お見舞いとわたし
「嬢ちゃん!大丈夫か!」
「はい。少し魔力を使い過ぎただけです。
それよりゴブリンの村に向かいましょう。
まだ助けられる人がいるかも知れません」
わたしはアルザックさんの剣をアイテムボックスにしまい、ギルドマスターにゴブリンの村に行くように提案しました。
「そうだな。
アリー、この場は任せる。
ティナは俺たちと来い。他の者は怪我人を守れ」
手早く指示をだしたギルドマスターとティナさんと共にわたしはゴブリンの村へと向かいました。
討伐隊がガナの街に帰還して2日が経ちました。
流石にわたしも丸1日動けませんでした。
かなり身体強化を使ったので身体の負担が大きかったのです。
あの後、ゴブリンの村で《妖精の耳飾》は2人亡くなっていました。
アルザックさんを含め、3人が重傷ながら生き残ったのは、やはりベテラン故のものでしょうか?
それとも亡くなった方が仲間を庇ったのかも知れません。
3人は瀕死の重傷でしたが、わたしのポーションとティナさんの治癒魔法で一命を取り留めました。
現在は治療院に入院しています。
もう1つの《青き翼》は残念ながら全滅していました。
その他にも何人か死者が出ています。しかし、その数はこの規模の戦闘では奇跡的な少なさらしいです。
動ける様になった今、わたしは治療院へ向かっています。
アルザックさん達のお見舞いです。
「こんにちは。お加減はどうですか?」
「おぉ。嬢ちゃん達のお陰で命を拾ったからな。
もうだいぶ良くなったぞ」
「今回ばかりは本当に死んだと思ったな。
生き残ったのはユウちゃんとティナちゃん、そして、ロブとデールのおかげさ」
《妖精の耳飾》のスイさんが感謝の言葉を掛けてくれました。
ロブさんはとデールさんは亡くなったパーティメンバーです。
「ええ、それにしてもユウちゃんの薬は凄かったわね。自作だって聞いたけど本当?」
「本当ですよ。わたしは薬師ですから」
「その年であれだけ効果の高いポーションが作れるなんてすごいわね」
行き残ったもう1人、リーシアさんもロブさんとデールさんが亡くなって悲しくない筈がないのですが、明るく接してくれます。
「そうだ。これを返しに来たのでした」
わたしは剣を取り出し、アルザックさんに差し出します。
アルザックさんは剣を受け取り少し寂しそうに笑いました。
「ありがとな。
つってもコレじゃあなぁ」
「しかし……」
「良いんだ、冒険者は自己責任。
俺はここまでの男だったって事さ。
俺達はもう冒険者は引退する。田舎に帰って村の門番にでもなるさ」
アルザックさんはゴブリンロードとの戦いで右腕を失っていました。
わたしのポーションでも失った腕は生やせません。
「ユウちゃんが気にすることじゃ無いよ。
もともと誰かが死んだら引退すると決めていたんだ。
それで、ユウちゃんにこれを貰って欲しい。俺たちからの感謝の印だ」
スイさんはマジックバックからイヤーカフスを取り出して差し出して来ました。
「これは俺たちが初めてパーティを組んだ時、迷宮都市ダイダロスのダンジョンで手に入れたマジックアイテム《妖精の耳飾》だ」
「え、そんな大切なもの頂けませんよ!」
「ユウちゃん。
道具は使ってこそ意味が有るのよ。
私たちの象徴であるこのアイテムがユウちゃんの力になれば嬉しいわ」
「皆さん………」
「こいつは身に付けると古代魔法言語を解することが出来るマジックアイテムだ」
「ええ!物凄いマジックアイテムじゃないですか!」
色々な人が欲しがりそうなマジックアイテムです。
「ところがそう美味い話も無い」
「え?」
「ふふ、このマジックアイテムは使用者との相性が良くないと使えないのよ」
「こいつを欲しいって学者が何人もいたが誰もまともに使えなかったんだ」
「スイは多少相性が良かったみたいでな。
不完全ながら使うことが出来ていたんだ」
「古代の遺跡とかで偶に役に立ったりする事もあるからさ、これからのユウちゃんの冒険の役に立てくれ」
「ありがとうございます。大切にします」
わたしは3人にお礼を言って治療院をあとにしました。
次はギルドです。




