国宝とわたし
あの箱の事は気になりますが、今ここでそれを尋ねるのも失礼ですよね。
わたしは形式に則り、国王様に謝意を述べて退室しました。
箱は後で騎士さんが運んでくれます。
控えの間に戻ったわたしをフレイド様が迎えに来てくれました。
これから応接室でもう1度国王様と会わなければいけない様です。
つまり、先程の謁見の間でのやり取りは他の貴族に見せる為の儀式的な意味が強いと言う事です。
応接室で、フレイド様とソファに座り、お茶を頂きます。
流石王宮のお茶です。
相変わらず美味しいですね。
「フレイド様、あの箱は一体何なのですか?」
「ん?ああ、そうか。
ユウ殿は知らないのだな、あの箱は……」
フレイド様が箱の正体を口にしようとした時、部屋に国王様が部屋に入って来ました。
わたしとフレイド様は雑談を切り上げ立ち上がると礼を取ります。
カーテシーにも慣れたものです。
ドレスの防御力だけは頂けませんが……
「楽にせよ」
国王様は、わたしとフレイド様にそう言うと護衛の騎士さんと3人分のお茶を用意したメイドさんに言葉を掛けます。
「お前達は席を外せ」
それを聞いた騎士さんとメイドさんは一礼すると部屋を出て行きます。
国王様に促されてソファに座り直すとすぐに国王様の雰囲気が変わりました。
「はぁ~謁見なんて何の意味があんのかねぇ?」
「諸侯に対して威厳を見せるためには仕方ないだろう。
それにああやって直接ユウ殿とのやり取りを見せれば妙な考えを抱く者も少なくなる。
それが君の仕事なんだから文句を言うなよ」
「へいへい、相変わらず真面目だな」
「フリードが不真面目なだけださ」
相変わらずの豹変です。
もしかして二重人格ではないでしょうか?
しばらく国王様とフレイド様の漫才を見物したところでわたしも例の件を口に出します。
「あの、国王様?」
「ん?フリードでいいぞ」
「フリード様、それであの箱は一体何なのですか?」
「なんだ、フレイドから聞いていないのか?」
「説明しようとしたらフリードが部屋に入って来たからな」
「そうか、アレはすげーぞ、なんたって伝説級のマジックアイテムだからな」
「そんなに凄い物なのですか?」
「当然さ。
帝国はお前に国宝の1つをやったんだろ?
国の面子的にも半端な物は出せないからな」
これは期待が高まります。
「聞いて驚けよ。
アレは我が国の国宝の1つで『ディメンションボックス』と言ってな……」
……ん?
んんん?
今少し……少しだけ嫌な予感がしました。
「簡単に説明すると、とんでもなく容量の大きいマジックバックだ!
しかし当然それだけでは無い!
なんと、最高位の空間魔法により中に入れた物は時間経過による劣化が遅くなる。
例えばだがユウの作ったポーションの使用期限が30日だったとすると、このディメンションボックスに入れておけば半年は持つだろう!」
ぬ!
ぬ!
ぬぉぉおぁぁぁあ‼︎
そんなバカな!
どう考えてもアイテムボックスの劣化版です!
わたしのアイテムボックスなら容量無制限で時間は完全に停止し場所も取らないのです。
ぐぉぉぉお!
「ん、どうしたユウ?」
「はっはっは、流石にユウ殿も驚いているのだろう。
時間干渉の効果を持ったマジックアイテムなど、英雄叙事詩などでしか聞かないからな」
「ああ、そう言う事か。
ユウもなかなか可愛いところがあるじゃないか」
「「はっはっは!」」
ぐぬぬぅ!
な、なんとか別の物に代えては貰えないでしょうか?
しかし、あれだけ大々的に下賜されたものを『変えてくれ』などと言えば王家に恥をかかせる事になってしまいます。
うぅ~
「き、貴重な物をありがとうございます」
「なに気にするな!」
「は、ははは、はぁ~」
「はっはっは」
ガッデム……です。




