メデューサ症候群とわたし
「メデューサ症候群とは魔力障害の一種です」
「魔力障害と言うと生まれ付き魔力がほとんど無く魔法が使えなかったり、魔力が回復するのが遅かったりするやつか?
確かにユーリアは生まれ付き魔力少なく、魔法が使えないが同じ障害を持つものも多い。しかし、身体が石になるなど聞いたことがないぞ」
「まず、その認識が間違っているのです。
ユーリア様が魔法を使えない理由は魔力が無いのではなく魔力回路が細過ぎるのが原因です」
「魔力回路とはどう言った物なのでしょうか?
わたくしはずっと自分には魔力が無いものだと思っていたのですが違うのですか?」
「魔力回路とは身体の中で魔力を循環させたり、魔法として身体の外に魔力を放出する為の通り道のことです。
普通は身体の成長と共に拡がって行く物なのですが、ユーリア様は生まれ付き魔力回路が細く余り拡がらない体質だったのです。
普通の人なら魔法が使えないぐらいで命に関わるような障害では有りません。
ですが問題なのはユーリア様の魔力です。
ユーリア様は魔力が無いのではなく、魔力が多過ぎるのです」
「ユーリアに魔力があるのですか?」
「はい。それも人より少し多いくらいの物では有りません。
先ほどの検査薬は魔力に反応して光を放つのです。
少なくとも王宮魔導師クラスの魔力を持っているでしょう、さらにこの街は魔境に近く、王都のなどに比べて大気中に多くの魔力が含まれています。
普通なら魔力が回復するのが少し早くなる程度ですがユーリア様の場合は自然に放出される僅かな魔力を相殺してしまい、結果どんどん体内に魔力が溜まっていったのです。
そしてもう1つの大きな原因は魔力の適性です」
「適性でございますか?ガスタ辺境伯家には代々風属性に対する適性がございますが……」
「いいえ、風属性では有りません。
ユーリア様には土属性への強い適性があるのです」
「わたくしに土属性の適性があるのですか?」
「土属性……そうか!
妻の家系は土属性を得意とする優秀な魔導師を多く排出している」
「で、では私の血がユーリアを苦しめた原因だと言うことですか」
ミッシェル様はショックを受けてしまいました。
フォローを入れておかねばなりません。
「いえ。寧ろ土属性だったからまだユーリア様は無事だったのです。
これが別の属性……例えば火属性だったりすると発症した途端、身体が燃え上がり命を落としていたでしょうし、水属性だったならその場で溺れて、やはり命を落としてしまいます。
この病気の症状が石化だと言われているのは土属性以外だと発症すると同時に命を落とすからです」
わたしの説明に5人は血の気が引いている様です。
フォローの仕方を間違えたかも知れません。
「そ、それで、治療は可能なのだな」
「はい。治療には魔力回路を緩め、体内の魔力を外に溢れさせる薬を使います。
この薬を使い、魔力を出す事を繰り返す事でユーリア様の魔力回路を少しずつ拡げます。
そうすれば自然と放出される魔力が増え、魔法も使える様になります」
「わたくしが魔法を使える様になるのですか?」
「はい。鍛錬すればかなりの使い手になるかもしれません。
魔力を使うのは再発防止に良いので魔法が使える様になったら鍛錬をすると良いです」
ユーリア様はとても嬉しそうです。
「では、わたしは薬を調合して来ますね。煙や匂いが出ますのでどこか換気の良い場所を使わせて下さい」
「ではわたくしがご案内いたします」
シルバさんに案内され調合が出来る部屋に向かいます。
ユーリア様は両親と嬉しそうに話していました。
「こちらの部屋をお使い下さい。
直ぐに素材をお持ちいたします」
用意して貰った素材をシルバさんが持って来てくれるまでに調合の用意を始めます。
「素材をお持ちしました。ご確認ください」
「はい。…………問題有りません。では調合を始めます。少し時間が掛かりますので、しばらくお待ちください」
「はい。よろしくお願いいたします」
シルバさんは深く頭を下げて、部屋を後にしました。
さて、調合の時間です。




