箱とわたし
遠征も無事終了し、通常授業に戻りました。
わたしもSクラスと模擬戦をしたり、多くの人の前で講義をしたりと忙しい日々を過ごしています。
そして、あっという間に半年が過ぎ、最後の授業を終えました。
「それではこれでわたしの模擬戦は終わりです。
この半年間で皆さんは目に見えて強くなりました。
これからも鍛錬を続けて下さいね」
「「「「「…………はい」」」」」
わたしの前で地面に倒れ込んだ5人が力無く返事をします。
「では皆さん、ゆっくり休んで下さい」
「あ、ユウ先生!」
わたしが立ち去ろうとした時、マーリンさんに呼び止められました。
「何ですか?」
「ユウ先生にはとてもお世話になりましたし、送別会をしたいのですが、お時間は空いてますか?」
「わざわざありがとうございます。
そうですね…………次の休みは1日空いていますよ」
わたしは授業は今日までですが、いくつか仕事があります。
「じゃあ、その日に送別会をさせて下さい」
「分かりました。楽しみにしています」
わたしはマーリンさん達と約束をしてその場を後にしました。
そして、Sクラスの皆さんが送別会を開いてくれる日の前日、わたしはフレイド様と王宮に来ています。
学院の臨時教員として働いた報酬を貰いに来たのです。
国王様とは、わたしの功績に応じた報酬を受け取る約束をしています。
Sクラスの模擬戦だけでは無く、王宮の薬師さんや学院の教員さんを相手に講義も行ないました。
これはかなり期待できるのではないでしょうか?
王宮の謁見の間には多くの貴族が集まっています。
フレイド様も今はあの中に居るのでしょう。
わたしは謁見の間の隣の控えの間で待機中です。
「ユウ様、謁見の間へお越し下さい」
「はい」
謁見の間に入り、王座まで貴族の間を歩いて行き、国王様の前で膝をつきます。
「面を上げよ」
国王様に許しを貰い顔を上げました。
「ユウよ、学院での其方の働きは聞き及んでおる。
Sクラスの生徒は目に見えて力を付け、高度な薬術の講義は我が国の医療を大きく成長させる事となった。
その働きに報いる物を与えよう。
受け取るが良い」
国王様が立ち上がると同時に、お盆を持った文官さんと布が掛けられた大きな四角い箱?を抱えた騎士さんがやって来ました。
「先ずはユウの功績を称え、勲三等金獅子勲章を授ける」
国王様がお盆から勲章を取り、わたしの胸に付けてくれました。
金獅子勲章は武勇以外で貰える勲章の中では最も栄誉の有る勲章らしいです。
その中の三等、なかなか高く評価されていますね。
ちなみに東方の島国との交易路の開拓や農法の改善など国力を跳ね上げる活躍をしたシアさんは勲一等金獅子勲章を持っていると言っていました。
「次に臨時教員の報酬だが、其方の活躍に相応しい報酬を与えるとの約束だったな。
そこでコレを用意した」
騎士さんが箱?に掛けられた布を取り去ります。
「「「お~」」」
後ろで見ていた貴族達が騒いでいますね?
アレはそんなに凄い物なのでしょうか?
見た目はわたしが身を屈めれば何とか入れそうな大きさの繊細な彫刻が施された箱です。
確かに綺麗な箱ですが…………ん?
少し魔力を感じますね。
多分マジックアイテムです。
「まさか陛下がアレを下賜なさるとは……」
「それだけ陛下があの少女の功績を評価なされているとですかね?」
「ええ、そうでしょうな。
それに陛下は彼女を厚く遇する事で、手元に置く事は出来ないまでも友誼を深めようとされているのかも知れん」
「一介の冒険者にあれ程の物を下賜なさるなんて前例の無い事ですからな……」
「アレが噂の……」
貴族達のヒソヒソ話が聞こえて来ます。
何だか凄い物のようですね。




