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食堂とわたし

  何ともアンニュイな気分で教会を出たわたしはギルドに到着しました。


 軋まないスイングドアを開けるとギルド中の視線がわたしに集まります。

 いつもの事です。


 わたしの姿を見て目を逸らす者、顔を青くする者、ニヤニヤする者、興味無さそうな者いろいろです。

 あ、顔を赤くしている者もいますよ。

  …………本当です!


「お~、お嬢ちゃん。

  何か依頼か?

  ならお兄さんが請け負ってやっても良いぜ。

  依頼料を身体で払うならなぁ」

「「「ギャハハ」」」


 何ですかこいつは? ロリコンでしょうか?

 …………誰がロリだ‼︎


 いつもの様に絡んできた冒険者を殴り飛ばしたわたしはカウンターに足を向けます。


「あぁん。

 テメェら、何やってんだ?」


 ギルドの2階から降りてきてロリコン冒険者達に声をかける者がいました。


「あ、兄貴、あのガキが……」

「へっ、おいガキ、テメェもう終わりだぞ!」

「兄貴の強さはマジ、ハンパないんだからな!」

「兄貴、やっちまって下さい」

「おう、これ、お前がやったのか?」


 兄貴と呼ばれているのは何と言いましょうか?

 こう、世紀末にバイクに乗って「ひっは~」とか言ってそうな感じの男です。


 素肌に皮のジャケットとは、どんなフッションセンスをしていればそうなるのでしょうか?


 ロリコン冒険者達よりよっぽどチンピラ感のある雰囲気です。

 不良では無くチンピラです。

 例えチンピラでも初対面ですからね。

 礼儀は大切です。


 わたしは無視を決め込む事なく、彼の質問に答えてあげます。


「そうですよ。そのバカ達が身の程も弁えずわたしに絡んできたので、少しだけ灸を据えて置きました」


 わたしは彼等を決してロリコン呼ばわりしません。

 何故なら、わたしはロリでは無いからです。


「ほ~、そうか…………済まなかった!」


 そう言うとひっは~男はわたしに深々と頭を下げました。


「え?」


 てっきり殴り掛かって来るとばかり思っていたので、変な声が出てしまいました。


「また、こいつらがお前に絡んだんだろ。

 このバカ共には俺からきつく言い聞かせて置くから勘弁してやってくれ」


 まさか、こんな世紀末の様なファッションの男が誠心誠意、謝罪して来るとは思いませんでした。

 それにあんまりなファッションセンスに目が行ってしまっていましたが、彼はかなり強そうな感じがします。


「あ、兄貴!」

「何言ってんすか!」

「こんなガキに頭を下げるなんて!」

「舐められちまいますよ!」

「生言ってんじゃねェぞバカどもが‼︎

  絡んだテメェラが悪いんだろぉが!

  だいたい、此奴はBランク冒険者だぞ。

  テメェらなんか束になっても敵わないんだよぉ!」

 

 どうやらひっは~男はわたしの事を知っている様ですね。

 バカ共に怒鳴り付けていました。


「まぁ、その辺で……別に被害とかは無かったので……」

「そうか、悪かったな。

  また、バカ共が騒ぎを起こしたら俺に言ってくれ」

「ありがとうございます」


 バカ共をひっは~男が連れ出すのを何とも言えない気分で見送ります。

 今日は朝から言葉では言い表せない感情が溢れています。


 カウンターのリゼさんから上の部屋でフューイ代理とリュミナス達が待ってる事を聞いて2階に上がります。


 リゼさんの頭にコブが有りました。

 多分リュミナスさんのゲンコツだと思います。


「すみません、遅くなりました」


 部屋にはフューイ代理と《虹の大河》の皆さんが居ました。


「気にするな、まだ約束の時間の前だ」


 リュミナスさんが声を掛けてくれました。


  そして、わたし達は救援依頼の報酬を受け取り、ギルドを出ます。


 リュミナスさん達はまた拠点で休むそうです。

 数日後にはポーションを売る約束なので、その時ゆっくり話そうと約束し、《虹の大河》の皆さんと別れました。

 

 1人になり何となくブラブラと歩いていると、いい時間となり、お腹が空いて来ました。

 大通りから1本裏に入った道に有った、小物や雑貨を売っているお店を出ると食事処を探す事にします。


 大通りに出れば食堂や屋台が沢山有るのですが、ガスタの街にも慣れて来たので、裏通りの穴場的な食堂は無いものかと少し探してみる事にしました。


 しばらく探索し、そろそろ諦めて大通りに戻ろうかと思った所で一軒の食堂を見つけました。

 今はお昼時、まさに食堂の掻き入れ時と言うこの時間に、全くお客が入っていない食堂です。


「…………これも話のタネになるかも知れませんね」


 わたしは怖いもの見たさで入ってみる事にしました。

 なに、流石に食べれない程不味い物は出て来ないでしょう。


 そう思い、わたしはその食堂《風切羽》に入って行きました。

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