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蟲とわたしと治療

 大木の上に造られた部屋の1つに通されたわたしとリゼさんは、セシルさんに勧められて椅子に腰を下ろしました。


 意外に広いその部屋には、さり気無く彫刻を施されたテーブルや椅子などがあり、華美な装飾は有りませんが、品の良い空間を演出してています。

 特にこの落ち着いたテーブルと椅子はとても良い仕事をしていますね。

 もし売っているならお店を紹介して欲しいです。 人間のお金は使えるのでしょうか?


 セシルさんがお茶を用意してくれている間にリゼさんが前回ハイエルフに会った時の話を教えてくれました。


「私が魔境を彷徨っていた時に、魔物に苦戦していたハイエルフ達に出会ったのよ。

 その時に魔物討伐に協力したんだけど、そのお礼にって貰ったのがあの短剣なのよ」

「そうでしたか」

「待たせたな」


 セシルさんがお茶を持って来てくれました。


 お礼を言って口を付けると瑞々しいお茶の香りが口いっぱいに広がり、飲み込んだ後にはキレの良い苦味と深い香りが鼻から抜けて行きます。


「おお!美味しいです」

「はっはっは、美味いだろ?

 世界樹の葉を使った茶だ」

「あら、良いの?

 ハイエルフにとっても最高級の品でしょ?」

「なに、お前とお前の連れになら惜しくはないさ」

「随分と高く買ってくれているわね」

「まぁな。それで、何の用なんだ?」


 リゼさんは、わたしをセシルさんに紹介した後、魔族や勇者の呪いに付いて説明します。


「成る程な、お前達が世界樹の果実を求めている理由はわかった。

 しかし、世界樹は50年に一度しか実を付けない。

 我々ハイエルフにとっても貴重な品だ。

 いくらリゼの頼みでもそう簡単に渡すわけには行かないな」

「でしょうね」


 何だか雲行きが怪しくなって来ましたね。

 リゼさんとセシルさんは何だか親しげだったので『木ノ実分けてくれない?』『おお、良いよ』みたいな展開だと予想したのですが、どうもそうは行かない様です。


「どうすれば実を分けて貰えるかしら?」

「長の判断を仰ぐ事になるだろうが、今我々は1つ問題を抱えている。

 その問題を解決する手助けをしてくれるなら、報酬として世界樹の果実が貰える様に長に頼んでみよう」

「むぅ、その問題次第ね」

「ああ、その問題と言うのが世界樹に最近現れる様になった魔物の事だ」

「魔物ですか?」

「ああ、コレが厄介でな。見た目は巨大な蛾の様な奴だ。強さ自体は驚くほどでは無い。

 だが鱗粉による麻痺や錯乱などの異常状態が厄介なんだ」

「ハイエルフの精鋭であるあんた達の耐性でも防御出来ないの?」

「私や上位者数名は大丈夫だ。

 しかし鱗粉に耐えられる者達だけでは数が足りていない。君達が戦線に加わってくれれば有難い」


 鱗粉の毒ですか、解毒は可能でしょうけど防毒は難しいですね。

 単純な虫系の毒なら問題有りませんが、麻痺や幻覚などの複合的な毒なら防ぐの困難です。

 

「私は大丈夫だけど、ユウちゃんは?」

「わたしも問題有りません。

 解毒するのは時間が掛かりますが、わたしは毒に耐性が有りますから戦えますよ」


 わたしがそう言うと、セシルさんが気が付いた様に声を上げます。


「君は薬師だと言ったな。

 もし良かったら前の戦いで毒を受けてしまった戦士達の治療に加わって貰えないか?」

「治療ですか?」

「ああ、ハイエルフの薬師達が治療に当たっているが、我々ハイエルフには生まれ持った魔力による高い治癒力と長い時間を掛けて培った薬術が有る。

 しかし、薬師の数が少ない。

 治癒力が高い故に薬師と言う職はあまり出番が無かったんだ」

「そうでしたか、わたしで良ければお手伝いしましょう」

「頼む、勿論戦闘の報酬である世界樹の果実とは別に何か報酬を用意しよう」

「ありがとうございます」


 わたしはセシルさんに連れられ、病人が集められている場所に移動すると、忙しく働いているハイエルフの薬師さん達と治療を始めるのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔物の討伐に参加するだけと言えば軽く聞こえますが、 こんなとこまで来る信頼できる実力者なんてそうそういないですよね。 エルフの寿命スケールでストックできるなら数十個と合ってもおかしくはないで…
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