キノコと私と胞子(物理)
大量のキノコで溢れた森の中をコンジキヤシャタケを探して進みます。
途中、珍しいキノコや美味しいキノコもついでに頂いておきましょう。
コンジキヤシャタケはかなり湿度の高い場所に生えている筈です。
わたしはサーリスさんから受け取った地図を確認し、川のある方を目指しました。
「ん?」
わたしの視線の先にわたしの2倍くらいはある大きなキノコが現れました。
キノコの石突きの辺りに小さな足が生えています。
「ウォーキングマッシュですか?」
魔物辞典で読んだ物より大きい気がしますね?
それに魔境にウォーキングマッシュが居るとは思いませんでした。
ウォーキングマッシュは弱いのです。
敵に出会っても走って逃げる事しか出来ません。
あと、美味しいのでよく冒険者になったばかりの初心者が依頼で狩に行っています。
そんなウォーキングマッシュがこの魔境でこんなに大きく成長するとは思えないのです。
「え⁉︎」
なんとウォーキングマッシュがわたしに向かって走って来ます。
普通、ウォーキングマッシュは他の生物に出会ったら逃げ出す筈なのですが、近づいて来るなんておかしいですね? 特殊個体でしょうか?
わたしは雷鳴の鉈を取り出します。
よくわかりませんが美味しいキノコが向こうから近寄って来るのですから戴くしか有りません。
ボフッ!
「 ⁉︎ 」
わたしが雷鳴の鉈を振り上げた時、ウォーキングマッシュは急に立ち止まり、笠から大量の胞子を撒き散らせ始めました。
「風よ 巡れ 【ウインド】」
後ろに下がりながら風属性魔法で胞子を飛ばします。
風属性魔法はあまり得意では無いのですが、上手く行きました。
「ウォーキングマッシュでは無くマタンゴでしたか!」
マタンゴは噂でしか知りませんでしたがウォーキングマッシュよりも攻撃的で胞子を飛ばして攻撃して来ると聞いた事が有ります。
「【断空】!」
雷鳴の鉈を振るい魔力の刃を飛ばすとマタンゴの足は簡単に切り飛ばされました。
しかし、次の瞬間新しい足が生えて来ました。
むむむ、すごい再生力です。
ボフッ!
マタンゴは新たな胞子を放ちました。
周囲に胞子が充満しますが、わたしは常備している一時的に耐性を上げる丸薬を口に放り込み胞子の中に突っ込みます。
「うぅ」
苦いです。すごく。
この丸薬は即効性が有り、耐性を上げると言う有用な薬なのですが、とんでもなく苦いのが欠点です。
マタンゴに接近したわたしはピリオドを取り出しマタンゴを縦に真っ二つにしました。
「ふぅ」
ひと息ついてマタンゴを回収しようと視線を向けると2つに別れたマタンゴの内、1つは崩れ去り、もう1つから新しいマタンゴが生えて来ました。
「ええ⁉︎」
コレは面倒です。
半端では無い再生力を持った魔物の様ですね。
「はっ!」
わたしはマタンゴを十字に切り裂きます。
しかし、その内の1つからやはり新しいマタンゴが再生し、残りは崩れ去りました。
わたしには胞子は効かないので、負ける事はないでしょう。
ですが、コレは勝てるのでしょうか?
キュルルルゥ!
「ん?」
ドゴッ!
わたしが対策を考えていると、マタンゴから途轍もない勢いで胞子が放出されました。
その衝撃はわたしの側にあった大木を薙ぎ倒す程の威力です。
胞子が効かないから負け無いと言うのは撤回します。
わたしにも胞子(物理)は有効です。




