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海賊とわたし

 タコ騒動の翌日、抽出が終わった薬を子爵家の長男、フレッドさんに飲ませました。


 後はしばらく安静にして、眠ればオーガ熱も完治するでしょう。


 契約では、完治するまでが依頼なのでわたしもしばらくこの街に滞在します。

 しかし、守護者の雫を調合した後は特にする事も無いので、今日は冒険者ギルドを覗いてみようと思います。



 ミルガンの街の冒険者ギルドは街の門と港の間に有ります。

 ガナの街と同じぐらいの大きさです。

 スイングドアは軋みませんでした。

 今はお昼を少し過ぎたくらいなので人は多くは有りません。


「ん、おいおい、どこのガキだ?

 ここはお前の様な奴がくる場所じゃねぇぞ!

 怪我したくなかったらさっさと帰りな!」


 また、このパターンですか。

 定番とはいえ、毎回はめんどくさいですね。

 わたしがいつもの様に拳を握った時でした。


「辞めなさい!」


 ギルドの酒場の方から野太い声で、わたしに絡んできた男を嗜める言葉が飛んできました。


「あ、アイゼンさん!」


 酒場から出て来たのは身長はわたしと同じくらいなのに体重は3倍くらい有りそうな、大剣を背負ったがっしりとしたドワーフ、杖を持ち、長い銀髪を後ろで纏めた、切れ長の目をしたエルフ、ガナの街のギルドマスター以上の筋肉を持ち身体中に走る数多の傷が歴戦の猛者である事を物語っている人族の大男の3人でした。


「あなた、女の子にその言い方はないんじゃない!」

「そうよ、そうよ、女の子に絡むなんてサイテー」

「だいたいあの娘、あなたより断然強いわよ!」


 傷だらけの大男と髭もじゃのムキムキドワーフと鋭い目つきのイケメンエルフがわたしに絡んで来た男に詰め寄ります……女言葉で。

 よく見ると動きもどこかくねくねしています。


「す、すみません」

「あたし達に謝ってどうするのよ!」

「相手が違うじゃない!」

「本当に悪いと思っているのかしら?」


  3人にフルボッコにされた男がこちらに向き直りました。


「すみませんでした」

「え、ええ、別に構いませんよ」


 わたしが許すと男はギルドから走り去りました。

 精神に傷を負ったのかもしれませんね。


「ごめんなさいね、冒険者なんて血の気の多い人ばかりだから……」


 ムキムキドワーフが頬に手を当てながら話しかけてきました。


「いえ、ありがとうございました」

「あら、礼儀正しい子ね」

「ふふふ、あたし達はAランクパーティ《無垢なる愛》よ。

 あたしはリーダーのアイゼン、そっちのドワーフがドミニク、エルフがトロンよ」

「わたしはユウと言います。

  Bランク冒険者です」

「あら、若いのに凄いのね。」

「本当、あたし達が出なくても良かったかしら」

「いえいえ、助かりました」

「ふふふ、じゃあ、あたし達は依頼にでるわね。

  何か困ったことがあったらあたし達に言いなさい。またね」

「はい、また」


 《無垢なる愛》の皆さんはギルドから出て依頼に向かいました。

 なかなか濃い人達です。


 世紀末なジャギさんと言い、ちょろいリュミナスさんと言い、Aランク冒険者は濃い人達ばかりですね。


 若干引きながら、わたしはクエストボードを確認します。


「『入江のゴブリン討伐』『森のオーク討伐』『魔鉄の納品』この辺りはよくある依頼ですね」


 クエストボードを良さげな依頼を探します。


「お!」


 面白い依頼を見つけました。


『海賊の討伐』


 港の近くに出没する海賊の討伐

 海賊の生死は問わない


 報酬

  海賊の頭目1人につき、金貨1枚



 海賊ですか。

 海賊とは海に居る盗賊です。

 決して伝説の海賊王の残した大秘宝を探し旅をするイカした奴らじゃ有りません。

 ただの悪い奴らです。


「コレにしましょう」


 わたしは背中に正義を背負った海兵では有りませんが、海賊共を成敗する事にしました。


 討伐王にわたしは、なる‼︎

 


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