雷鳥とわたし
さて、気を取り直して水晶板です。
資料を読み漁った結果、この水晶板はカードキーのような物だと分かりました。
アヤト博士が責任者を務めていた6つの研究所の全てのセキュリティを解除出来るみたいです。
コレが有れば研究所を発見した時、スムーズにお宝をゲット出来ると言う訳です。
……………………研究所が無事だったらの話ですが。
6つも有るのですから1つくらいは、無事見つかっても良いと思います。
出来れば第4研究所以外で。
さて、今回の戦利品の最後の品です。
わたしが取り出したのはゴミ箱くんの残骸です。
コレも一応古代の遺物、アーティファクトですからね。
回収しておきました。
正直要らないかと思ったのですが、持ち帰って正解でした。
この研究施設から持ち出した書類に重大な事が書かれていたのです。
それは、このゴミ箱くんの動力源について、です。
このゴミ箱くんは古代文明が崩壊してから今日まで、とんでも無く長い時を稼働し続けたのです。
スリープモードとかあったとしてもとんでもない事です。
ベキ ベキ
わたしはゴミ箱くんの装甲を引っぺがします。
ベキ ベキ
「良いではないか、良いではないか」
そして、生まれる前の姿になったゴミ箱くんの胴体部の真ん中に淡く発光する石が取り付けられています。
ギギィ……ベキ!
多少力ずくて取り外した淡く発光する石は3センチ四方くらいの立方体で、まるでサイコロのようです。
これこそが今回最大の収穫です。
アヤト博士の残した資料によると、これは魔力を凝縮して、物資化したもの。
つまり、人工の魔石です。
原理としては、わたしの必殺技やリゼさんの光の剣みたいなものです。
この人工魔石には、この大きさでは考えられない程の莫大な魔力が込められていると言う事です。
古代文明では人工魔石が、主なエネルギー源として利用されていた様です。
このサイズの人工魔石は、おおよそ中位の竜種の魔石と同等の魔力が込められているようです。
何に使うか考えておかなければ、いけませんね。
戦利品の確認をしていたら大分遅くなってしまいました。
そろそろ眠るとしましょう。
「ユウさん、今回は本当にありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。
キマイラの牙なんて希少な素材を譲って頂きありがとうございます」
「では、お互い良い取り引きが出来たと言う事で」
「ええ、そうですね」
「私はこの薬を迷宮都市ダイダロスにいる冒険者に渡しに行きます。
もしよかったら迷宮都市まで、護衛して頂けませんか?」
「すみません。
たしか、迷宮都市まで往復すると5ヶ月くらい掛かるんですよね」
「そうですね、馬や天気にも依りますが大体それくらいは掛かります」
「もうすぐオトカの実が出始める季節ですから、手に入れて、薬を作らなくてはなりません」
「そうですか、無理は言えませんね。
では、私はこれで。また会いましょう」
「はい、また」
わたしは門の外で、ロキさんを見送るとシリウスを召喚し、彼が進んだ道とは反対側に進み始めました。
シリウスに乗ること1時間ほどで、平原に到着しました。
わたしのBランク試験が行われた場所です。
ぱっと見元の普通の平原に戻っていますが、よく見ると若干地面がえぐれていたり、土が盛り上がったりしています。
多分試験の後、土属性魔法である程度戻したのでしょう。
わざわざこの平原まで来たのは、流石に古代文明の人工魔石を使用するのに街中では何かあったら危ないと思ったのです。
大丈夫だとは思いますが、念のためです。
わたしはアイテムボックスからフレイド様から貰った召喚魔法の補助魔方陣を取り出すと人工魔石を触媒に呪文を詠唱します。
この人工魔石の魔力を使えば召喚が可能なのではないかと思ったのです。
「契約により 扉を開く 羽ばたく雷光を我が元に 【召喚 サンダーバード】」
眩ゆい光と共に、魔方陣から巨大な鳥が現れました。
体長は、わたしの3倍はあり、オレンジ色の翼は光の加減で赤や黄色に美しく輝いています。
「キュー」
サンダーバードは嬉しそうにわたしにくちばしを擦り付けて来ました。
くちばしを撫でてあげると気持ち良さそうです。
愛い奴め。
さて、名前です。
やはりここはホルスでしょうか?
アレは隼だった気がします。
サンダーバードの見た目はどちらかと言うと鷲っぽいです。
鷲は…………ホーク……は鷹ですね。
えーと、あ! イーグルです。
イーグル、イーグル、イーグル。
よし! 名前はオリオンにしましょう。
え、イーグル?
何を言っているのですか?
この子は鷲ではなく、サンダーバードですよ?
「よろしくお願いします。オリオン」
「キュー」
オリオンは数歩の助走で空高くに舞い上がりました。
素晴らしい飛翔力です。
これなら街まですぐに到着するに違いありません。
「オリオン、わたしをガスタの街まで連れて行って下さい」
「キュキュー」
ガシ
「え?」
わたしはガストの街までの十数分間、空の旅と洒落込んだのでした。
猛禽類に捕まった小動物はきっとこんな気持ちだったに違いありません。
オリオンには、今度からは鷲掴みではなく、背中に乗せてくれる様に頼むつもりです。




