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ショートショート4月~2回目

先生、質問です!

作者: たかさば
掲載日:2021/04/26


実に素晴らしい、恋愛小説を読んだ。


読み終わった後も、私という意識体の中で、余韻が揺蕩っている。


私という存在の中に、恋愛小説が、染み込んでいる。

私という存在の中に、恋愛小説が、取り込まれている。


恋愛小説を読んでいなかった昨日の私と、恋愛小説を読んだ今日の私は別人だ。


物語の中の恋を知り、物語の中の恋に心を震わせ、物語の中の恋を見守り、物語の中の恋に満たされた。


満たされた目で見る世界はずいぶん華やかで、愛おしい。

満たされた心で感じる世界はずいぶん美しく、麗しい。


ああ、恋愛小説、実に素晴らしい。


恋愛小説よ、永遠なれ。


今日はいい夢を見られるに違いない。



―――、―――・・・

―――も~、先生ってば、背、高すぎ!

―――便利でしょ?はい、これあげる。


―――幸せそうだね!先生と一緒に掲示板係!

―――べ、別に?!

―――顔、にやけてるけど!


―――先生、質問です!

―――おお、なんだ?何でも聞いて良いぞ!

―――誕生日、いつですか?


―――センセー、さよーならー!

―――おう、気を付けて帰るんだぞ!また明日なー!


……また明日は、来ないってね。


……ふふ、甘酸っぱい、なあ。


……先生の事、好きなくせに。


……今日は先生の夢見るんだって、思ってるくせに。



ああ、夢が。


……幸せな夢が、さめてゆく。



夢の余韻に浸る私は、目を、閉じる。


夢の余韻に浸りたい私は、目を、閉じたまま、夢を自分の中に刻み込む。


忘れたくない、夢を、自分に刻み込む。


幸せな記憶として、夢を、自分に、刻み込む。



私が女子高生だった時など、もう何億年も昔の事だ。


私が女子高生であった時は、先生と気さくに話した日など存在しなかった。

私が女子高生であった時に、誰かを愛おしいと思った瞬間など訪れたことはない。


夢の中では、普通の女子高生だった。

夢の中では、普通に女子高生でいられた。


目が覚めてしまえば、私は普通の女子高生を経験しなかった、ただの老いた者。

目が覚めてしまえば、私は普通に恋を経験することができなかった、ただの孤独な者。



目を開けてしまえば。



寂しい、現実が。



……大丈夫。


……夢は、心に、刻み込んだ。


……幸せな記憶を、また一つ、得た。



さあ、目を開けて。



ステキな記憶を、綴りましょう。



ぱちりと、目を、開け。



「……こら。授業中に居眠りとか、ダメだろ。」


「……はへっ?!」


「お前は、個人授業だな。……覚悟しとけよ?」


「ご、ごめんなさい……。」


ポン、ポン……。


先生の、大きな手が。

私の、頭を、優しく……撫でる。



……胸の、高鳴る、鼓動。


……顔が、ずいぶん、熱い。


……心が、少し、切ない。



……二度寝、したのかも、知れない。


これは夢だと、自分の中で警告する、意識。



……夢と、現実の切り替わりが、不要になったのかもしれない。


これは現実ではないと、自分の中で警告する、意識。



夢か、現実かなんて……知る必要は、ない。


さめる夢なのか、さめない夢なのか……知る必要は、ない。



今、私は、先生に、恋をしている。



それだけが……事実。




今、恋をしている自分がいる。




それだけが……真実。




……でも。




「センセー!質問でーす!!!」


「おお、なんだ?」



「これは、現実ですか?それとも……」



「はは……、こ こ は


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― 新着の感想 ―
[一言] 言いにくいことですが……妄想です!! あなたの、妄想です!! 先生は……いないんですっ(´つωt`)
[良い点] 脳内で常にファンタジーが展開されている私の脳内で常にファンタジーが展開されている私の…… [気になる点] はっ、それどころじゃね!! なんという楽しみ! 想像の余地! [一言] 今から目を…
2021/04/26 20:13 退会済み
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