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蜂とわたし

 村を上げての宴会の翌日、村長さんに頼まれ幾つかの薬を調合しました。

  主に傷薬や咳止め、解熱剤などの常備薬の類いです。

  アマナ村には治癒魔法を使える人などは居ないので、怪我をしたり病気になると、たまに行商人が売りに来る薬か、数日掛けて街へ行くしか無いそうです。

  薬草を集めて貰えればわたしが買い取り、代金分の薬を調合すると提案すると村人の多くが薬草を採取に行きました。


  頼まれた薬の調合を終え、村長さんから依頼完了の書類を貰いました。この書類をギルドに提出すれば、依頼完了です。

  お昼過ぎに村を出てガナの街を目指します。



  辺りが暗くなり、灯の生活魔法を灯さなければならなくなった頃、閉門時間ギリギリでガナの街に帰って来ました。

  ギルドへの報告は明日にしましょう。

  わたしはロック鳥のさえずり亭に帰って眠りにつく事にしました。宿をキープしておいて良かったです。


  翌日、朝の営業が終わった厨房でわたしは昨日手に入れた蜂蜜を使いパウンドケーキと蜂蜜飴を作っています。

  水の上位属性魔法である氷魔法をある程度覚えたので調理の幅が広がりました。

  出来たパウンドケーキと蜂蜜飴をアイテムボックスに仕舞い、ミーナさんとミオさん、トムさんの分を渡します。


「依頼で手に入れた蜂蜜で作ったんです。良かったら食べて下さい」

「いったい何を作っていたのかと思えば蜂蜜を使った菓子か。

 良いのか?マーダーハニーの蜂蜜と言えば高価な品だぞ」

「沢山有りますから構いませんよ」

「じゃあ、有り難く頂くよ」

「ユウさん、ありがとうございます」

「ありがとうございます。頂きますね」

「はい。では、わたしはこれからギルドに行って来ます」

「お気をつけて」


  わたしはミーナさんたちに見送られながらギルドに向かいます。この時間なら余り人は多くない筈です。

  割りの良い依頼は早い者勝ちです。

  そして、緊急性の無い依頼は朝早くにまとめて貼り出されます。それを巡り朝早くに冒険者達はギルドへ集まるのです。

  さらに、夕方には依頼から帰還した冒険者が報告へとやって来ます。

  そのため、朝夕のギルドはとても混むのです。


 軋むスイングドアを開け、ギルドに入ります。


「ん?おいおい、いつから冒険者ギルドはガキの遊び場になったんだ?」


 おや?わたしを知らない冒険者が絡もうと近づいてきました。

 仕方が有りませんね、初めが肝心です。

 舐められる訳にはいかないのです。

 

「おい!バカ、よせ!」

「やめろ!あいつには手を出すな!」

「は?どうしたんだよ、お前ら。」

「いいから来い、説明してやるから!」

「わ、悪いな、ユウちゃん。あいつは別の街で知り合った奴なんだけど、昨日この街に来たばかりなんだよ。

 ちゃんと説明しておくから許してやってくれ」


 わたしに絡もうとしたバカは知り合いらしい冒険者に連行されて行きました。

 もう1人の冒険者がわたしに謝って来ます。

 ゴブリン討伐の時に参加していた冒険者です。見覚えが有ります。

 戦友の頼みですしね。実害も無いですから私は特に怒っていません。


「別に構いませんよ。助けてくれてありがとうございます」

「い、いや、悪いな」


  謝って来た冒険者も仲間の元に小走りで向かいます。

  バカは酒場でわたしの事を聞かされたのかこちらをチラチラ見ながら相槌を打っています。

  そしてバカの顔はみるみる青ざめていきました。

  いったい何を話したらああなるのでしょうか?

  実に遺憾です。遺憾の意を表します。


  カウンターにラティさんの姿を見つけたわたしは村長さんから貰った書類を手渡し手続きを頼みます。


  「今回の報酬は支払済みですので、ギルドカードのみのお返しです」

  「ありがとうございます。ラティさん、今回の依頼でマーダーハニーの甲殻や幼虫、蛹などを沢山手に入れたのですがギルドで買い取って貰えますか?」

「マーダーハニーの素材ですか。沢山とはどれぐらいですか?」

「約250匹分くらいです」

「に、250ですか……ちょっと冒険者ギルドでは難しいですね。商業ギルドへ持ち込んでは如何ですか?」

「商業ギルドですか。分かりました。早速行ってみます」


  わたしはラティさんに挨拶してギルドを出ようとしましたが、今日の目的を思い出し、ラティさんの所に戻ります。


  「忘れる所でした。ラティさん、わたしが作ったお菓子です。皆さんで食べて下さい」

「うわ!ありがとうございます」


 ラティさんや他のギルド職員さん達にお礼を言われながらギルドを後にします。


  さぁ、商業ギルドに行きましょう。


 

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