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薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる  作者: はぐれメタボ
第二章《暗躍する魔族》
223/322

◆寄り道

  旅の用意を済ませたわたしはリリを呼びました。


「師匠、変わった格好ですね?」

「これは袴ですよ。

 リュウガ王国の武術家などが着る戦闘服です。

 リリにお土産であげた浴衣と似たような服ですよ」


 わたしが身につけているのはリュウガ王国で買った袴風の戦闘服です。


『宵闇の袴』と言うこの袴は、ヘルモスと言う大きな蛾の幼虫の繭から採った糸を紡いで作られた布を魔力の高い山地に生える夜陰の花を使って染めた逸品です。


 流石、王家に紹介して貰った工房です。

 防刃や防魔法などの効果も高く、着心地も良いお気に入りの装備です。


 この袴は戦闘用ですが、普段着として、和服風のリュウガ王国の民族衣装や矢がすり模様の袴、寝巻きとして浴衣なども購入しました。


 日本にいた時によく和服を着ていたわけでは有りませんが、何となく着心地が良い気がします。


「リリ、すみませんが、また留守をお願いしますね」

「はい、今度はどこに行くんですか?」

「リーブン王国ですよ。

 海と山に囲まれた国だと聞きます。

 何か珍しい物を見つけたらお土産に買って来ますね」

「はい、楽しみにしてます」


  大正浪漫溢れる袴姿に夜天のローブを羽織ったわたしは、リリに見送られガスタの街を後にしました。

 少し寄り道をして、ガナの街でお菓子を購入し、グリント帝国を目指します。

 最近、ロック鳥のさえずり亭のお菓子はますます洗練されて来た気がします。

 さっき休憩中に食べたロールケーキはテレビで紹介されていた駅前の有名店に並ぶ程の味でした。

 

 盗賊を2つほど消し、数日かけて飛ぶと、グリント帝国との国境の砦が見えて来ました。

 砦から少し離れた場所に着地します。


「オリオン、お疲れ様でした」

「キュー」


 顔をすり寄せて来るオリオンの頭を撫でて送還し、砦に足を向けるのですが、砦からは何人かの兵士さんが飛び出して来てこちらを窺っています 警戒しているようです。

 とりあえず、刺激しないようにゆっくり近づくと、兵士さんがこちらに声をかけて来ました。


「失礼します、Aランク冒険者のユウ殿とお見受けしますが、相違ありませんか?」

「はい、合ってますよ」


 肯定と同時にギルドカードを差し出します。


「確認致しました。

 手続きを致しますので、お部屋でお待ち下さい」


 砦にある応接室に通され、手続きの間待たせてもらいます。

 お茶も出して貰ってVIP待遇です。

 20分程でしょうか?

 手続きが終わりミルミット王国を出国し、今度はグリント帝国での入国手続きです。

 本来なら荷物の検査や身元の確認などで相応の時間が掛かりますが、わたしにはコレが有ります。


「コレは……!ど、どうぞ!お通り下さい」

「ありがとうございます」


 わたしが取り出した帝国の紋章が刻まれたカードを受け取った兵士さんは一瞬驚愕の表情を浮かべたと思うと、緊張しながらも通してくれました。

 便利ですね。


 リーブン王国に行くにはヤナバル王国を突っ切っるのが最短です。


 なのでグリント帝国とヤナバル王国の国境を目指そうかと思ったのですが、もう1つ寄り道をする事にしました。


 ローザさんやレインさんの村に寄る事にしたのです。

 また来ると約束しましたが、帝国の帰りには寄りませんでしたからね。


 村を目指して進み、昼過ぎに到着しました。

 今度はオークに襲われてたりはしませんね。


「お!ユウの嬢ちゃんじゃねぇか!」


 村の門番さんに片手を上げて挨拶を返します。

 

「お久しぶりです」

「一年ぶりくらいか?どうしたんだ?」

「いえ、近くを通る用事があったので立ち寄ったのですよ。

 村長さんやローザさんは居ますか?」

「ああ、案内するぜ」


 門番さんは近くに居た村人の青年に門番を押し付けると村長さんの家に向かって歩き始めました。

 わたしも彼に付いて行きます。

 すまぬ!村の青年!

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