いつつ、前進する。触手を斬っても先端はすぐに再生するが、長さまではそうはいかない。数秒間触手と遊んで短くした後、まだ向かって来る触手を横っ飛びに避ける。

 一瞬アタシを見失った淫獣が気付く前に、アタシは淫獣に肉薄、胴体の真ん中をオシレイトブレードで叩き斬った。


「ピギャッ」


 絶命したことを確認することもなく、すぐに前方を走る淫獣を追う。ベルリーネも淫獣を仕留めて、アタシの横に並ぶ。

 アタシは淫獣に追い付く前にもう一度跳躍、明らかに動きの悪い淫獣の、尾の付け根辺りにオシレイトブレードを突き刺す。同時にブレードの単分子刃を収納、淫獣を地面に縫い付ける。

 もう1匹の淫獣がアタシに向けて触手を伸ばすが、すかさずオシレイトブレードを手放して後ろに飛び、避ける。アタシに気を取られていた淫獣は、ベルリーネの一撃で呆気なく身体を両断された。


 最後にベルリーネが、アタシの縫い止めた淫獣の胴体を、中にいるはずのハイダ小隊長を傷付けないよう、注意深く両断する。

 淫獣が「パギャッ」と声を上げ、口から小隊長の頭を吐き出した。

「隊長っ!」

 エクスペルアーマーで淫獣の上顎に手を掛け、無理矢理抉じ開ける。オシレイトブレードを背部に戻したベルリーネが、小隊長を引き出した。


「隊長……」

 ハイダ小隊長は触手に塗れ、恍惚とした表情を浮かべていた。こんな小隊長は見たことがない。あるとすれば、小隊長の従仕(じゅうし)だけだろう。

 触手に包まれたままの小隊長の全身が出たところで手を離す。淫獣の上唇がズシンと閉じた。

 それには気も止めず、小隊長に寄る。ベルリーネが口に挿さった触手を引き抜くと、小隊長の口からドロっと粘液が零れた。

「へ、へは……」

 快楽に蕩けきった小隊長の口から、声が漏れた。


 アタシもベルリーネも、無言で小隊長から触手を引き剥がした。触手も外皮ほどではないが頑強で、エクスペルアーマーでも引き千切れないほどに強力で弾力がある。外皮と違い、通常のナイフでも切断できるが、いまは持ち合わせがない。そもそも、そんなものを使ったら小隊長を傷付けてしまう。当然、オシレイトブレードを使うなど以ての外だ。触手を一本一本、引き剥がすしかない。


 触手を毟り取るごとに、小隊長の素肌が露わになる。

 淫獣の白濁液は、人間の汗と混じると服の繊維を溶かす。コネクトスーツとて例外ではない。小隊長は淫獣に全裸に剥かれて犯されたのだ。それを助けられなかった自分に腹が立ち、唇を噛み締める。アタシが小隊長並に手練れなら、残るのはアタシでも良かったのにっ。


 ベルリーネがエクスペルアーマーで小隊長の身体を抱くように支え、アタシが残りの触手を一本ずつ引き剥がす。淫獣の口の中から引き出した時から数分かかって、ようやく小隊長の身体を淫獣のくびきから解放することに成功した。……いや、成功したと言えるのか。


 アタシは即座にエクスペルアーマーから降騎し、ベルリーネのエクスペルアーマーに抱えられた小隊長に駆け寄る。ベルリーネも。

「「隊長っ」」

 アタシとベルリーネの声が重なる。

「あひぃ~」

 小隊長は、だらしなく半開きにした口から涎を垂らしている。アタシはぐっと口を噛み締める。こんな小隊長の姿、見たくなかった。


「隊長っ、しっかりしてくださいっ、隊長っ」

 声をかけながら頬を強めに叩く。焦点の合っていなかった瞳に光が戻った。

「ひ、ひりりゅ、へりゅりね……」

 しかし、呂律が回っていない。淫獣に犯された快楽の淵から、まだ帰って来られない。けれど小隊長のことだ、本部に戻るまでには治まるだろう。そう願う。


「隊長、すぐに救護班が来ます」

 ベルリーネが言うまでもなく、すぐそこまで救護班が来ていた。



==用語解説==


■ヒルドネント・ジェネレーター

 エクスペルアーマーの動力機関。他に、大型のヴィークル、都市の主電力などにも使用されている。

 水を燃料とし、莫大な電力を生み出す、超高効率機関。起動するのに大電力が必要になるため、一度起動すると停止しないように小まめに水を補給する。エクスペルアーマーであれば、2リットルほどの水で、待機状態なら約1ヶ月、戦闘機動をしても2~3日くらいは稼働し続ける。

 遺跡から発見された資料を基に開発された。量産はできておらず、数はそれほど多くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ