雷鳥の止まり木とわたし
「ユウちゃん!」
「済みません、お待たせしました。」
わたしが戻るとティナさん達は既に盗賊の死体を始末し終えていました。
「いやいや、助けてくれてありがとう。
かなり数が多かったからユウちゃんが来てくれなかったらこっちにも重傷者が出てたかもしれないわ」
「そうだな、ありがとな」
「ありがとうございます」
ティナさんと一緒に居た2人の冒険者さんからもお礼を言われました。
「君のお陰で助かった、感謝する」
ぶっきらぼうにそう言ったのは馬車の影で依頼人であろう商人さんを守っていた大柄な男性です。
ティナさんが彼らを紹介してくれます。
槍を持っていたブラウンの短髪の男性がロニーさん、大柄でメイスを持ったぶっきらぼうな男性がタタンさんです。
ロニーさんとタタンさん、ティナさんの3人は《輝く刃》と言うパーティを組んでいるそうです。
もう1人の女性はソフィアさん。
彼女は今回の護衛依頼を一緒に受けたソロの冒険者らしいです。
しかし、この護衛依頼はかなりの長期依頼であり、もう半年以上一緒に旅をしているそうです。
ソフィアさんは大盾とショートソード、防具は魔鋼製の胸当てや小手、グリーブなど要所をしっかりと補強した防御重視の装備です。
冒険者の多くはあまり音を立てず、重さも軽い革製の鎧を着る人が多いです。
しかし、防御力を重視して鉄系の装備をする人もいない訳ではありません。
好みです。
わたしは鎧は余り好きではないです。
動き辛いですし、そもそも、夜天のローブの方がその辺の鎧よりも防御力が高いのです。
「いやはや、まさかあの『漆黒』と呼ばれるユウさんに助けて頂けるとはありがとうございます。
お陰で護衛の皆さんも大した怪我を負う事もなく戦闘を終えました」
ティナさん達を雇っている商人さんもお礼を言って来ます。
やはり、半年も一緒に旅をしている為、仲も深まった護衛達を心配していたようですね。
「いえいえ、たまたまティナさんの姿が見えたので立ち寄っただけですよ」
とは言えお礼を断る程無粋では有りません。
かなり割引はしましたが金貨は受け取って置きます。
始めの頃はわたしもお礼を受け取らなかったりした事も有るのですが、最近はちゃんと受け取る様にしています。
受け取らないと商人さんに「助けて貰ったのにお礼もしなかった不義理な奴」と言った感じの悪い噂が立ったり、「前はお礼無しで助けてくれたのに!」と他の冒険者に迷惑がかかってしまうかも知れないからです。
わたしも成長した物です。
「ユウちゃんは王都に用があって来たの?」
「いえ、もう用事が終わったのでこれから辺境に帰る所ですよ」
「そう、また会いましょうね」
「はい、辺境にお店を開くのでガスタの街に来た時は是非立ち寄って下さい」
「お店を?」
「はい、これがお店で扱う予定の商品です。
差し上げますよ」
わたしはポーションを取り出し皆さんに1本つづ手渡しました。
一応、商人さんにも。
試供品です。
「これ、かなり高品質なポーションですよ!」
流石商人さんです。
なかなかの目利きですね。
「はい、わたしのお店で取り扱っているポーションです」
「このポーション、卸して頂くことは出来ますか?」
「お店では個人を相手にしますので…………しかし商業ギルドから紹介を受ければお話はお聞きしますよ」
「分かりました。
いつになるかは分かりませんが辺境に行った時には是非」
「ふふふ、お待ちしています」
そうして、ティナさん達と別れたわたしはお店を開店させる為、辺境を目指し飛び立つのでした。
ガスタに戻ったわたしは、早速許可証を設置し開店の用意をします。
そして、数日後。とうとう開店です。
ギルドなどで結構宣伝しましたし、そこそこのお客さんが来てくれると嬉しいですね。
あ!
お店の名前は『雷鳥の止まり木』です。
看板にはオリオンの絵が描かれています。
因みに描いたのはわたしではありません。
わたしはお店の扉に掛けられた札を『クローズ』から『オープン』に変えます。
そしてカウンターでお客さんを待つのです。
……
…………
………………
……………………暇ですね。
しかし、とうとうその時が来たのです。
カラリン!
ドアベルの音が店内に響き、お客さんが入って来ました。
「いらっしゃいませ」
わたしは初めてのお客さんを笑顔で出迎えるのでした。
薬師のユウさん、大斧担いで自由に生きる
第1部《漆黒の少女》 完
此処までお付き合い下さりありがとうございました。
感想や誤字報告を頂けてとても有り難く思います。
第1章《漆黒の少女》は此処で完結となり、明日からは閑話を数話挟んだ後、第2章《精霊の紋章》が始まります。
また第2章からはアルファポリス様での掲載時からの変更や加筆が多くなる予定です。
その為、少し更新頻度が落ちる事になります。(なるべく1日1話は更新しようと思います)
どうかご了承下さい。
これからもよろしくお願いします。
m(_ _)m
はぐれメタボ




