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薬師ちゃんと私

「手紙?」


 私がフューイから手紙を受け取ったのは午後の忙しい時間も過ぎ、日が落ちた頃だった。


「誰からかしら?」

「ゴルドからですよ」

「珍しいわね、あの筆不精が手紙なんて」


 ゴルドは私がまだ冒険者になる前、スラムで掻っ払いをして食いつないでいた頃からの付き合いになるわ。


 彼の財布を掻っ払おうとした私に、拳骨と串焼きをくれて冒険者としての生き方を教えてくれた恩人よ。


 まぁ、口に出して感謝したりはしないけど。

 ゴルドからの手紙に、目を通した私はフューイに手紙の内容を伝える。


「《妖精の耳飾》のロブとデールが死んだそうよ」

「な! ロブとデールが……いったい何があったのですか⁉︎」

「ガナの街の近くにゴブリンロードが現れたらしいわ」

「ゴブリンロードですか……しかし、ゴルドならガナの街に籠城して救援を待つと思うのですが」

「初め、群れのボスはゴブリンキングだと思われていたそうよ。

 ゴブリンの村に攻め入ったあと、ゴブリンキングを引き連れたゴブリンロードが現れたらしいわ」

「そうでしたか、その状況ではガナの街の冒険者達にも大きな被害が有ったのですね」

「それが被害自体はかなり少なかったらしいのよ。

 数人の死者が出たそうだけど過去の被害に比べるとかなり少ないわ」

「なぜです? ロブとデールが命を落とす様な状況でそこまで被害を抑えることができるのですか?」

「突然現れて、《妖精の耳飾》を蹂躙したゴブリンロードを直ぐに討伐した冒険者がいたそうよ」

「ゴブリンロードを? 高ランク冒険者がいたのですか?」

「いいえ、まだ冒険者として登録したばかりの女の子だそうよ」

「女の子……誰かさんとそっくりですね」

「私は関係無いわよ。

 それで、その女の子なんだけど、なんでも魔法遺跡の事故で大陸の外から転移して来たらしいの。

 そして、わざわざ緊急の手紙を寄越した理由なんだけどなんと、その女の子は凄腕の薬師なんだって」

「凄腕の薬師……そうか! ユーリア様か」

「そう、今、その子は辺境伯家の執事とこの街に向かってるそうよ」

「それで手紙を送って来たのですね」

「えぇ、その女の子は年齢よりかなり幼く見えるけどそこはあまり弄っちゃダメらしいわ」

「どの様な人がくるのでしょか?」

「まぁ、それらしい子がきたら知らせるわ」

「はい、その時は私もご挨拶させて貰いましょう」



 それから数日後、今月のギルドの予算の配分などの雑務をフューイに押し付けた私が、カウンターで果実水をちまちま飲んでいた時にスイングドアを開け、女の子が1人、ギルドに入って来たのが見えた。


 すると、たちまち、自分の実力もわきまえていないバカ達が女の子に絡みに向かったわ、呆れたものね。


 因縁を付けて絡んでいた冒険者は直ぐに女の子に叩きのめされていたわ。

 絡んだならもう少しは頑張りなさいよ。


 そんなバカには目もくれず女の子はこちらに近づいて来た。

 すでにユーリアちゃんの治療は始まっていると言う話だし、あの子が例の薬師で間違いないわ。


 背中に背負っているのは戦斧みたいね。

 女の子で戦斧を使うのは珍しいわ。

 まったく居ない訳ではないけど、やはり筋力に左右される武器は敬遠される事が多いの。


「いらっしゃい、あなたかなり強いわね」


 私は女の子に声をかけながら少しだけ殺気を漏らしてみた。

 女の子は私が僅かに漏らした殺気に無意識に気がついた様で少しだけこちらを警戒しながら話しかけて来た。


 話した感じはとてもゴブリンロードを真っ二つにするような冒険者には見えない。

 しかし、彼女……ユウちゃんから感じる気配(強者の気配と言ったところかしら)は本物。


 なかなか面白そうな子が来たものね。

 早速、フューイにも会わせてあげましょう。


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