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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
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◆解放

 む!


 ヴァルジャンの拳が風を切り、わたしに迫ります。


 上体を落とし、拳の下を潜りガラ空きの横腹にピリオドの石突きを打ち込みます。

 しかし、ヴァルジャンは僅かに身を捻り石突きを受け流すとその勢いのまま蹴りを放ちました。


 わたしはピリオドの柄で受け止めますが、体格の差なのか身体が浮いてしまいます。


「おらっ!」


 そのわたしに向かって頭目が腕を振ります。


 咄嗟に腕を上げて顔を庇うと夜天のローブに覆われていない手の甲に鋭い痛みが走ります。


「っ!…………針?」

「今だヴァルジャン!殺せ!」


 ヴァルジャンの拳がわたしの身体に当たる瞬間【光鱗】を作り、盾がわりにして攻撃を受け止めます。


「ちっ!高けぇ痺れ薬だってのにまだ動けんのかよ!ヴァルジャン!女を抑えろ!」

「……っ!」


 ヴァルジャンは頭目の命令で素早くわたしの腕を掴みました。


「野郎共!ヴァルジャンごと殺れ!」


 その言葉で魔法が使える盗賊達は一斉に魔法を放ちます。

 ですが盗賊達の魔法がわたしとヴァルジャンに命中する事は有りませんでした。


「うぉぉお!!」


 ヴァルジャンの鋭い蹴りが魔法を掻き消したのです。


 魔力を感じませんでしたから、今のは魔法や戦技の類では有りませんね。

 純粋に蹴りによって生み出された風圧だけで魔法を掻き消したと言う事ですか。


「なっ!手前ぇ、ヴァルジャン!

 何やってやがる!」

「…………黙れ、クズが」


 ヴァルジャンは頭目を睨み付け言い放ちます。


「手前ぇ、何で話せ………」


 頭目は隷属の首輪で反抗も発言も出来ない筈のヴァルジャンの豹変に驚いている様ですね。

 では、種明かしをしてあげましょう。


 カラン


 わたしは手にしていた隷属の首輪を投げ捨てました。


「馬鹿な、どうやって⁉︎」

「いえ、召喚魔法でちょちょいっと」

「ふざけるな!」

「本当ですよ」


 まぁ、嘘ですけどね。

 ヴァルジャンに掴まれた時に彼の隷属の首輪をアイテムボックスに収納しただけなんですけどね。


 彼はどう見ても嫌々従わされている様でしたし、解放のタイミングを狙っていたんですよね。

 これでヴァルジャンは共に戦ってくれるでしょう。


「さて、盗賊の皆さん。投降するなら今の内ですよ?」


 わたしはピリオドを肩に担いでニヤリと口角を上げるのでした。


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