送別会とわたし
先に辺境伯邸に戻り、ユーリア様とお茶を頂いているとフレイド様が戻って来ました。
「先に帰らせてすまなかったな」
「いえいえ、ランスロットさんはどうなったのですか?」
「彼は廃嫡され王都を追放される事になった。
私はそこまでするつもりは無かったのだが、辺境伯家を侮辱し、サマール子爵家を危険に晒した事に当主が激怒してな」
「へぇ、てっきりランスロットさんに輪を掛けたアホ親だと思っていたのですが意外ですね」
「サマール子爵は確かに貴族である事に誇りを持ってはいるが公明正大な人物だからな。
それとユウ殿にも謝罪したいと言っていたがどうする?」
「面倒なので謝罪は要りません」
「そうか、伝えておこう」
ランスロットさんは追放ですか。
身分も剥奪され貴族では無くなってしまったようです。
まぁ、わたしには関係ありません。
自業自得ですしね。
翌日、お昼前に学生寮に向かいます。
今日はSクラスの皆さんが送別会を開いてくれるらしいのです。
「あっユウ先生、お待ちしてました」
学生寮に着くとマーリンさんが出迎えてくれました。
マーリンさんに案内され学生寮の多目的室に入ります。
部屋にはSクラスの皆さんが集まってくれていました。
「皆さん、お招きありがとうございます」
「簡単な物しか用意出来ませんでしたが楽しんでください」
わたしが戦った魔物や訪れた街の話で盛り上がりながら料理やお菓子を頂きます。
するとシアさんが新しい料理を持って来てくれました。
「ユウ先生、良かったらこちらもお召し上がり下さいまし」
「こ、これは!」
わたしはシアさんが持って来てくれた料理に驚愕します。
シアさんが用意してくれたのはお刺身です。
しかし、わたしが驚愕したのはお刺身ではありません。
お刺身と一緒にさり気なく出されたおにぎりです。
「こ、これはお米ですか⁉︎」
「え、はい。
よくご存知ですね。
この辺りでは全く食べられていないものですが、東方の島国ではよく食べられている穀物です」
「わたしも初めて見たわね」
「マーリンは学院に来るまで田舎に引きこもっていたからな。
俺は前に1度食べたことがあるぞ」
「僕は聞いた事はありましたが食べた事はないですね」
「僕は知りませんでした」
マーリンさんとクルスさんは存在すら知らなかったようです。
「わたしの故郷ではお米が主食だったんです。
この大陸に来てからは全く見当たらなかったので存在しないのかと思っていました」
「王国ではほとんど出回っていませんわ。
わたくしの商会では東方の島国から輸入し、販売出来ないかと考えています」
「いいですね。
是非、販売して欲しいです」
久し振りに食べたお米は最高に美味しかったです。
そしてシアさんはわたしが刺身に合うからと取り出した醤油に興味津々です。
「素晴らしい調味料ですわ。
最初の模擬戦の時に頂いた串焼きのタレもこの調味料で作られていたのですね」
「はい、あのタレはこの醤油をベースにしたものです。
あとこの味噌も使っています」
わたしは味噌の入った樽を取り出すとシアさん達に見せます。
「コレも見たことの無い調味料だな」
「ユウ先生、味見させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい、勿論構いませんよ。
すこしキッチンを貸してもらえますか?
簡単なスープを作りましょう」
味噌と醤油を気に入って貰えれば取り引き材料になるかもしれません。
何としてもお米を定期的に手に入れなければ!
わたしはAランク商人のシアさんと交渉するべく味噌汁を作るのでした。




